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:第10話 「野戦築城」
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:第10話 「野戦築城」
対戦車砲部隊がどのような陣地を構築するべきか。
それは、王立陸軍の教範に記されている。
最優先で考慮するべきなのは、隠蔽(いんぺい)であるとされていた。
三十七ミリ対戦車砲というのは、はっきり言ってしまうと、さほど強力な兵器ではない。
歩兵と共に進退し、戦機に間に合うように迅速に機動する、という目的のために小型・軽量に作られた砲だから、威力も限られているし、まともな装甲などついていない。
敵に発見され、戦車砲の榴弾を撃ち込まれでもしたらたまったものではない。
だから、なんとしてでも先手を取る必要があった。
「いいか! 攻撃こそ、最大の防御だ! 」
「「「撃破した敵は、もう撃って来ない!!! 」」」
「そうだ! さぁ、掘れ! みんな、頑張れィ! 」
厳しい訓練の合間、ベイル軍曹から口癖のように言い聞かされて来た信念を復唱しながら、分隊の面々はせっせと携帯円匙(けいたいえんぴ)を振るう。
こちらは、気軽には動くことのできない身の上だ。
いくら軽量とはいっても三百五十キログラムを超える重量の対戦車砲を押したり引いたりするのは何人も力を合わせてようやく可能になることであったし、馬力に頼ろうにも、馬に砲車を取りつけるのには時間がかかる。
見つかったらひらり、と身をかわすようなことはできない。
空を飛び回る戦闘機のように俊敏には動けない。
泥と汗にまみれながら地をはいずり回るのが、対戦車砲であった。
だから、生き残るためには敵を倒さなければならない。
倒す前に、撃たれてはいけない。こちらの防御力はないに等しいのだから、一発の被弾でやられてしまう。
攻撃こそが最大の防御であった。
倒した敵は、二度とこちらに撃っては来ないからだ。
その信念をあらわすかのように、B分隊が装備する対戦車砲の砲身には、[一撃必殺(ワンショット・ワンキル)]という文字が書かれている。
相手に発見される前に先制の一撃を加えるためには、こちらが発砲するまで敵に気づかれてはならないのだ。
だから、王立陸軍の対戦車砲部隊はなによりも隠蔽(いんぺい)に気を使うべしとされ、そのような訓練を受けていた。
少しでも防御力を高めるために地面を掘ってそこに砲をすえつけ、射角を損なわない範囲でできるだけ姿勢を低くして暴露(ばくろ)される部分を減らす。
そうした上で、周囲にあるもの、石垣とか、植物の茂みとか、倒木とか、利用できそうなものはなんでも利用して遮蔽(しゃへい)を確保し、入念に隠蔽(いんぺい)を行う。
できるだけ、自然に溶け込む。
周囲の風景と一体化することで敵にこちらの存在を悟らせず、砲の有効射程にまで引きずり込み、待ち伏せの一撃で確実に仕留める。
それが、対戦車砲の戦い方であった。
命がけのかくれんぼである。
わざとらしくてはいけない。
用意周到な敵であれば、「あそこに敵がいそうだな……」と思っただけで、試しに一発、撃ち込んで来ることがあるからだ。
自然な擬装を心掛けなければならなかった。
また、同じ小隊に所属する王立陸軍の各対戦車砲分隊は、互いに最低四十メートルの距離を開いて陣地を構築することとされている。
これは、陸戦で頻繁(ひんぱん)に用いられる火砲である百五ミリ榴弾砲から発射される砲弾の危害半径が二十メートルほどであり、一発の砲弾によって二つの分隊が一気に被害を受ける、などといった事態を避けるためにはこれだけ離れている必要があったからだ。
第二一七独立対戦車砲連隊・第二大隊は、二重の防御陣地を築こうとしていた。
平野部から緩やかに駆けあがって来る斜面の途中に第一の防衛線を、そして稜線上に第二の防衛線を設定する。
ヴァレンティ中尉が指示した射撃目標である丘の麓の防風林からは、それぞれ一千メートル、一千二百メートルの距離がある。
敵の突破を阻む壁を二重に作り上げるという狙いと共に、火力を最大限に発揮し、できるだけ火網を濃密なものとするためだ。
斜面上と稜線上に放列が敷かれているから、平地を突進してくる敵を発見し次第、第一線と第二線から同時に射撃が実施できる。
もし敵の接近を許し、第一線の部隊に敵の歩兵が肉薄して来たとしても、第二線からの榴散弾と軽機関銃の掃射によって援護を行えるようにという狙いもあった。
各分隊が展開する最低距離は四十メートル、平均すると五十メートル程度。
第二大隊には十二門の対戦車砲を有する中隊が三つ所属している、すなわち三十六門の砲があって、それが二重の防衛線を構成するから、この対戦車陣地(パック・フロント)の横幅はおおよそ九百メートルとなる。
限られた時間で、できるだけの工夫を施して築城されていく陣地。
残念ながら、鉄壁とは言えないものだった。
なにしろ、ここにいるのは対戦車砲大隊がひとつだけで、歩兵部隊の随伴(ずいはん)もなく、それ以外の兵科もいないからだ。
王立陸軍における独立対戦車砲大隊は、そもそも、司令部の直轄として、隷下(れいか)の各部隊に増援や補強として派遣される部隊であった。
歩兵部隊による援護や、工兵隊の支援、輜重(しちょう)部隊による補給は、その派遣先の部隊から供給されることとなっているため、独立と名がついているのに自立を前提としていない。
普通は、逆であった。
独立部隊といえば、それ単独で行動が可能な諸兵科連合部隊で、自前で補給を実施することのできる能力を有しているのが一般的だ。
王立陸軍の場合は、独特であった。
その分、所帯が小さい。
そして機動力に富んでいたし、戦況に応じて気軽に動かしやすい編制だ。
人数が多くなればそれだけ、人や物資を動かすために相応の準備と手間が必要になる。
しかし対戦車砲部隊というものだけ分離して他から独立させた編制であれば、最小限の準備だけで出動させることができる。
あっちで用が済んだら、今度はこっちで、と、便利に転戦させることもできる。
部隊運営の基盤は現地の友軍に依存させて、対戦車砲という戦力だけで軽々と移動させる。部隊の規模が小さいから受け入れ先の部隊の補給能力だけでまかなう。
演習場から迅速に出発することができたのも、この、所帯の小ささのおかげだった。
今回は受け入れ先の部隊がいないから、補給は、後から手配してもらえることになっている。
だがそれが到着するまでは手持ちの装備と弾薬で戦う他はなかったし、糧食も三日分の携行糧食が支給されただけで、それが尽きれば飢えてしまうことになる。
もっとも、それだけの日数、ずっとこの一個大隊だけでとどまり続けることになるとは、誰も考えてはいなかった。
すぐに増援がやって来るだろうという希望的観測。
そして、そうでもなければ簡単に防衛は破綻し、撤退を余儀なくされるだろうと、みなが理解していた。
なにしろ、敵は[連邦]。
王国よりも遥かに強大な国力、人口を誇る大勢力なのだ。
侵攻して来る兵力は、さぞかし多いのに違いない。
野戦築城を進める兵士たちの身体には、自然と力がこもる。
それは、これから迎えることになる初陣と、そこで対峙する敵に対する、緊張感のあらわれであった。
対戦車砲部隊がどのような陣地を構築するべきか。
それは、王立陸軍の教範に記されている。
最優先で考慮するべきなのは、隠蔽(いんぺい)であるとされていた。
三十七ミリ対戦車砲というのは、はっきり言ってしまうと、さほど強力な兵器ではない。
歩兵と共に進退し、戦機に間に合うように迅速に機動する、という目的のために小型・軽量に作られた砲だから、威力も限られているし、まともな装甲などついていない。
敵に発見され、戦車砲の榴弾を撃ち込まれでもしたらたまったものではない。
だから、なんとしてでも先手を取る必要があった。
「いいか! 攻撃こそ、最大の防御だ! 」
「「「撃破した敵は、もう撃って来ない!!! 」」」
「そうだ! さぁ、掘れ! みんな、頑張れィ! 」
厳しい訓練の合間、ベイル軍曹から口癖のように言い聞かされて来た信念を復唱しながら、分隊の面々はせっせと携帯円匙(けいたいえんぴ)を振るう。
こちらは、気軽には動くことのできない身の上だ。
いくら軽量とはいっても三百五十キログラムを超える重量の対戦車砲を押したり引いたりするのは何人も力を合わせてようやく可能になることであったし、馬力に頼ろうにも、馬に砲車を取りつけるのには時間がかかる。
見つかったらひらり、と身をかわすようなことはできない。
空を飛び回る戦闘機のように俊敏には動けない。
泥と汗にまみれながら地をはいずり回るのが、対戦車砲であった。
だから、生き残るためには敵を倒さなければならない。
倒す前に、撃たれてはいけない。こちらの防御力はないに等しいのだから、一発の被弾でやられてしまう。
攻撃こそが最大の防御であった。
倒した敵は、二度とこちらに撃っては来ないからだ。
その信念をあらわすかのように、B分隊が装備する対戦車砲の砲身には、[一撃必殺(ワンショット・ワンキル)]という文字が書かれている。
相手に発見される前に先制の一撃を加えるためには、こちらが発砲するまで敵に気づかれてはならないのだ。
だから、王立陸軍の対戦車砲部隊はなによりも隠蔽(いんぺい)に気を使うべしとされ、そのような訓練を受けていた。
少しでも防御力を高めるために地面を掘ってそこに砲をすえつけ、射角を損なわない範囲でできるだけ姿勢を低くして暴露(ばくろ)される部分を減らす。
そうした上で、周囲にあるもの、石垣とか、植物の茂みとか、倒木とか、利用できそうなものはなんでも利用して遮蔽(しゃへい)を確保し、入念に隠蔽(いんぺい)を行う。
できるだけ、自然に溶け込む。
周囲の風景と一体化することで敵にこちらの存在を悟らせず、砲の有効射程にまで引きずり込み、待ち伏せの一撃で確実に仕留める。
それが、対戦車砲の戦い方であった。
命がけのかくれんぼである。
わざとらしくてはいけない。
用意周到な敵であれば、「あそこに敵がいそうだな……」と思っただけで、試しに一発、撃ち込んで来ることがあるからだ。
自然な擬装を心掛けなければならなかった。
また、同じ小隊に所属する王立陸軍の各対戦車砲分隊は、互いに最低四十メートルの距離を開いて陣地を構築することとされている。
これは、陸戦で頻繁(ひんぱん)に用いられる火砲である百五ミリ榴弾砲から発射される砲弾の危害半径が二十メートルほどであり、一発の砲弾によって二つの分隊が一気に被害を受ける、などといった事態を避けるためにはこれだけ離れている必要があったからだ。
第二一七独立対戦車砲連隊・第二大隊は、二重の防御陣地を築こうとしていた。
平野部から緩やかに駆けあがって来る斜面の途中に第一の防衛線を、そして稜線上に第二の防衛線を設定する。
ヴァレンティ中尉が指示した射撃目標である丘の麓の防風林からは、それぞれ一千メートル、一千二百メートルの距離がある。
敵の突破を阻む壁を二重に作り上げるという狙いと共に、火力を最大限に発揮し、できるだけ火網を濃密なものとするためだ。
斜面上と稜線上に放列が敷かれているから、平地を突進してくる敵を発見し次第、第一線と第二線から同時に射撃が実施できる。
もし敵の接近を許し、第一線の部隊に敵の歩兵が肉薄して来たとしても、第二線からの榴散弾と軽機関銃の掃射によって援護を行えるようにという狙いもあった。
各分隊が展開する最低距離は四十メートル、平均すると五十メートル程度。
第二大隊には十二門の対戦車砲を有する中隊が三つ所属している、すなわち三十六門の砲があって、それが二重の防衛線を構成するから、この対戦車陣地(パック・フロント)の横幅はおおよそ九百メートルとなる。
限られた時間で、できるだけの工夫を施して築城されていく陣地。
残念ながら、鉄壁とは言えないものだった。
なにしろ、ここにいるのは対戦車砲大隊がひとつだけで、歩兵部隊の随伴(ずいはん)もなく、それ以外の兵科もいないからだ。
王立陸軍における独立対戦車砲大隊は、そもそも、司令部の直轄として、隷下(れいか)の各部隊に増援や補強として派遣される部隊であった。
歩兵部隊による援護や、工兵隊の支援、輜重(しちょう)部隊による補給は、その派遣先の部隊から供給されることとなっているため、独立と名がついているのに自立を前提としていない。
普通は、逆であった。
独立部隊といえば、それ単独で行動が可能な諸兵科連合部隊で、自前で補給を実施することのできる能力を有しているのが一般的だ。
王立陸軍の場合は、独特であった。
その分、所帯が小さい。
そして機動力に富んでいたし、戦況に応じて気軽に動かしやすい編制だ。
人数が多くなればそれだけ、人や物資を動かすために相応の準備と手間が必要になる。
しかし対戦車砲部隊というものだけ分離して他から独立させた編制であれば、最小限の準備だけで出動させることができる。
あっちで用が済んだら、今度はこっちで、と、便利に転戦させることもできる。
部隊運営の基盤は現地の友軍に依存させて、対戦車砲という戦力だけで軽々と移動させる。部隊の規模が小さいから受け入れ先の部隊の補給能力だけでまかなう。
演習場から迅速に出発することができたのも、この、所帯の小ささのおかげだった。
今回は受け入れ先の部隊がいないから、補給は、後から手配してもらえることになっている。
だがそれが到着するまでは手持ちの装備と弾薬で戦う他はなかったし、糧食も三日分の携行糧食が支給されただけで、それが尽きれば飢えてしまうことになる。
もっとも、それだけの日数、ずっとこの一個大隊だけでとどまり続けることになるとは、誰も考えてはいなかった。
すぐに増援がやって来るだろうという希望的観測。
そして、そうでもなければ簡単に防衛は破綻し、撤退を余儀なくされるだろうと、みなが理解していた。
なにしろ、敵は[連邦]。
王国よりも遥かに強大な国力、人口を誇る大勢力なのだ。
侵攻して来る兵力は、さぞかし多いのに違いない。
野戦築城を進める兵士たちの身体には、自然と力がこもる。
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