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第一部
第35話
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「幸尚さーん、ごめんなさいってば。許してくださいよー。」
「幸尚さん、ごめんなさい!!」
2人にイカされてしまってから、しばらく息が整わなかった。それをいいことに身体中を触られてしまい、息も絶え絶えな顔もしっかり観察されてしまった。やっとまともに会話できるようになると、羞恥心がこみ上げてきた。掛け布団を引っぺがして、自分の身体に巻き付けた。呼び止める2人を振り切ってそのままトイレに籠城することにしたのだ。少しすると、トイレの扉の向こうから呼び掛けてくる声が聞こえてきた。それも無視し続けていると、その声音はどんどんと自信なさげになっていく。最終的には、情けない声で2人が懇願するようになったのだ。トイレに行きたくなった時は少し可哀想かもしれないが、甘い顔をするのはもうやめておこう。親から引き離された子犬のような声を出してはいるが、扉の向こう側にいるのは、凶悪な野生の獣なのだ。
「俺は絶対に出ないからな!この変態!スケベ!エロ!」
「あー、確かに俺はエロいかもしれないですねぇ。見た目は女の人みたいに綺麗なのに、中身はバリバリの雄だよなって友達から何回も言われたことありますよ。女の子からもビックリされますねぇ。」
「俺もセックスには自信ありますから!幸尚さんのこと、すごく気持ちよくできる自信があります!」
三目君と瀬尾君が順番に宣言してくるのを「そんなことは聞いてないだろ!」と一蹴してやった。それ以降は何を言われても返事をしていなかったのだが、扉の向こうの2人の声がどんどんと小さくなっていくのが気になってくる。最終的には何も言わずに扉をカリカリと引っ掻く音しか聞こえてこなくなった。まるで飼い犬2匹を放置している飼い主のような気持ちになってきて大変いたたまれない。「瀬尾君、三目君?」と呼び掛けてみたが、やはり返事はなかった。もしかして2人とももうベッドにもどってしまったのかもしれない。意地を張って自分だけがトイレに籠っているだけなのかもしれない。どんどん不安が大きくなっていったせいで、とうとうトイレの鍵を開けてしまった。ガチャっと鍵が開いたその瞬間、扉が物凄い勢いで開かれた。また騙されたと思った時にはもう遅かった。
「そういう優しくて甘いところ、本当に可愛らしいです。」
「そのままの幸尚さんでいてくださいね。」
トイレに入ってきた瀬尾君に抱きかかえられ、抵抗むなしくベッドルームへと運ばれてしまう。ニコニコ顔の三目君が頬にキスをしてくる。こんな連携プレーをしてくるなんて、本当は仲がいいんじゃないだろうか。ベッドで2人に抱きつかれながら、そんなことをボンヤリと考えていたのだった。
「それで、結局幸尚さんはどっちを選ぶんですか?」
もう考えるのも疲れたと、ベッドで不貞寝をしている間に、気付いたら本格的に居眠りをしてしまっていた。ゆっくりと目を開けると、ベッドヘッドにもたれかかってスマートフォンを見ていた三目君がこちらに気付いたようで「おはようございます」と挨拶をしてきた。眠気眼で返事をすると、オレンジ色の太陽の光が眩しい。違和感に首を傾げていると三目君がクスリと笑って「もう夕方ですよ」と想像もしていなかったことを言ってきた。
「え?夕方?だってさっきが夜明け前だったんだから、まだ朝なんじゃ?!」
「随分とぐっすり寝られてましたからね。一応お昼に起こそうとも思いましたが、疲れてるのかなと思ってそのままにしておきました。少しは疲れはとれましたか?」
三目君が顔を覗き込んできたので頷いておく。こちらのほうがかなり年上のはずなのに、こちらが世話をされている。そんなやりとりをしているうちに、キッチンの方から瀬尾君が顔をのぞかせた。
「あぁ、幸尚さん起きたんですね。おはようございます。もうすぐご飯ができるので、お風呂にでも入ってきてください。もうわかしてありますから。」
返事をする前に、瀬尾君はまたキッチンの方へと戻ってしまった。立ち上がってキッチンをのぞくと、自分の服を身につけた瀬尾君がいそいそと動き回っている。瀬尾君の体格の良さのせいで、自分のパンツとTシャツがパツパツになってしまっているのが大変悲しい。
「いやー、瀬尾って料理もできるんですね。意外でした。」
僕は何もできないんだけどと、三目君がケラケラと笑っている。見た目と中身が一致しない2人だなぁと考えながら、瀬尾君がわかしてくれたお風呂につかる。ホカホカになってリビングに戻ると、テーブルに所狭しと料理が並んでいた。
「ちょっと怒らせちゃったかなと思って、瀬尾が幸尚さんの好物ばっかり作ってくれたんですよ!」
照れたように下を向いてモジモジしている瀬尾君が愛らしく見えてしまい、しっかりするんだと自分の頬を打つ。冷めないうちに食べましょうと促す瀬尾君の言う通りにテーブルの前に座った。瀬尾君が用意してくれたのは、水炊きのお鍋と自分で炙ったのであろう、鰹のタタキ、飴色の大根が食欲をそそる鰤大根に、何だか高そうなボトルの梅酒が添えられている。飢えた身体は正直で、お腹から盛大に大きな音が聞こえてきた。
とりあえず食べましょうと3人で乾杯をし、美味しい料理に舌鼓を打っている時に三目君に質問をされてしまった。「どちらを選ぶのか」と。
「幸尚さん、ごめんなさい!!」
2人にイカされてしまってから、しばらく息が整わなかった。それをいいことに身体中を触られてしまい、息も絶え絶えな顔もしっかり観察されてしまった。やっとまともに会話できるようになると、羞恥心がこみ上げてきた。掛け布団を引っぺがして、自分の身体に巻き付けた。呼び止める2人を振り切ってそのままトイレに籠城することにしたのだ。少しすると、トイレの扉の向こうから呼び掛けてくる声が聞こえてきた。それも無視し続けていると、その声音はどんどんと自信なさげになっていく。最終的には、情けない声で2人が懇願するようになったのだ。トイレに行きたくなった時は少し可哀想かもしれないが、甘い顔をするのはもうやめておこう。親から引き離された子犬のような声を出してはいるが、扉の向こう側にいるのは、凶悪な野生の獣なのだ。
「俺は絶対に出ないからな!この変態!スケベ!エロ!」
「あー、確かに俺はエロいかもしれないですねぇ。見た目は女の人みたいに綺麗なのに、中身はバリバリの雄だよなって友達から何回も言われたことありますよ。女の子からもビックリされますねぇ。」
「俺もセックスには自信ありますから!幸尚さんのこと、すごく気持ちよくできる自信があります!」
三目君と瀬尾君が順番に宣言してくるのを「そんなことは聞いてないだろ!」と一蹴してやった。それ以降は何を言われても返事をしていなかったのだが、扉の向こうの2人の声がどんどんと小さくなっていくのが気になってくる。最終的には何も言わずに扉をカリカリと引っ掻く音しか聞こえてこなくなった。まるで飼い犬2匹を放置している飼い主のような気持ちになってきて大変いたたまれない。「瀬尾君、三目君?」と呼び掛けてみたが、やはり返事はなかった。もしかして2人とももうベッドにもどってしまったのかもしれない。意地を張って自分だけがトイレに籠っているだけなのかもしれない。どんどん不安が大きくなっていったせいで、とうとうトイレの鍵を開けてしまった。ガチャっと鍵が開いたその瞬間、扉が物凄い勢いで開かれた。また騙されたと思った時にはもう遅かった。
「そういう優しくて甘いところ、本当に可愛らしいです。」
「そのままの幸尚さんでいてくださいね。」
トイレに入ってきた瀬尾君に抱きかかえられ、抵抗むなしくベッドルームへと運ばれてしまう。ニコニコ顔の三目君が頬にキスをしてくる。こんな連携プレーをしてくるなんて、本当は仲がいいんじゃないだろうか。ベッドで2人に抱きつかれながら、そんなことをボンヤリと考えていたのだった。
「それで、結局幸尚さんはどっちを選ぶんですか?」
もう考えるのも疲れたと、ベッドで不貞寝をしている間に、気付いたら本格的に居眠りをしてしまっていた。ゆっくりと目を開けると、ベッドヘッドにもたれかかってスマートフォンを見ていた三目君がこちらに気付いたようで「おはようございます」と挨拶をしてきた。眠気眼で返事をすると、オレンジ色の太陽の光が眩しい。違和感に首を傾げていると三目君がクスリと笑って「もう夕方ですよ」と想像もしていなかったことを言ってきた。
「え?夕方?だってさっきが夜明け前だったんだから、まだ朝なんじゃ?!」
「随分とぐっすり寝られてましたからね。一応お昼に起こそうとも思いましたが、疲れてるのかなと思ってそのままにしておきました。少しは疲れはとれましたか?」
三目君が顔を覗き込んできたので頷いておく。こちらのほうがかなり年上のはずなのに、こちらが世話をされている。そんなやりとりをしているうちに、キッチンの方から瀬尾君が顔をのぞかせた。
「あぁ、幸尚さん起きたんですね。おはようございます。もうすぐご飯ができるので、お風呂にでも入ってきてください。もうわかしてありますから。」
返事をする前に、瀬尾君はまたキッチンの方へと戻ってしまった。立ち上がってキッチンをのぞくと、自分の服を身につけた瀬尾君がいそいそと動き回っている。瀬尾君の体格の良さのせいで、自分のパンツとTシャツがパツパツになってしまっているのが大変悲しい。
「いやー、瀬尾って料理もできるんですね。意外でした。」
僕は何もできないんだけどと、三目君がケラケラと笑っている。見た目と中身が一致しない2人だなぁと考えながら、瀬尾君がわかしてくれたお風呂につかる。ホカホカになってリビングに戻ると、テーブルに所狭しと料理が並んでいた。
「ちょっと怒らせちゃったかなと思って、瀬尾が幸尚さんの好物ばっかり作ってくれたんですよ!」
照れたように下を向いてモジモジしている瀬尾君が愛らしく見えてしまい、しっかりするんだと自分の頬を打つ。冷めないうちに食べましょうと促す瀬尾君の言う通りにテーブルの前に座った。瀬尾君が用意してくれたのは、水炊きのお鍋と自分で炙ったのであろう、鰹のタタキ、飴色の大根が食欲をそそる鰤大根に、何だか高そうなボトルの梅酒が添えられている。飢えた身体は正直で、お腹から盛大に大きな音が聞こえてきた。
とりあえず食べましょうと3人で乾杯をし、美味しい料理に舌鼓を打っている時に三目君に質問をされてしまった。「どちらを選ぶのか」と。
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