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どうするか?
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「記憶力が優れているとして、多くの辞書、文献をあっさり覚えることが出来たとしても、意味は一つではないこともある。それをこうではないかと当てはめるんだよな?エルドール」
ローレルはエルドールから、ヨルレアンから解読について説明をして貰った時のことを聞いていた。
「はい!ヨルレアン嬢はそう言っていました」
「きっと、ヨルレアン嬢は知識と経験で行っております」
「その通りだろうな…まだ意味が解明していない場合もある」
「ええ」
そういった場合は、未解読部分ありとして、保管される。他の解読で意味が判明する場合があるからである。
「ならばやらせてみるか」
「ただ…何をやらせるかは、元に戻ってしまうのですが…」
思い付きはしたが、話しながら結局、何の解読をやらせるかに戻ってしまうことに気付いてしまった。
「多くを必要とするわけではないから、儂が頭を下げて、頼んで来よう」
「それなら、今回は私が行きます」
「ローレルが?」
「ええ、ヨルレアン嬢に他に何かいい案がないかも聞いてみたいのです」
ローレルもあまり機会はないが、ヨルレアンには一目置いている。眉唾物を彼女がどう判断するのか、興味がある。
「お兄様だけが行くと、何を言われるか分かりませんわ。私も行きます」
「いや、そこは私ではないか?」
ローレルも男性であるために、メイランは醜聞になってはならないと手を挙げたが、エルドールとしてはお兄様も一緒にと言われると思っていた。
「お前はやらかしたんだ。お願いするのだから、反省中の者は連れて行けない」
「そうですわよ」
「…あ、はい」
しゅんとしてしまったエルドールに、さすがにローレルも少しばかり心が痛んだ。
「手紙や手土産くらいは届けるから、用意したらどうだ?」
「はい、お願いします。メイラン、また何か美味しいお菓子を教えてくれないか」
「分かったわよ」
「ありがとう」
エルドールのやらかしで、すっかり立ち位置の決まっているきょうだいたちに、ダズベルトとオーバンは向き合って、頷き合った。
「ならば、ローレルに頼むとするか。引き受けてくれたとしても、くれぐれも無理はさせないように」
「はい、ザッハンデル前伯爵家にいるのですよね?」
「ああ、概ねそうだろうが、立て込んだ話だからな。オズラール公爵邸の方がいいだろう」
ある意味、出入りのある王家よりも厳重な包囲網が敷かれ、洩れるようなことは絶対に許されない。
「そうですね、メイランと一緒に申請を出して置きます」
「ああ」
その場は解散になり、日程のやり取りをしている間に、追加で調査部からルスデン王国の報告もあった。
ルスデン王国の王家も、聖女と呼ばれている男爵令嬢、アリナ・ハッソの素晴らしい才能に目を付け、囲い込みたいところではあったが、年齢の合う未婚の王族はいなかった。
一夫一妻制であり、離縁して婚約することは可能ではあったが、まだそこまで自国で可能性を見い出せていなかった。
未婚の子息を持つ高位貴族も嫁にと考えたが、その前に王家から他国でルスデン王国出身ということで、何か功績を上げ、価値を高めてからにしたい。もし他国からの縁談が来ても、王家が後ろ盾になるから心配ないと言われ、それならばと男爵令嬢と婚約をすることは禁じることが出来た。
王家としては時間稼ぎと、旨味のある相手の縁談ならば、黙らせようとも考えていることが分かった。
日程が決まり、申請が通り、オズラール公爵邸に行くことになった。
ローレルは公務、メイランも学園に入るまでにやらなければならない王女教育があるが、学園に通っているわけではないので、エルドールよりも融通が利く。
エルドールから預かった手紙とお菓子を持って、ローレルとメイランはオズラール公爵邸を訪問した。
ローレルはエルドールから、ヨルレアンから解読について説明をして貰った時のことを聞いていた。
「はい!ヨルレアン嬢はそう言っていました」
「きっと、ヨルレアン嬢は知識と経験で行っております」
「その通りだろうな…まだ意味が解明していない場合もある」
「ええ」
そういった場合は、未解読部分ありとして、保管される。他の解読で意味が判明する場合があるからである。
「ならばやらせてみるか」
「ただ…何をやらせるかは、元に戻ってしまうのですが…」
思い付きはしたが、話しながら結局、何の解読をやらせるかに戻ってしまうことに気付いてしまった。
「多くを必要とするわけではないから、儂が頭を下げて、頼んで来よう」
「それなら、今回は私が行きます」
「ローレルが?」
「ええ、ヨルレアン嬢に他に何かいい案がないかも聞いてみたいのです」
ローレルもあまり機会はないが、ヨルレアンには一目置いている。眉唾物を彼女がどう判断するのか、興味がある。
「お兄様だけが行くと、何を言われるか分かりませんわ。私も行きます」
「いや、そこは私ではないか?」
ローレルも男性であるために、メイランは醜聞になってはならないと手を挙げたが、エルドールとしてはお兄様も一緒にと言われると思っていた。
「お前はやらかしたんだ。お願いするのだから、反省中の者は連れて行けない」
「そうですわよ」
「…あ、はい」
しゅんとしてしまったエルドールに、さすがにローレルも少しばかり心が痛んだ。
「手紙や手土産くらいは届けるから、用意したらどうだ?」
「はい、お願いします。メイラン、また何か美味しいお菓子を教えてくれないか」
「分かったわよ」
「ありがとう」
エルドールのやらかしで、すっかり立ち位置の決まっているきょうだいたちに、ダズベルトとオーバンは向き合って、頷き合った。
「ならば、ローレルに頼むとするか。引き受けてくれたとしても、くれぐれも無理はさせないように」
「はい、ザッハンデル前伯爵家にいるのですよね?」
「ああ、概ねそうだろうが、立て込んだ話だからな。オズラール公爵邸の方がいいだろう」
ある意味、出入りのある王家よりも厳重な包囲網が敷かれ、洩れるようなことは絶対に許されない。
「そうですね、メイランと一緒に申請を出して置きます」
「ああ」
その場は解散になり、日程のやり取りをしている間に、追加で調査部からルスデン王国の報告もあった。
ルスデン王国の王家も、聖女と呼ばれている男爵令嬢、アリナ・ハッソの素晴らしい才能に目を付け、囲い込みたいところではあったが、年齢の合う未婚の王族はいなかった。
一夫一妻制であり、離縁して婚約することは可能ではあったが、まだそこまで自国で可能性を見い出せていなかった。
未婚の子息を持つ高位貴族も嫁にと考えたが、その前に王家から他国でルスデン王国出身ということで、何か功績を上げ、価値を高めてからにしたい。もし他国からの縁談が来ても、王家が後ろ盾になるから心配ないと言われ、それならばと男爵令嬢と婚約をすることは禁じることが出来た。
王家としては時間稼ぎと、旨味のある相手の縁談ならば、黙らせようとも考えていることが分かった。
日程が決まり、申請が通り、オズラール公爵邸に行くことになった。
ローレルは公務、メイランも学園に入るまでにやらなければならない王女教育があるが、学園に通っているわけではないので、エルドールよりも融通が利く。
エルドールから預かった手紙とお菓子を持って、ローレルとメイランはオズラール公爵邸を訪問した。
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