愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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内術

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「攻撃はして来ないはずですよ」
「珍獣のようではないか」
「同じようなものですよ」
「謹慎させると言っていたようだから、当分、現れることはないだろう」
「それは幸いですね」

 それから、ルジエールは内術者や身体強化について調べてみたが、ルジエールの知識で間違いはなかった。

 自身の魔力を使うために、一時的にはなるが、人間二人を鼻フックして、浮かせることは可能だろう。ただ、そんな調べ物をしたのは、あのフランアールが行うということが想像できないからであった。

 魔術師の中にも内術の者はいるが、大体が体を使う仕事を選ぶために、いても研究班であるためになかなか話を聞くことはできないまま時間は過ぎて行った。

「ルジエール様」
「ああ、ファシル」

 名前を呼ぶ方に顔を向けると、幼い頃から知っているアベンヌ侯爵家のファシルであった。

「相変わらず、お忙しいですか?」
「まあね」

 行き先が同じ方向であったために世間話をしながら、そういえばと思った。

「ファシルは身体強化をして、戦うのか?」

 ファシルは騎士団員で、魔術も内術である。ルジエールも背は高いが、ファシルの方が高い上に、筋肉隆々である。

 幼い頃は中肉中背だったはずが、どんどん大きくなっていった。

「訓練の際にってことですか?」
「まあそうだな」
「了承された時はそうなりますね」
「どの程度の時間、使えるんだ?」
「そうですね、10分くらいでしょうか」
「そうか」
「ルジエール様は使えないでしょう?」
「ああ、周りにあまりいないものでな。どの程度なのかと思ったのだよ」

 ルジエールは魔術師同士で戦い合うことはあっても、騎士団員と戦うことはまずない。他の魔術師はあるのだが、ルジエールは天才魔術師と呼ばれていることから、勝負にならないだけである。

「ルジエール様には敵わないでしょう」

 ルジエールの魔術の発動は早いために、騎士団員はそこまでが勝負になるが、近距離であってもほんの一瞬だろう。

 水や火なら、もしかするかもしれないが、氷漬けにでもされたら動けない。破壊したとしても、その間にやられるだろう。

「そんなことはないさ」
「そんなことありますよ」
「身体強化しても男女差はあるのか?」
「それはやはりありますよ」
「そうなのか」
「はい、私は勝ったところを見たことはないですね」

 相手が騎士団員なら確かに難しいのかもしれない。

 だが、同時にフランアールは本当に強いのだろうか?それとも、相手が弱かっただけなのだろうか?大袈裟に言っているだけなのではないかと考えた。

「そういうものなのか」
「今度、練習試合があるので見に来ますか?」
「ああ、そうだな」

 外術ばかりを考えてきたために、知ることも良いことかもしれないと考えた。

「良かったら、奥様もご一緒にどうぞ」
「ああ」
「奥様がいらしたら皆、やる気になると思います」
「そうか?」

 フランアールはいるだけで見つめてしまい、ポーッとしている者もいるために、気が散るのではないかと思ったが、フランアールが行きたいと言うか分からないために聞いてみるかと考えていた。

「そうですよ!ルジエール様の隣にいて、霞まないのはフランアール様だったかと思いましたから」
「何だそれは……」
「結婚された今だから言いますけど、ルジエール様の横に立つステータスもありますけど、自分が貧相に見えると立ちたくないという女性もいるのですよ?」

 ルジエールと顔合わせをした令嬢たちは、ステータスと思える令嬢であった。だが、気後れする令嬢も同じようにいる。

 よく横に並べる、絶対に並びたくないという令嬢もおり、いくら着飾ってもルジエールに視線を奪われることになる。令嬢としてのプライドを持つ者も多いために、観賞用と思うようになっていた。

 だが、フランアールと並ぶ姿を見て、初めてルジエールの美しさに負けない存在がいたのだと分かった。
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