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はじめての異世界 ―ウィリデ探訪編―
ルースの宿 その2
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俺はそれが気のせいなのか分からなかったが、リサは素早い反応を見せて走り出した。彼女の様子を見てすぐに後に続いた。
「――こっちよ」
リサは駆け足で先を進んでいく。
遅れないように後についていくと、草むらと林の境い目が見えた。
ちょうど林が切れる辺りに一人の人影とその回りを取り囲むイノシシがいた。
「……あれはデンスイノシシか。四、五頭はいるな」
「あの人を助けるから援護して」
どうすべきか決めかねていると、リサがイノシシに接近するところが目に入った。
少々危険な気もするが、魔術の準備をして手助けすることにした。
――全身を流れるマナに意識を向ける。
追い払うだけでいいのなら、そこまでむずかしいことはない。
ただ、群れで動いているイノシシに威嚇が通じるだろうか。
すでに距離をつめているリサとは対称的に、俺は距離をおいて対峙していた。
「おおぅ、お嬢ちゃんたち助けてくれ! 罠にかかったイノシシを回収してたら仲間が集まってきて襲われてる」
「大丈夫よ、もう少し待って」
リサはそういって勇気づけた。
男性は周りを囲むイノシシでパニックになりかけているようだ。
彼女は足元の石を拾って、男性の一番近くにいたイノシシに投げつけた。
それが直撃して、イノシシは後ずさった。
しかし、別のイノシシが彼女に向けて突進の構えを見せている。
おそらく、どうにか避けるだろうが、相手の数が多いので油断は禁物だ。
リサとイノシシの間合いが広いうちに、魔術を仕掛けたほうがいい。
俺は火の魔術を発動して、手のひら大の火球を放った。
その一撃が命中して、イノシシの毛が焼け焦げる煙が上がった。
さすがに火の玉が直撃して怯んだらしく、その一匹は後ずさった。
「――まだです。ボスイノシシがいますよ」
「……あっ、あれですか」
少数の群れを確認すると、一際大きな一匹がいた。今まで見たこともない大きさで凶器にしか見えない牙を携えている。
同朋が罠にかけられたのが逆鱗にふれたのか、逃げ出そうとする男性に狙いを定めているように見える。これは危険だ。
リサがそれ以外のイノシシを追い払ってくれたので、残るはそいつだけだった。
俺は火の魔術を発動しながら狙いを定める。
狙いを誤るわけにはいかないので、じりじりと距離を詰めて調整した。
こちらが接近すると、威嚇するように牙を突き出す動作を繰り返している。
「――よし、いける」
俺はさっきよりも大きめの火球を発動して、標的に目がけて放った。
手のひらの先から炎が上がり、勢いよく飛んでいった。
「ふごおおお――」
火の玉の直撃を胴体に受けて、ボスイノシシは翻って逃げていった。
遠巻きにボスを見守っていたイノシシたちもそれに続いた。
「いやあ、助かった。おれはルースだ。あそこで宿屋をやってる」
男性はルースと名乗った。どうやらあそこの主人のようだ。
年齢は俺より少し年上――三十代後半ぐらいだろうか。短めの金髪に伸びた髭、適度に筋肉のついた健康そうな体つきをしている。
「無事で良かったですよ、ほんとに」
「今日の晩飯にと思っていたら、いつの間にかああなってた」
ルースは照れるような笑いを浮かべていった。
俺たちがいなければどうなっていたか分からない。
「ところで、宿に泊まらせてもらいたいんだけど?」
「なんだ、あんたらうちへ泊まりたいのか。ちょうど今日は空いてるからいいぜ。まあ、まずは宿に入ろう」
ルースはそういって罠にかかったイノシシを外そうとした。
しばらく様子を見守っていたが、手伝いは必要ないみたいなので、俺たちは引き返して宿に向かった。とりあえず、今日の寝場所が確保できて安心した。
「――こっちよ」
リサは駆け足で先を進んでいく。
遅れないように後についていくと、草むらと林の境い目が見えた。
ちょうど林が切れる辺りに一人の人影とその回りを取り囲むイノシシがいた。
「……あれはデンスイノシシか。四、五頭はいるな」
「あの人を助けるから援護して」
どうすべきか決めかねていると、リサがイノシシに接近するところが目に入った。
少々危険な気もするが、魔術の準備をして手助けすることにした。
――全身を流れるマナに意識を向ける。
追い払うだけでいいのなら、そこまでむずかしいことはない。
ただ、群れで動いているイノシシに威嚇が通じるだろうか。
すでに距離をつめているリサとは対称的に、俺は距離をおいて対峙していた。
「おおぅ、お嬢ちゃんたち助けてくれ! 罠にかかったイノシシを回収してたら仲間が集まってきて襲われてる」
「大丈夫よ、もう少し待って」
リサはそういって勇気づけた。
男性は周りを囲むイノシシでパニックになりかけているようだ。
彼女は足元の石を拾って、男性の一番近くにいたイノシシに投げつけた。
それが直撃して、イノシシは後ずさった。
しかし、別のイノシシが彼女に向けて突進の構えを見せている。
おそらく、どうにか避けるだろうが、相手の数が多いので油断は禁物だ。
リサとイノシシの間合いが広いうちに、魔術を仕掛けたほうがいい。
俺は火の魔術を発動して、手のひら大の火球を放った。
その一撃が命中して、イノシシの毛が焼け焦げる煙が上がった。
さすがに火の玉が直撃して怯んだらしく、その一匹は後ずさった。
「――まだです。ボスイノシシがいますよ」
「……あっ、あれですか」
少数の群れを確認すると、一際大きな一匹がいた。今まで見たこともない大きさで凶器にしか見えない牙を携えている。
同朋が罠にかけられたのが逆鱗にふれたのか、逃げ出そうとする男性に狙いを定めているように見える。これは危険だ。
リサがそれ以外のイノシシを追い払ってくれたので、残るはそいつだけだった。
俺は火の魔術を発動しながら狙いを定める。
狙いを誤るわけにはいかないので、じりじりと距離を詰めて調整した。
こちらが接近すると、威嚇するように牙を突き出す動作を繰り返している。
「――よし、いける」
俺はさっきよりも大きめの火球を発動して、標的に目がけて放った。
手のひらの先から炎が上がり、勢いよく飛んでいった。
「ふごおおお――」
火の玉の直撃を胴体に受けて、ボスイノシシは翻って逃げていった。
遠巻きにボスを見守っていたイノシシたちもそれに続いた。
「いやあ、助かった。おれはルースだ。あそこで宿屋をやってる」
男性はルースと名乗った。どうやらあそこの主人のようだ。
年齢は俺より少し年上――三十代後半ぐらいだろうか。短めの金髪に伸びた髭、適度に筋肉のついた健康そうな体つきをしている。
「無事で良かったですよ、ほんとに」
「今日の晩飯にと思っていたら、いつの間にかああなってた」
ルースは照れるような笑いを浮かべていった。
俺たちがいなければどうなっていたか分からない。
「ところで、宿に泊まらせてもらいたいんだけど?」
「なんだ、あんたらうちへ泊まりたいのか。ちょうど今日は空いてるからいいぜ。まあ、まずは宿に入ろう」
ルースはそういって罠にかかったイノシシを外そうとした。
しばらく様子を見守っていたが、手伝いは必要ないみたいなので、俺たちは引き返して宿に向かった。とりあえず、今日の寝場所が確保できて安心した。
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