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元第三王子・ディランが攻略対象だったように、元第四王子・ユアンもやはり攻略対象の一人だ。主人公が聖女を目指した場合、神殿で薬師である彼と出会うことができる。ディラン同様、好感度を上げると彼の隠された生い立ちが判明し、主人公と二人で薬屋を開店させるのがユアンエンドだ。
「失礼ですが、あなた方は商品を食べ比べたことがありますか?」
「あ、あぁ?!こんなにソックリなんだ。食べなくても分からぁ!」
「なるほど……。それでは実験をしてみませんか?こちらの商品、購入いたしますのでこの場で試食させていただけないでしょうか?」
「勿論ですわ。よろしければ、こちらのスプーンをお使いになって」
なんとなくユアンのやりたいことが分かり、私は慌てて引き出しの中から大きめのスープスプーンを取り出した。
「お気遣いいただきありがとうございます。あなた方の商品、そちらはいくらでお譲りいただけるのでしょうか……」
「銀貨四枚だ」
「なるほど……なかなかしますね。まぁ、いいでしょう。購入させていただきます」
ユアンが差し出した銀貨を男たちは渋々といった様子受け取る。
「まず、お二人が秘伝の技術で作ったという商品。一口お試しください」
ユアンはスプーンいっぱいにすくった液体を私の手の甲に数滴垂らす。おそるおそる舐めてみると口の中に苦さと甘さが広がる。が、梅の味がしない。
「甘い……」
「そうでしょう。こちらは、ただ単に砂糖を煮詰めたものではないでしょうか」
その言葉に男たちの顔に、ギクリとした焦りが浮かぶ。図星だったのだろう。
「で、こっちが梅肉エキスになります。さ、どうぞ」
ユアンはスプーン一杯にそれをすくうと、舐めてみろとそのまま男たちに差し出す。男の一人が焦りを悟られまいと平然とした態度でそのスプーンを受け取り、口へ運ぶがその瞬間悲鳴を上げた。
「だぁぁぁぁあ!!! なんだこりゃぁぁぁ!!」
「お分かりいただけたでしょうか?この違いを」
「の、喉が焼ける!!! み、水をくれぇぇぇっぇ」
転げまわるようにして喉をかきむしる男を見ながら、ユアンは楽しそうに微笑む。攻略キャラの中でも知性派のユアン……。そういえば隠れSキャラでも有名だった。
「先ほどはありがとうございました」
昼の診療の受付が終ってから二階にユアンを案内し、改めてお礼を言った。私一人ではあの男達を完膚なきまで叩きのめすことができたかは疑問だ。
「いえいえ、こんな美味しい昼食をいただいてお釣りがくるぐらいですよ」
「それで本日は、どのようなご用件で来院されたんですの?」
「そうそう。本題を忘れるところでした。先ほどの梅肉エキスを私の店で販売させていただきたいんです」
爽やかな笑顔でそう言った彼だが、彼が親切なのはあくまでもゲームをプレイする主人公にだけ。ふと彼の言葉をどこまで信じていいのか疑問になってきた。
「多分、彼なら大丈夫だよ。ただ現時点で材料費などはディランが出している状態だから、彼の確認を取った方がいいと思うけど」
不安になる私の背中を押してくれたのは、意外にもキースさんだった。午後の診療を終え、二階に上がってきた彼は穏やかな顔でユアンを迎える。
「公爵家ではお抱えの薬師がいたから、グレイスはあまり知らないと思うんだけどユアンが働いている薬屋は王城内でも有名なんだ」
なるほど大手薬屋と医者が知り合いなのは至極当然だ。
「キース君も腕はいいんだから、こんな貧乏診療所辞めて、もっといいところで働くべきですよ。もしよかったら大手の病院の働き口紹介できますよ?」
「君は、腕はいいが口が悪いのが欠点だね」
なかなかシュールなやり取りをしている二人だが、そのやり取りを楽しんでいるようでもあり根本的に仲が悪いというわけではなさそうだ。
「あと販売方法についてなのですが、ディランが関わっているならばラッセル商会の商品ということにしてしまった方がいいのではないでしょうか?既に私達の業界ではこの商品、かなり噂になっているんですよ」
「本当ですか?!」
それまで空気のような存在だったリタ兄だが、商品の話になると目を輝かせて話に参加してくれる。自分の商品という認識が出ているに違いない。
「うちの店にも問い合わせがありましてね。調べたらここでしか販売していないと聞いて驚かされました。今回はたまたま粗悪な類似品で難癖をつけてきましたが、精巧な類似品が出てくるのも時間の問題かと。そうなると逆に後ろ盾がない君達の商品が偽物扱いされる恐れもあるかと」
「お前、薬屋のくせに天才だな」
そう言って現れたのはディランだった。タイミングのよさはさすが商人といったところだろうか。
「失礼ですが、あなた方は商品を食べ比べたことがありますか?」
「あ、あぁ?!こんなにソックリなんだ。食べなくても分からぁ!」
「なるほど……。それでは実験をしてみませんか?こちらの商品、購入いたしますのでこの場で試食させていただけないでしょうか?」
「勿論ですわ。よろしければ、こちらのスプーンをお使いになって」
なんとなくユアンのやりたいことが分かり、私は慌てて引き出しの中から大きめのスープスプーンを取り出した。
「お気遣いいただきありがとうございます。あなた方の商品、そちらはいくらでお譲りいただけるのでしょうか……」
「銀貨四枚だ」
「なるほど……なかなかしますね。まぁ、いいでしょう。購入させていただきます」
ユアンが差し出した銀貨を男たちは渋々といった様子受け取る。
「まず、お二人が秘伝の技術で作ったという商品。一口お試しください」
ユアンはスプーンいっぱいにすくった液体を私の手の甲に数滴垂らす。おそるおそる舐めてみると口の中に苦さと甘さが広がる。が、梅の味がしない。
「甘い……」
「そうでしょう。こちらは、ただ単に砂糖を煮詰めたものではないでしょうか」
その言葉に男たちの顔に、ギクリとした焦りが浮かぶ。図星だったのだろう。
「で、こっちが梅肉エキスになります。さ、どうぞ」
ユアンはスプーン一杯にそれをすくうと、舐めてみろとそのまま男たちに差し出す。男の一人が焦りを悟られまいと平然とした態度でそのスプーンを受け取り、口へ運ぶがその瞬間悲鳴を上げた。
「だぁぁぁぁあ!!! なんだこりゃぁぁぁ!!」
「お分かりいただけたでしょうか?この違いを」
「の、喉が焼ける!!! み、水をくれぇぇぇっぇ」
転げまわるようにして喉をかきむしる男を見ながら、ユアンは楽しそうに微笑む。攻略キャラの中でも知性派のユアン……。そういえば隠れSキャラでも有名だった。
「先ほどはありがとうございました」
昼の診療の受付が終ってから二階にユアンを案内し、改めてお礼を言った。私一人ではあの男達を完膚なきまで叩きのめすことができたかは疑問だ。
「いえいえ、こんな美味しい昼食をいただいてお釣りがくるぐらいですよ」
「それで本日は、どのようなご用件で来院されたんですの?」
「そうそう。本題を忘れるところでした。先ほどの梅肉エキスを私の店で販売させていただきたいんです」
爽やかな笑顔でそう言った彼だが、彼が親切なのはあくまでもゲームをプレイする主人公にだけ。ふと彼の言葉をどこまで信じていいのか疑問になってきた。
「多分、彼なら大丈夫だよ。ただ現時点で材料費などはディランが出している状態だから、彼の確認を取った方がいいと思うけど」
不安になる私の背中を押してくれたのは、意外にもキースさんだった。午後の診療を終え、二階に上がってきた彼は穏やかな顔でユアンを迎える。
「公爵家ではお抱えの薬師がいたから、グレイスはあまり知らないと思うんだけどユアンが働いている薬屋は王城内でも有名なんだ」
なるほど大手薬屋と医者が知り合いなのは至極当然だ。
「キース君も腕はいいんだから、こんな貧乏診療所辞めて、もっといいところで働くべきですよ。もしよかったら大手の病院の働き口紹介できますよ?」
「君は、腕はいいが口が悪いのが欠点だね」
なかなかシュールなやり取りをしている二人だが、そのやり取りを楽しんでいるようでもあり根本的に仲が悪いというわけではなさそうだ。
「あと販売方法についてなのですが、ディランが関わっているならばラッセル商会の商品ということにしてしまった方がいいのではないでしょうか?既に私達の業界ではこの商品、かなり噂になっているんですよ」
「本当ですか?!」
それまで空気のような存在だったリタ兄だが、商品の話になると目を輝かせて話に参加してくれる。自分の商品という認識が出ているに違いない。
「うちの店にも問い合わせがありましてね。調べたらここでしか販売していないと聞いて驚かされました。今回はたまたま粗悪な類似品で難癖をつけてきましたが、精巧な類似品が出てくるのも時間の問題かと。そうなると逆に後ろ盾がない君達の商品が偽物扱いされる恐れもあるかと」
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そう言って現れたのはディランだった。タイミングのよさはさすが商人といったところだろうか。
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