愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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お誘い

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「そうか?」
「そうですよ、ですので士気を上げるためにも、是非」
「ああ、聞いてみよう」
「また日付と時間をお知らせします」
「ああ」

 邸に帰って、フランアールに練習試合のことを話すと、ルジエールも初めて見る顔を向けられていた。

 今まで驚くようなことなどなかったのかもしれないが、フランアールの口も目も、これでもかと大きく開かれていた。

「本当のことですの?」
「どういう意味だ?」
「練習試合を見せていただけますの?」

 フランアールは本当にいいのかと言わんばかりであったが、国内のことであるために特に問題はないだろうと考えていた。

「ああ、また知らせると言っていたから、どうだろうか?私も内術に関してはあまり考えて来なかったものだからな。見ておくのもいいと思ったんだ」
「是非、お伺いしたいです」

 どこか何か獲物を狙うハンターのように、目がギラついているようにも見えたが、同じ内術者として興味があるのか、物珍しいのかくらいにしか思わなかった。

「そうか、ならば一緒に行こうではないか」
「ええ、是非」

 それから特に変わりなく、ファシルから練習試合の連絡があり、見に行く日が決まった。

 大会というわけではないので、誰でも見に行けるわけではないが、知り合いなどでも入れるために、難しいというわけでもない。

 フランアールはいつになく、出掛ける際にソワソワしていた。

「ドレスではないのか?」
「っえ、ドレスではないといけないのですか?」

 フランアールは当然ドレスだと思っていたが、乗馬服に身を包んでいた。

「いや、構わないとは思うが……」

 質素なものではなく、おそらくデザイナーがデザインしたのであろう、フランアールに似合った特別な光沢のある黒い美しい乗馬服であった。

 ドレスコードなどないために乗馬服でも問題はない。しかも、ドレスとは違った美しさを放っているとも言える。

「ならば、早く行きましょう」
「そんなに楽しみなのか?見たことがないのか?」
「はい」
「ないのか?」
「はい、ありません」

 ミハラとリルハを見たが、頷いており、令嬢だったらそんな機会もないのだろうかと思った。

 練習試合でも競技場で行われるために、友人や恋人、家族を呼んだりする。

 フランアールはキョロキョロしながら、辺りを見回しており、いつもは見られている立場であるはずが、今日は見てもいる上に、見られてもいるような状態であった。

 しかも、乗馬服であるために、目立っていた。

「どこで見てもいいんですの?」
「ああ、特に決められた場所はないと思うが……」

 貴族席はあるが、必ずそこで見なくてはいけないものではない。

「できるだけ近くでよく見えるところで見たいのですけど」
「あ、ああ……」

 試合が一番近くで見れる一番前の席を陣取ることになり、フランアールはルジエールや周りを見ることもなく、じっと競技場を見つめていた。

「そんなに楽しみなのか?」

 フランアールではなく、後ろに座っていたミハラとリルハに聞くと、二人は同時に頷いた。

「今日を大変楽しみにしてらっしゃいました」
「昨日はあまり眠れなかったそうです」
「そうか」

 二人が言うのだから嘘ではないだろうが、そこまで物珍しいのかと逆に不安になっていた。

「フラン様、落ち着きましょう」
「ええ、ごめんなさい。こんなに近くで見れるなんて思わなかったものだから」

 それからも始まるまで、始まってからもソワソワしており、拳を握ったり、拍手をしたり、子どものように観戦しているようであった。

 誰か見たい人でもいるのかともルジエールは考えていたが、誰かひとりを応援することはなく、打ち合いを楽しんでいる様子であった。

 しばらくすると、参加者にファシルが出てきたために、フランアールに紹介することにした。
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