29 / 38
話し合い4
しおりを挟む
「これはあなたの母親の話し方ですよ?折角、真似しているのに、酷い言い方ね」
「お母様はそんな話し方しないわ」
アウラージュは何もなかったかのように元の場所に座った。
「マレリア…」
「お、お父様!?」
陛下はアウラージュをうっとりとするような顔で見つめている。
「マレリア様はね、大変口が悪かったの。でもとても情に厚い方だったわ。まさかあんなに早く亡くなられるとは思わなかった。産後の状態で、王妃は負担だったでしょうからね」
「…そんな」
「マレリア様はシュアリーを愛していたわ。でもね、マレリア様には妹がいて、持ち物を欲しいという子だったそうで、とても苦労したそうよ。だから妹というのは用心しなくちゃ駄目よと、大事なものは見せずに隠しておきなさいと何度も言われたわ。物は取られなかったけど…マレリア様が生きてらしたら、あなたどつき回されていたでしょうね」
「っひ、お母様がそんな方だったなんて」
シュアリーの中の母親は勝手に病弱で、優しい女性だと思っていた。
「素晴らしい方だったわ、なのにあなたはどこを引き継いだのかしら?折角、私が不貞にせずに、上手く身を引いたのに、何やってるの?ただのバカじゃない」
「酷い!お母様は私を絶対大事にするように言ったはずよ!」
きっと口が悪くても、私を愛しているお母様なら、私を大切にして、優しく守るように言うはずだ。
「そうね、でもそういうところよ?自分で言う?一言多いのよ!だから友人も出来ない。マレリア様は腐った娘だったら、容赦しなくていいと言われていたの。あなたはマレリア様の妹に似たのでしょうね」
「妹?」
「そうよ。結婚して、不貞を犯して、追い出されて、陛下を篭絡しようとあなたの面倒を看ると言って王宮に入り込んで、今はどこにいるか分からない人よ」
「っひ」
マレリアの妹・ルリアはマレリアの持ち物を欲しがる子だった。だが、両親はそれを良しとしなかったため、盗むようになった。ディエンスとの婚約も何でマレリアなのかと怒り、奪おうとすると思い、両親はルリアを隔離することにした。
そして、無事マレリアが結婚しても、監視を怠ることはしなかったが、ルリアも無事結婚した。だがしばらくすると不貞を犯して、追い出されることになった。同じ頃、マレリアが亡くなり、皆がそちらに掛かりきりになり、マレリアが亡くなったことを知ったルリアは、シュアリーの叔母だと言って王宮に入り込んだ。
しばらく姉の代わりに姪の世話をしたいと申し出て、ディエンスを篭絡して、王妃になるのだと1人で高笑いしていたが、幼い子の世話などしたことのないルリアは、2人きりでシュアリーが泣くと手を上げるようになった。
ディエンスもマレリアから妹のことを聞いていたはずが、妻を亡くし、憔悴したまま忙しくしていたために、正常な精神状態ではなく、気付けなかった。
生家ではようやくルリアが追い出されたことを知り、一体どこに行ったのかと、探している最中にある事件が起きたのだ。
「あなたのお尻を守ったのは私なのよ!感謝して欲しいわ」
「そうだ!あの女はお前が泣くと、尻を叩いていた。顔や体だとバレると思ったんだろうな。浅墓にも尻ならおむつかぶれに出来ると思ったんだろう。だが、アウラージュが決定的瞬間を見付けたんだ。あの飛び回し蹴りは、本当に素晴らしかったと騎士団長が今でも言っておる」
「まあ」
シュアリーの鳴き声に気付いたアウラージュが、叩いている最中に部屋を訪れ、鳴き声で気付かないルリアに、助走を付けて、頭に回し蹴りを食らわせたのだ。騎士団長はその頃、アウラージュの護衛をしていたので、その瞬間を見ている。
そして、シュアリーの尻は赤くなっていたが、陛下も義妹であるため、義両親に連絡を取った。義両親はルリアに厳罰を受けて欲しかったが、マレリアとシュアリーに迷惑を掛けないためにも受け入れた。だが既に見限っていたので、絶縁をした。それ以降、彼女がどうなったかは分からないままだ。
「そんなこと憶えていないわ、そんな人と一緒にしないで」
「あなた、そろそろ自分のしたことを横に置かずに、人の振りを見て、自分自身を見直しなさい」
「私のどこに直さないといけないところがあるっていうの!私は王族なのよ!お姉様だって特別な存在だから、そんな振る舞いが許されるのよ!」
「そうね、でも元々はホワイトアが王家の血筋だったのよ?まだ勉強してないの?」
「何の話よ!」
「さすがにルカスは知っているわよね?」
「はい…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
こちら話の終わりに目途がつきましたので、
新作(自由恋愛の国の話)も投稿しています。
こちらももうしばらく続きます。
よろしくお願いいたします。
「お母様はそんな話し方しないわ」
アウラージュは何もなかったかのように元の場所に座った。
「マレリア…」
「お、お父様!?」
陛下はアウラージュをうっとりとするような顔で見つめている。
「マレリア様はね、大変口が悪かったの。でもとても情に厚い方だったわ。まさかあんなに早く亡くなられるとは思わなかった。産後の状態で、王妃は負担だったでしょうからね」
「…そんな」
「マレリア様はシュアリーを愛していたわ。でもね、マレリア様には妹がいて、持ち物を欲しいという子だったそうで、とても苦労したそうよ。だから妹というのは用心しなくちゃ駄目よと、大事なものは見せずに隠しておきなさいと何度も言われたわ。物は取られなかったけど…マレリア様が生きてらしたら、あなたどつき回されていたでしょうね」
「っひ、お母様がそんな方だったなんて」
シュアリーの中の母親は勝手に病弱で、優しい女性だと思っていた。
「素晴らしい方だったわ、なのにあなたはどこを引き継いだのかしら?折角、私が不貞にせずに、上手く身を引いたのに、何やってるの?ただのバカじゃない」
「酷い!お母様は私を絶対大事にするように言ったはずよ!」
きっと口が悪くても、私を愛しているお母様なら、私を大切にして、優しく守るように言うはずだ。
「そうね、でもそういうところよ?自分で言う?一言多いのよ!だから友人も出来ない。マレリア様は腐った娘だったら、容赦しなくていいと言われていたの。あなたはマレリア様の妹に似たのでしょうね」
「妹?」
「そうよ。結婚して、不貞を犯して、追い出されて、陛下を篭絡しようとあなたの面倒を看ると言って王宮に入り込んで、今はどこにいるか分からない人よ」
「っひ」
マレリアの妹・ルリアはマレリアの持ち物を欲しがる子だった。だが、両親はそれを良しとしなかったため、盗むようになった。ディエンスとの婚約も何でマレリアなのかと怒り、奪おうとすると思い、両親はルリアを隔離することにした。
そして、無事マレリアが結婚しても、監視を怠ることはしなかったが、ルリアも無事結婚した。だがしばらくすると不貞を犯して、追い出されることになった。同じ頃、マレリアが亡くなり、皆がそちらに掛かりきりになり、マレリアが亡くなったことを知ったルリアは、シュアリーの叔母だと言って王宮に入り込んだ。
しばらく姉の代わりに姪の世話をしたいと申し出て、ディエンスを篭絡して、王妃になるのだと1人で高笑いしていたが、幼い子の世話などしたことのないルリアは、2人きりでシュアリーが泣くと手を上げるようになった。
ディエンスもマレリアから妹のことを聞いていたはずが、妻を亡くし、憔悴したまま忙しくしていたために、正常な精神状態ではなく、気付けなかった。
生家ではようやくルリアが追い出されたことを知り、一体どこに行ったのかと、探している最中にある事件が起きたのだ。
「あなたのお尻を守ったのは私なのよ!感謝して欲しいわ」
「そうだ!あの女はお前が泣くと、尻を叩いていた。顔や体だとバレると思ったんだろうな。浅墓にも尻ならおむつかぶれに出来ると思ったんだろう。だが、アウラージュが決定的瞬間を見付けたんだ。あの飛び回し蹴りは、本当に素晴らしかったと騎士団長が今でも言っておる」
「まあ」
シュアリーの鳴き声に気付いたアウラージュが、叩いている最中に部屋を訪れ、鳴き声で気付かないルリアに、助走を付けて、頭に回し蹴りを食らわせたのだ。騎士団長はその頃、アウラージュの護衛をしていたので、その瞬間を見ている。
そして、シュアリーの尻は赤くなっていたが、陛下も義妹であるため、義両親に連絡を取った。義両親はルリアに厳罰を受けて欲しかったが、マレリアとシュアリーに迷惑を掛けないためにも受け入れた。だが既に見限っていたので、絶縁をした。それ以降、彼女がどうなったかは分からないままだ。
「そんなこと憶えていないわ、そんな人と一緒にしないで」
「あなた、そろそろ自分のしたことを横に置かずに、人の振りを見て、自分自身を見直しなさい」
「私のどこに直さないといけないところがあるっていうの!私は王族なのよ!お姉様だって特別な存在だから、そんな振る舞いが許されるのよ!」
「そうね、でも元々はホワイトアが王家の血筋だったのよ?まだ勉強してないの?」
「何の話よ!」
「さすがにルカスは知っているわよね?」
「はい…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
こちら話の終わりに目途がつきましたので、
新作(自由恋愛の国の話)も投稿しています。
こちらももうしばらく続きます。
よろしくお願いいたします。
1,152
あなたにおすすめの小説
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。
「仕方ないから君で妥協する」なんて言う婚約者は、こちらの方から願い下げです。
木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるマルティアは、父親同士が懇意にしている伯爵令息バルクルと婚約することになった。
幼少期の頃から二人には付き合いがあったが、マルティアは彼のことを快く思っていなかった。ある時からバルクルは高慢な性格になり、自身のことを見下す発言をするようになったからだ。
「まあ色々と思う所はあるが、仕方ないから君で妥協するとしよう」
「……はい?」
「僕に相応しい相手とは言い難いが、及第点くらいはあげても構わない。光栄に思うのだな」
婚約者となったバルクルからかけられた言葉に、マルティアは自身の婚約が良いものではないことを確信することになった。
彼女は婚約の破談を進言するとバルクルに啖呵を切り、彼の前から立ち去ることにした。
しばらくして、社交界にはある噂が流れ始める。それはマルティアが身勝手な理由で、バルクルとの婚約を破棄したというものだった。
父親と破談の話を進めようとしていたマルティアにとって、それは予想外のものであった。その噂の発端がバルクルであることを知り、彼女はさらに驚くことになる。
そんなマルティアに手を差し伸べたのは、ひょんなことから知り合った公爵家の令息ラウエルであった。
彼の介入により、マルティアの立場は逆転することになる。バルクルが行っていたことが、白日の元に晒されることになったのだ。
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる