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比喩
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「私は剣は子どもの頃以来、握っていないからな。詳しくは分からない」
ルジエールは魔術の才能が高かったために、剣術の稽古は最低限しかしていない。逆にファシルは内術であったために、身体強化と剣術の稽古に精を出した。
正反対の道を進んだが、ファシルは近寄りがたいと言われているルジエールにも臆することなく、話し掛けて来る存在である。
「奥様は素晴らしい動きでしたね。見ていた騎士たちも大絶賛でした」
「ああ……そうか」
「皆、美しかったと口々に言っておりました」
「そうか」
見た目のことを言っているのか、舞い上がった様のことを言っているのか、おそらく両方だろう。
「天女様と皆が申しておりました」
「天女か……」
ミハラとリルハの危惧したように言われていることに、不味いなと感じた。
「目立っていたか?」
「はい、剣が飛びましたから、皆が見ておりましたので」
「そうだよな……」
剣の行方を見つめた先に、あのようなことがあれば、目立ってしまうだろう。さすがに愚問であった。
「もそもそ、目立っておりました。いくらルジエール様の奥様でも、あのように美しい方はつい見てしまいますでしょう」
「ああ……」
「ルジエール様を羨ましいと言っておりますよ」
「そうか」
「良かったら、また来てください」
「ああ」
ファシルは戻って行き、目立ったとしても、結婚していることが抑止力になっていればいいと考えていると、エバンファストが声を掛けた。
「何か不味いことがあったのですか?」
練習試合を見に行くことは話していたが、剣をキャッチしたことはまだ話していなかった。そもそも、エバンファストがフランアールについて、どこまで知っているのかが分からなかった。
「エバンはフランアールが内術だということは知っていたのか?」
「はい、カサリアから聞いて存じております」
「どこまで聞いている?」
「内術者だということだけですが?」
カサリアは外術者であるが、フランアールは内術だと言っているのを聞いており、世間話の範囲であった。
「そうか、強いということは?」
「フランアール様がですか?」
「そうだ」
「いいえ、あっ、でもカサリアが指一本触れられることはないと言っておりました。お強いんですか?」
フランアールならもっと護衛が必要なのではないかと一度聞いたことがあったが、そのような答えであった。その時は護衛の強さだと思っていたが、本人の強さという意味だったのかもしれない。
「どの程度かは私も分からないが、様々な嫌な目に遭っていたようだが、今は対処できると侍女たちは言っている」
「そうですか……確かに嫌な目は、考えたくはないですけど、あり得ることでしょうね。ご家族が溺愛されてらっしゃるのも、そのようなことがあったからかもしれませんね」
「そうだな」
かもしれないではなく、幼い頃は完全にそうだっただろう。だからこそ、魅了を疑うことに慣れていたのも、疑ったのではないか。
魅了であれば、封じてしまえばいいが、そうではなかった。
そうなると、ただただ危険な目に遭う娘は、皆も気を揉んだだろう。
「嘘をつくことではないのですから、事実なのではありませんか」
「ああ、練習試合の際に剣が見学席に飛んで来て、フランアールが飛び上がって、キャッチしたんだ」
「それは」
「私よりも早かったよ」
「でも悪いことではないのではありませんか」
そのようなフランアールの姿を想像はできないが、ルジエールが見たのなら事実だろう。だが、それは良いことであって、悪いことではない。
「目立たないように気を付けているそうなんだ」
「ああ……それは、そういうことですか」
ファシルとの会話と、ルジエールが何か悩んでいることも、危惧することがようやく理解ができた。
ルジエールは魔術の才能が高かったために、剣術の稽古は最低限しかしていない。逆にファシルは内術であったために、身体強化と剣術の稽古に精を出した。
正反対の道を進んだが、ファシルは近寄りがたいと言われているルジエールにも臆することなく、話し掛けて来る存在である。
「奥様は素晴らしい動きでしたね。見ていた騎士たちも大絶賛でした」
「ああ……そうか」
「皆、美しかったと口々に言っておりました」
「そうか」
見た目のことを言っているのか、舞い上がった様のことを言っているのか、おそらく両方だろう。
「天女様と皆が申しておりました」
「天女か……」
ミハラとリルハの危惧したように言われていることに、不味いなと感じた。
「目立っていたか?」
「はい、剣が飛びましたから、皆が見ておりましたので」
「そうだよな……」
剣の行方を見つめた先に、あのようなことがあれば、目立ってしまうだろう。さすがに愚問であった。
「もそもそ、目立っておりました。いくらルジエール様の奥様でも、あのように美しい方はつい見てしまいますでしょう」
「ああ……」
「ルジエール様を羨ましいと言っておりますよ」
「そうか」
「良かったら、また来てください」
「ああ」
ファシルは戻って行き、目立ったとしても、結婚していることが抑止力になっていればいいと考えていると、エバンファストが声を掛けた。
「何か不味いことがあったのですか?」
練習試合を見に行くことは話していたが、剣をキャッチしたことはまだ話していなかった。そもそも、エバンファストがフランアールについて、どこまで知っているのかが分からなかった。
「エバンはフランアールが内術だということは知っていたのか?」
「はい、カサリアから聞いて存じております」
「どこまで聞いている?」
「内術者だということだけですが?」
カサリアは外術者であるが、フランアールは内術だと言っているのを聞いており、世間話の範囲であった。
「そうか、強いということは?」
「フランアール様がですか?」
「そうだ」
「いいえ、あっ、でもカサリアが指一本触れられることはないと言っておりました。お強いんですか?」
フランアールならもっと護衛が必要なのではないかと一度聞いたことがあったが、そのような答えであった。その時は護衛の強さだと思っていたが、本人の強さという意味だったのかもしれない。
「どの程度かは私も分からないが、様々な嫌な目に遭っていたようだが、今は対処できると侍女たちは言っている」
「そうですか……確かに嫌な目は、考えたくはないですけど、あり得ることでしょうね。ご家族が溺愛されてらっしゃるのも、そのようなことがあったからかもしれませんね」
「そうだな」
かもしれないではなく、幼い頃は完全にそうだっただろう。だからこそ、魅了を疑うことに慣れていたのも、疑ったのではないか。
魅了であれば、封じてしまえばいいが、そうではなかった。
そうなると、ただただ危険な目に遭う娘は、皆も気を揉んだだろう。
「嘘をつくことではないのですから、事実なのではありませんか」
「ああ、練習試合の際に剣が見学席に飛んで来て、フランアールが飛び上がって、キャッチしたんだ」
「それは」
「私よりも早かったよ」
「でも悪いことではないのではありませんか」
そのようなフランアールの姿を想像はできないが、ルジエールが見たのなら事実だろう。だが、それは良いことであって、悪いことではない。
「目立たないように気を付けているそうなんだ」
「ああ……それは、そういうことですか」
ファシルとの会話と、ルジエールが何か悩んでいることも、危惧することがようやく理解ができた。
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