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越えてはいけない境界線のその先は、メジャーだったのです。
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「皇会長わかってる~!! も~、何! 何なんですか、貴方たちは! 王道ルートまっしぐらじゃないですか!! 今夜のエッチはこれで決・ま・り……「るっせぇ! 腐男子!」……んも~、萌・え・る~!!」
萌えんな!
は~っていう、なが~いため息を吐き終えると、僕は半閉じ眼で腐男子友人こと坂本君を見ました……しょうがないので名前を出してやるぞ。
対して、見つめられた坂本君は嬉々とした様子で僕に、「動かないでね~♪」と歌うように告げながら、手にする武器を翳してみせました。
う~ん。僕の妹の沙耶ちゃんが持っている物と寸分変わらないそれが、今や僕を襲う凶器に見えます。女の子はあれを使い、このストレス社会で戦っているのですね。大変です。あ、ちなみに沙耶ちゃんは現在高校一年生です。
しかし。
「僕、いったい何をやってるんでしょうかね?」
「平凡君のためにも、現状をオブラートに包んで言えば……仮装だね」
ニコニコと天使の頬笑みで死刑宣告をするのは、副会長の七海君です。僕の横に座って、坂本君のアシスタントをしています。
え、何のアシスタントかって? ふっ……。
十五分後。
「ん~、よっし! これでどうでしょ!?」
「どれどれ? へ~。こりゃおったまげたね。え、平凡君だよね?」
それ、もはや定着してしまった仇名なんですかね? 僕にもちゃんとした名前があるのですが。
まあ、それはそれとして今は置いておきますが……七海君? どうして僕の顔を見て口をあんぐりとさせているんです? って、それはわけを聞かなくてもわかりますか。そりゃあ、そうですよね。そうだと思いますとも。だって……。
「平凡君が女装だなんて! 王道展開キター!!」
来んな。
フリフリのレースがあしらわれたワンピースドレスに身を包まされた性別・野郎の僕は、心の中で突っ込みました。
けらけらと笑う坂本君を憎しみの対象としてしか見られなくなってしまったあのバ会長に、すべての怒りをぶつけたいです。
「まぁまぁ♪ 君もまずは仕上がりを見てくださいよ。僕、こう見えてメイクには自信があるんですから♪」
どうしてメイクの腕に自信があるのか、ぜひともエピソードをお聞きしたいところです。
嫌でしたが、変なメイクをさせられていないか心配だったので、手鏡を取りました。
ご対面。
「どうして沙耶ちゃんがここにいるんです?」
「そりゃあ、君たち兄妹ですから♪」
驚いたことに、目の前には妹の沙耶ちゃんがいたのです。いや、大人バージョン沙耶ちゃんです。お兄ちゃん、びっくり。
坂本君のメイク技術に感服しました。兄を妹に化かす技術を持っていたとは。
でもまあ、良く見れば僕ですね。沙耶ちゃんはもっと可愛らしいですから。やっぱり、野郎の顔は野郎でしかないのです。
頭の異物感。このヘッドドレスだけでも外したいです。
「ホントにこれで出なくちゃならんのですか?」
誰ともなく尋ねれば、七海君がやっぱりニコニコ笑顔で手を前に合わせました。
「ボランティアだと思って。ホントに悪いと思ってるよ」
「悪いと思っているのなら、前回の女装の時に懲りているはずなんですがね」
は~っと嘆息。
しかしメイク道具を片付ける両名は。
「あ~、あれね! あれはすごかった! 後日、夢に出てきて魘されるくらいだったよ!」
「あの時はひどかったね! まあ、僕に頼らず自分でメイクを施した君が悪いんだけどさ」
「あいにく、自身のスキンケアは洗顔のみで、それ以上の知識は無いものなので」
実は前回も、僕は女装したことがあるんです。この時はクラスの罰ゲームだったんですが。自分で施した初メイクも、皆にとってはいい罰ゲームだったようで。それを知っている皇君は鬼よろしく、今回の特進クラスの助っ人に僕を抜擢したというわけです。ようは晒しものですよ、晒しもの。皆に笑われろということです。
え? ああ、特進クラスの出し物ですか? メイド&執事喫茶だそうです。なんでも、皇君の執事姿が見たいとかで通った案とかで。でも、肝心の皇君は、生徒会の仕事が盛りだくさんで、執事姿は見られるかどうか……僕にはどうでもいい話ですがね。
ちなみに、メイドさんをやるのは、可愛いチワワ軍団。これがまた似合うのなんので、僕がお客さんことご主人様として帰りたいくらいなんですがね。でも、彼らがそれをやるのも、皇君に気に入られたいからなんでしょうね。むしろ気に入られてしまえ。
「けどさ~」
ん? なんですか、七海君。困ったような顔をして。
「これ、若が知っちゃったらどんな反応するかな~? ちょっとまずいかもね~」
「まずいならとっとと脱ぎ去りたいんですがね」
男子高校生に戻りたいんですがね。あ、若とは皇君のこと……若菜からとって若だそうです。この呼び方は、七海君しか許されていないんだそうです。
そして僕の呟きに、「違う、違う」と半笑いしました。
は?
「アイツってば、前回の君の女装バージョンしか知らないからさ~。それもあってこの役に抜擢したんだと思うんだけど」
「やっぱり罰ゲームですか、これは」
「っていうか、虫除け?」
虫除け? 女装が虫除けになるんですか? 初めて知りましたよ。
ほ~っと感心していると、横で坂本君が。
「キャー!!」
顔を赤らめ、両頬に手を添え、腰をくねくねさせながら「キタコレー!!」と歓喜していました。
つか、アンタ。それはキモいです。
わけはやっぱりわかりませんが、特進クラスは人気ですし。それになんといっても、メイド&執事喫茶となれば、満席は必須。
「とりあえず、お仕事はしますよ。その代わり、これから一週間のクリームパンの件、覚えておいてくださいね」
タダで引き受けるほど、僕は優しくありません。これからの昼食後、極上クリームパンが楽しみです。
そう言ったら、七海君はウインクで答えました……似合うな、このイケメン。
「それは若がやってくれるから大丈夫。さて、アイツの驚愕の顔が見物ですな」
いざ、出陣。
萌えんな!
は~っていう、なが~いため息を吐き終えると、僕は半閉じ眼で腐男子友人こと坂本君を見ました……しょうがないので名前を出してやるぞ。
対して、見つめられた坂本君は嬉々とした様子で僕に、「動かないでね~♪」と歌うように告げながら、手にする武器を翳してみせました。
う~ん。僕の妹の沙耶ちゃんが持っている物と寸分変わらないそれが、今や僕を襲う凶器に見えます。女の子はあれを使い、このストレス社会で戦っているのですね。大変です。あ、ちなみに沙耶ちゃんは現在高校一年生です。
しかし。
「僕、いったい何をやってるんでしょうかね?」
「平凡君のためにも、現状をオブラートに包んで言えば……仮装だね」
ニコニコと天使の頬笑みで死刑宣告をするのは、副会長の七海君です。僕の横に座って、坂本君のアシスタントをしています。
え、何のアシスタントかって? ふっ……。
十五分後。
「ん~、よっし! これでどうでしょ!?」
「どれどれ? へ~。こりゃおったまげたね。え、平凡君だよね?」
それ、もはや定着してしまった仇名なんですかね? 僕にもちゃんとした名前があるのですが。
まあ、それはそれとして今は置いておきますが……七海君? どうして僕の顔を見て口をあんぐりとさせているんです? って、それはわけを聞かなくてもわかりますか。そりゃあ、そうですよね。そうだと思いますとも。だって……。
「平凡君が女装だなんて! 王道展開キター!!」
来んな。
フリフリのレースがあしらわれたワンピースドレスに身を包まされた性別・野郎の僕は、心の中で突っ込みました。
けらけらと笑う坂本君を憎しみの対象としてしか見られなくなってしまったあのバ会長に、すべての怒りをぶつけたいです。
「まぁまぁ♪ 君もまずは仕上がりを見てくださいよ。僕、こう見えてメイクには自信があるんですから♪」
どうしてメイクの腕に自信があるのか、ぜひともエピソードをお聞きしたいところです。
嫌でしたが、変なメイクをさせられていないか心配だったので、手鏡を取りました。
ご対面。
「どうして沙耶ちゃんがここにいるんです?」
「そりゃあ、君たち兄妹ですから♪」
驚いたことに、目の前には妹の沙耶ちゃんがいたのです。いや、大人バージョン沙耶ちゃんです。お兄ちゃん、びっくり。
坂本君のメイク技術に感服しました。兄を妹に化かす技術を持っていたとは。
でもまあ、良く見れば僕ですね。沙耶ちゃんはもっと可愛らしいですから。やっぱり、野郎の顔は野郎でしかないのです。
頭の異物感。このヘッドドレスだけでも外したいです。
「ホントにこれで出なくちゃならんのですか?」
誰ともなく尋ねれば、七海君がやっぱりニコニコ笑顔で手を前に合わせました。
「ボランティアだと思って。ホントに悪いと思ってるよ」
「悪いと思っているのなら、前回の女装の時に懲りているはずなんですがね」
は~っと嘆息。
しかしメイク道具を片付ける両名は。
「あ~、あれね! あれはすごかった! 後日、夢に出てきて魘されるくらいだったよ!」
「あの時はひどかったね! まあ、僕に頼らず自分でメイクを施した君が悪いんだけどさ」
「あいにく、自身のスキンケアは洗顔のみで、それ以上の知識は無いものなので」
実は前回も、僕は女装したことがあるんです。この時はクラスの罰ゲームだったんですが。自分で施した初メイクも、皆にとってはいい罰ゲームだったようで。それを知っている皇君は鬼よろしく、今回の特進クラスの助っ人に僕を抜擢したというわけです。ようは晒しものですよ、晒しもの。皆に笑われろということです。
え? ああ、特進クラスの出し物ですか? メイド&執事喫茶だそうです。なんでも、皇君の執事姿が見たいとかで通った案とかで。でも、肝心の皇君は、生徒会の仕事が盛りだくさんで、執事姿は見られるかどうか……僕にはどうでもいい話ですがね。
ちなみに、メイドさんをやるのは、可愛いチワワ軍団。これがまた似合うのなんので、僕がお客さんことご主人様として帰りたいくらいなんですがね。でも、彼らがそれをやるのも、皇君に気に入られたいからなんでしょうね。むしろ気に入られてしまえ。
「けどさ~」
ん? なんですか、七海君。困ったような顔をして。
「これ、若が知っちゃったらどんな反応するかな~? ちょっとまずいかもね~」
「まずいならとっとと脱ぎ去りたいんですがね」
男子高校生に戻りたいんですがね。あ、若とは皇君のこと……若菜からとって若だそうです。この呼び方は、七海君しか許されていないんだそうです。
そして僕の呟きに、「違う、違う」と半笑いしました。
は?
「アイツってば、前回の君の女装バージョンしか知らないからさ~。それもあってこの役に抜擢したんだと思うんだけど」
「やっぱり罰ゲームですか、これは」
「っていうか、虫除け?」
虫除け? 女装が虫除けになるんですか? 初めて知りましたよ。
ほ~っと感心していると、横で坂本君が。
「キャー!!」
顔を赤らめ、両頬に手を添え、腰をくねくねさせながら「キタコレー!!」と歓喜していました。
つか、アンタ。それはキモいです。
わけはやっぱりわかりませんが、特進クラスは人気ですし。それになんといっても、メイド&執事喫茶となれば、満席は必須。
「とりあえず、お仕事はしますよ。その代わり、これから一週間のクリームパンの件、覚えておいてくださいね」
タダで引き受けるほど、僕は優しくありません。これからの昼食後、極上クリームパンが楽しみです。
そう言ったら、七海君はウインクで答えました……似合うな、このイケメン。
「それは若がやってくれるから大丈夫。さて、アイツの驚愕の顔が見物ですな」
いざ、出陣。
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