愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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孤児院1

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「フランアール様はどうしてもいるだけで、目立ちますからね」
「ああ、本人もそうやって生きていたから、危機感が薄いのかもしれない。だが、嫌な目に遭う可能性の芽を摘むのが侍女たちの役目だと思っているようで」
「それはそうですね」

 侍女や護衛も、いくら対処できるからと言って、嫌な思いをさせる前に止めたいというのは、当然だろう。

「だから、結婚していることが抑止力になればいいと思ってな」
「付き纏われたりされたのでしょうね……ルジエール様がどんと構えて抑止力になりましょう」
「ああ、そうなっているといいのだが」
「ルジエール様のための結婚でもありますが、フランアール様にも過ごし易い環境になることは良いことですから」
「そうだな」

 一般的な夫婦とは違うが、思いの外、上手くやっている二人に、このまま上手くいけばいいとエバンファストも、ジスラットとマーガレットも思っている。

 だが、ルジエールはともかく、フランアールには無理強いはできない。

 だからこそ、続けてもいいと言う要素はいくらあってもいい。

「魔術師の試合も見に来たいと言っているのだが、配慮しなければならない」
「魔術師は大丈夫でしょう」

 魔術師は自分のことにしか興味がないものが多く、騎士のようなことにはならないだろうと考えていた。

「いや、それでも念のためだ」
「分かりました」

 帰宅することになり、そう言えば今日は孤児院に行くと聞いていたために、回り道をするように頼んだ。

 すると、孤児院にはまだフランアールの使っている馬車があり、停めてもらうように頼み、様子を初めて見ることにした。

「リルハ」
「ルジエール様」
「まだいるかと思って寄ってみたのだが」
「さようですか、まだもう少しかかるかと思いますが」
「何をしているのだ?」

 リルハは丁度、御者と護衛にもう少しかかると言う話をしに来ていた。

「模様替えです」
「模様替え?」
「はい、子どもが増えまして、部屋が足りなくなったので、掃除をして使える部屋を増やしていたのです」
「そうか」
「見に行かれますか?」
「ああ」

 リルハは既にフランアールのことは話しているために、見せても構わないだろうと、模様替えをしている部屋に案内をした。

 すると、子どもたちの楽しそうな声が聞こえ始めた。

 部屋の前に行くと、フランアールは家具を配置しており、ミハラが魔術を使って掃除をしている様子であった。

「ちからもち~!」
「ふらんしゃますご~い」
「かっこいい~」

 子どもたちはおそらく危ないから近付かないように言われて、きちんと並んで座っている。その声援にフランアールは微笑み、院長らしき女性と話をしながら、配置をしていた。

「凄いな」

 貴族令嬢でしかありえない風貌なのだが、まるでクッションを抱えるかのように、軽々とチェストを抱える姿は現実ではないのではないか。あのチェストは実はとても軽いのではないかという気分にさせられる風景であった。

「木こり、大工、引っ越し業の男性だと思えば、やっていることが理解できると思います」

 呆気に取られた様子のルジエールに、リルハが助言をすることにした。

 どれも逞しい男性を想像させる存在で、フランアールとは一致しないが、やっていることはその男性たちの方がピッタリとあてはまる。

「ああ、そうだな。それならば、一致するな」
「あのご容姿なので混乱しますが、やっていることは気のいいおじ様です」
「気のいいおじ様……」

 確かに子どもたちに笑い掛けながら、力持ちであることから、気のいいおじ様に見えてくる気もして来た。

「はい」
「おば様ではないのだな」
「おば様はなかなかできる方はいらっしゃらないでしょうから」
「それもそうだな」

 身体強化が使えなくても、屈強な男性ならヒョイと抱えられるかもしれない。
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