5 / 31
5歳
作戦ノート
しおりを挟む「では失礼致します。何かありましたらそこのブザーを押してください。」
「うん!わかってるよ!」
頭を下げて俺の部屋から出ていく美紅さん。
部屋の端に、王子様が出る映画にありそうなクイーンサイズのベッドの横に丸い赤いボタンがある。家族の全部屋にあるそれは使用人の控え室に繋がっていてその時にいる人が部屋へと向かう。
大体は自分の専属が来てくれるが、休んでいる深夜などは夜勤の人が来てくれる。
ずっと美紅さんが居てくれるし美紅さんが居ない時はわざわざ呼びだすのが申し訳なくて1度も使ったことがない。
20時…か。
お風呂とか寝る準備をしてたらこんな時間になってしまった。
後1時間で寝なければいけない
21時には寝ろと言われているのでその時間になると寝ているか見に来るのだ。まぁあ寝れない日もあるのが分かっているから寝顔までは確認しに来ない。部屋が暗くなっていてベッドに入ってたら良いらしい。
けど俺はどこにも行っていないのにすぐに寝落ちしてしまう。
5歳はこんなもんだろう。
いつもなら寝るまで本を読むが今日は違う!
机の引き出しからノートと鉛筆を取り出して少し高いベッドに登る。
「よいしょと」
登るのも一苦労だ。
4歳まで母様と一緒に寝ていたから抱っこして上げてくれたけど今は誰も居ないから1人で上がるしかない。
何故か4歳の時に急に母と寝るのが恥ずかしくなってそこからめちゃめちゃ説得して1人で寝ている。
大変だけどここくらいしか体を動かしているって感じしないしいいんだけどね
スウッ
「俺の脱出大しゃく戦~!!!!!」
大きく息を吸って小声で叫ぶ
…おほん。少し噛んだのは5歳だし許して欲しい。
小声なのはもし誰か居たとしたらヤバいし、声に出さなくても言いけどやっぱり雰囲気は大切だ、雰囲気は…
さて、どんな作戦を立てようか。
正直ここまで却下されると思わなかった
…説得は長期戦になりそうなので徐々にしていくことにするとして、とりあえず誰にもバレずに抜け出して誰にもバレずに帰ってくるしか出る方法はないはず。
だって絶対共犯になってくれる人は居ない。使用人の方達は父が雇ってる訳だし、しかも何故だかここには過保護な人しか居ない。
まぁあ俺可愛いしな。
……いや、凄くイタイことを言ってるのは分かる、うん。分かるよ!
前世の俺が言ってたらまじでドン引きされてたと思う。
けど今の容姿ならそんな事を言っても、まあ、確かにって賛同されるんじゃないかな?
鏡を見る度に思う。これまじで俺なの?ってなる。
けど髪色だけは好かない。
兄弟、家族誰一人こんなに明るい髪をした人がいないからだ。
…たまに、ほんとにたまに本当の家族ではないんじゃ?って思う時がある。
けどそんな心配は要らないだろう。
母様の綺麗な碧色の目は俺と同じだし、それより顔がそっくりだ。
母様がハーフなら隔世遺伝ってこともあるよなぁ……
違う違う。脱出の方法を考えなきゃ。
抜け出すには深夜しかないんじゃないか…?
だって1日のほとんど美紅さんと居るし、寝る時間のすぐ後だと俺の様子を見に来る人がいる。これは深夜に決行するしかないだろう。
けど俺起きてられるかな?
いや、体調を崩した振りをして夜まで部屋にこもって寝ていよう。
そしたらその時には寝すぎで目が覚めて寝れないだろう。もし万が一眠くなってしまったら好きな本を読んでいよう。
よし。これでいい。
あとは家族だ。運悪く脱出時間に部屋に来てしまうかもしれない。
…確か3ヶ月後に姉様も兄様達も期末テストがあるはずだ
そのテストが終わった日にしよう
1週間も試験があるから多分その1週間は特に頑張って勉強するはず!
母様と父様か……帰って来れない日が多い2人がその日に部屋に来る確率は相当低いと思う多分……多分!
考えたことをノートに書き込む。
5歳の手では字が書きにくい…
少し、いや。相当汚いが自分では何となく分かるのでこれでいい。
どこにしまおうか…
ここでいいや。
机の上に小さい棚があるのだがここにはこの部屋に大量にある絵本や5歳でも読める小説の感想が事細かに書いているノートがある。
その日によって楽しい話悲しい話ハラハラする話など読みたい本が変わるため、このノートを読んで何を読むか考えるのだ。
しかも8冊もある。
けど字が汚すぎてこれが小説の感想だなんて思わないだろう多分ただの落書きか日記だと思われてる。
前世の記憶が無い5歳になりたての頃に始めたやつだ。
テレビもないから暇すぎて大量にある本を読んでたらハマってしまい、ノートに感想までつけてしまった。
だからここに同じ色の脱出大作戦のノートを入れても多分バレない。題名も同じにしておけば、尚バレないだろう。
真ん中位に入れておこう。
これが脱出の作戦ノートだなんて誰も思わないだろう。
よし。おっけー
ふいに時計を見ると20時50分を指していた。
ふぁあ
寝よう…
この作戦が上手くいきますように。
窓から見える星に願った。
213
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる