2 / 31
5歳
家族1
しおりを挟むコンコン
「はーい」
「失礼いたします。」
部屋に入り俺にお辞儀すると、黒いボブの髪を揺らしながら歩いてくる彼女はメイドの長谷川 美紅さん。俺付きで身の回りの世話をしてくれている。多分20過ぎ位で凄く美人だ。
「優様、もう少しで夕食のお時間ですのでお着替えいたしましょう」
女の人に着替えさせられるのが未だに慣れない。
1度自分でしたいって言ってみた事がある。言ってみたものの、服が複雑で1人で着るのが難しく途中で断念した。
「みくさん、今日はだれがいるの??」
「…今日は奥様、そして御兄弟様全員がいらっしゃいます。旦那様は仕事でまだお帰りになっておりません。」
この家の夕飯は家族みんなでが決まりだ。誰かが欠けていてもダイニングルームへ集まりご飯を食べるのだ。
俺がこの部屋を出られるのはこの夕食時のみ。トイレやお風呂、洗面所もこの部屋にあるから全てこの部屋で済ませられる。だから唯一の気分転換が夕食時なのだ。
…もうここまで来ると軟禁じゃないか?
いや、考えるのはやめておこう。
ふと思った。こんな豪邸に住んでいるのだから父は相当稼いでるのだろう。今更だけど父がなんの会社で働いているのかを全く知らない。
「ねえねえみくさん。父さまってどんなおしごとしてるの??」
少し驚いたような顔をして俺を見ている美紅さん
「旦那様がお帰りになられた際に優様が直接旦那様にお聞きになる方がお喜びになると思いますよ」
と嬉しそうに微笑んで俺を抱き上げて食堂へと向かった。
…とりあえず下ろしてくれないかな…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やっぱりこの部屋には慣れないな
前世で知っている物より倍大きい細長いテーブルがこの大きい部屋にすっぽり収まっている。少し小さく思えてしまう程に。
そんなテーブルの奥の方に座っているのは先に着いていた母様だ。
「あら優ちゃん!今日は早いわね!待っていたわ私の可愛い可愛い優ちゃん」
俺に駆け寄るとチュッと頬にキスをし、抱きしめてスリスリしてくるのは俺の母親で有栖川 サクラ。
少し日本人離れした容姿は、流暢な日本語を聞くと日本と外国のハーフなのかもしれない。
顔立ちがハッキリしていて二重で鼻が高く、胸まである少し明るい茶髪をふんわり巻いている。痛みを知らなそうな髪の毛は天使の輪っかが光っていた。
いくら若くても兄弟の年齢からすれば30歳は超えているはずなのに全く見えない。正直20と言われても信じるかもしれない。
「か、かあさま」
「あらあらごめんなさい。つい可愛くて」
愛しそうに俺を見る母様。
やっぱりめちゃくちゃ美人だ…
……これは男のロマン男のロマンみんなしたいと思ってる……神様ごめんなさい!!!
心で神に土下座しながら俺は母の大きな胸にダイブした。
「母さまだいすきです!」
色んな意味で!!!!
すぐに離れて上を向き上目遣いでにっこり笑う。
「きゃぁぁぁ優ちゃん可愛すぎ!」
凄い力で抱きしめられ、また天国へとダイブする。
あぁ。幸せだ……前世では経験出来なかった夢が叶った…もう未練はないっ!!!!
「お母様。優が苦しそうなのでそろそろ離してあげてください。」
そんな天国に水を差したのは次男の、有栖川 月都だった。
優しい茶色の髪の毛に二重の切れ長の目、そして高い綺麗な鼻…まぁあただのドのつくイケメンだ。確か年齢は俺の9歳上で14歳。中学校に通っているらしい。
「あらほんとだわ!優ちゃんごめんね」
名残惜しく母様から離れると後ろから脇に手を入れられ途端宙に浮く。
「ねぇ優。…そんなにお母様がいいのかい?」
耳元で甘い声が囁かれる。
少し冷たい声にビクッと震えた。
クスッ
「冗談だよ。さ、席に座って他を待とうか」
俺を席まで抱きかかえて下ろし、頭を撫でて自席へ戻って行った。
いやいやいやいやいやあれ絶対冗談じゃないでしょ声がまじだった。あれはまじだった。
1年位前の夕飯で嫌いな茄子が出てきた時、いつものように目を盗んでポケットに入れて自室のゴミ箱に捨てたのだが、それを月都に見られてしまっていたのだ。4歳の俺には大誤算だった。
「ねぇ優。いつもそんなことしての?」
と問いかけてくる兄の目は笑ってなかった。
その後散々家族に怒られたのだが、
今考えると、良く何回も成功したなと思う。子供の悪知恵というものは凄い。
そうその時と声が同じだったのだ。
まじで怖い。この兄が1番怒らせてはダメな人なのかもしれない。
230
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる