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第79話 エミリアの怒り
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何の話だ?
アンソニーは全く話の内容が想像出来ず、エミリアを見つめた。
「リア・アーロンは私の妹、リンドブルムの第2王女だったユーフェミアの一人娘です。」
アンソニーは言われた言葉の意味が一瞬理解できなかった。
エミリア王妃の妹はエミリアがアルノーに嫁いできた後、未婚のまま16か17年くらい前に亡くなっているはずだ。
ぼんやりしていると王妃が言葉を続けた。
「詳しい事情は伏せますが、つまり、あの子は私の姪なのです。」
じわじわと言葉の意味がその身に染み込み理解できた時、アンソニーはハッとして息子を見た。
「お前は知っていたのか?なぜ、私に言わなかった!」
そのような大事な事実を自分に隠していた息子に怒りがわいた。
それを先に言ってくれていれば、交際を反対などするものか。
むしろ喜んで彼女を公爵家に取り込んだだろう。
ルーファスは床に膝をつき、うなだれたまま無言だった。
さらに息子に詰め寄ろうとしたアンソニーをクリスが止めた。
「それは僕が命じたからだ。ルーファスは僕らと一緒に行動する中で、たまたまその事実を知ったからね。リンドブルムを巻き込む国際的な問題も絡む内容だし、他言無用との誓約書にサインをさせたんだよ。」
王子の命令があり、誓約もしていると言われれば息子をなじるわけにはいかない。
黙り込んだアンソニーにエミリアは言葉を続けた。
「あの子はヘンリーとリュークフェルドが王位を継げば、アルノーとリンドブルムの両国王をいとこに持つ唯一の存在となるのです。」
ヘンリーはクリスの兄、リュークフェルドはジークフェルドの兄だ。
「王族を除き、両国において最も高貴な血を継いだ娘と言えるでしょう。今回、公爵がリアにした仕打ちはリンドブルム国王にも報告します。沙汰が下るまでお待ちなさい。」
青ざめるアンソニーにエミリアは追い打ちをかけるように冷たい表情で告げた。
「今日、あなたを王宮に呼んだのは、これを伝えたかっただけです。用は済んだので、即刻立ち去りなさい。」
”用は済んだから、早く帰れ”
夕方、リアに突き付けた言葉がそのまま自分に返ってきた。
アンソニーが衝撃のあまり立ち尽くしていると、ルーファスが思いつめた表情でエミリアに尋ねた。
「王妃様。リアは、リアは今どうしているのでしょう?」
「大丈夫よ。今は落ち着いて、私のベッドで眠っているわ。」
この日、初めて王妃が笑顔を見せた。
それを聞いて、ルーファスは安心したように息をついた後、父を促し部屋を出て行った。
※
帰りの馬車の中も重苦しい空気が漂っていたが、アンソニーがポツリとつぶやいた。
「おまえは本当にあの娘を好いていたのか?」
少しの沈黙の後、ルーファスが答えた。
「ええ。生徒会で同じ役職になり話をするうちに・・・。彼女は入学時、すでに男爵領の運営についての知識を身につけていました。その利発さや、明るく可愛い彼女に好意をいだき、こんな子が妻になってくれたらいいのにと思いましたが、リアの身分では父上の許可が出ないだろうと、一度は諦めました。だから彼女が王妃様の姪だと知ってとても嬉しかった。これで、父上もこの恋を認めて下さるだろうと・・・」
そこでルーファスは言葉を止めた。
静かに泣いているようだった。
アンソニーは崖から突き落とされたような衝撃を受けた。
息子は自分を裏切っていなかった。
一度は自分の恋を諦めようとしたり、父であるアンソニーの意向をちゃんとくみ取ってくれていたのだ。
それを自分が全てを台無しにしてしまった。
エミリア王妃はあの娘をたいそう大事にしているようだったし、決してアンソニーを許さないだろう。
おそらくリンドブルム国王も・・・。
その後、2人とも一言も発することなく馬車は公爵邸に戻ったのだった。
アンソニーは全く話の内容が想像出来ず、エミリアを見つめた。
「リア・アーロンは私の妹、リンドブルムの第2王女だったユーフェミアの一人娘です。」
アンソニーは言われた言葉の意味が一瞬理解できなかった。
エミリア王妃の妹はエミリアがアルノーに嫁いできた後、未婚のまま16か17年くらい前に亡くなっているはずだ。
ぼんやりしていると王妃が言葉を続けた。
「詳しい事情は伏せますが、つまり、あの子は私の姪なのです。」
じわじわと言葉の意味がその身に染み込み理解できた時、アンソニーはハッとして息子を見た。
「お前は知っていたのか?なぜ、私に言わなかった!」
そのような大事な事実を自分に隠していた息子に怒りがわいた。
それを先に言ってくれていれば、交際を反対などするものか。
むしろ喜んで彼女を公爵家に取り込んだだろう。
ルーファスは床に膝をつき、うなだれたまま無言だった。
さらに息子に詰め寄ろうとしたアンソニーをクリスが止めた。
「それは僕が命じたからだ。ルーファスは僕らと一緒に行動する中で、たまたまその事実を知ったからね。リンドブルムを巻き込む国際的な問題も絡む内容だし、他言無用との誓約書にサインをさせたんだよ。」
王子の命令があり、誓約もしていると言われれば息子をなじるわけにはいかない。
黙り込んだアンソニーにエミリアは言葉を続けた。
「あの子はヘンリーとリュークフェルドが王位を継げば、アルノーとリンドブルムの両国王をいとこに持つ唯一の存在となるのです。」
ヘンリーはクリスの兄、リュークフェルドはジークフェルドの兄だ。
「王族を除き、両国において最も高貴な血を継いだ娘と言えるでしょう。今回、公爵がリアにした仕打ちはリンドブルム国王にも報告します。沙汰が下るまでお待ちなさい。」
青ざめるアンソニーにエミリアは追い打ちをかけるように冷たい表情で告げた。
「今日、あなたを王宮に呼んだのは、これを伝えたかっただけです。用は済んだので、即刻立ち去りなさい。」
”用は済んだから、早く帰れ”
夕方、リアに突き付けた言葉がそのまま自分に返ってきた。
アンソニーが衝撃のあまり立ち尽くしていると、ルーファスが思いつめた表情でエミリアに尋ねた。
「王妃様。リアは、リアは今どうしているのでしょう?」
「大丈夫よ。今は落ち着いて、私のベッドで眠っているわ。」
この日、初めて王妃が笑顔を見せた。
それを聞いて、ルーファスは安心したように息をついた後、父を促し部屋を出て行った。
※
帰りの馬車の中も重苦しい空気が漂っていたが、アンソニーがポツリとつぶやいた。
「おまえは本当にあの娘を好いていたのか?」
少しの沈黙の後、ルーファスが答えた。
「ええ。生徒会で同じ役職になり話をするうちに・・・。彼女は入学時、すでに男爵領の運営についての知識を身につけていました。その利発さや、明るく可愛い彼女に好意をいだき、こんな子が妻になってくれたらいいのにと思いましたが、リアの身分では父上の許可が出ないだろうと、一度は諦めました。だから彼女が王妃様の姪だと知ってとても嬉しかった。これで、父上もこの恋を認めて下さるだろうと・・・」
そこでルーファスは言葉を止めた。
静かに泣いているようだった。
アンソニーは崖から突き落とされたような衝撃を受けた。
息子は自分を裏切っていなかった。
一度は自分の恋を諦めようとしたり、父であるアンソニーの意向をちゃんとくみ取ってくれていたのだ。
それを自分が全てを台無しにしてしまった。
エミリア王妃はあの娘をたいそう大事にしているようだったし、決してアンソニーを許さないだろう。
おそらくリンドブルム国王も・・・。
その後、2人とも一言も発することなく馬車は公爵邸に戻ったのだった。
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