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王道と非王道の違いが未だにわかりません
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しおりを挟む午前の部は僕と坂本君が卓球に参加するも初戦で敗退。特に怪我をすることなく無事に終われたことに安堵し、他のクラスの子達の観戦をしながらそこそこ楽しんでいました。紫瞠君は午後からドッジボールに参加するとのことで、怪我をしないように祈りつつ応援に専念しようと意気込んでいました。
意気込んでいたのです。
ええ……。
わかっていた。わかっていたんですよ。今までの経験則で何となくこうなるっつうことは!
「僕らの会長だけでなく、橘会計と橘書記にまで気に入られるってどうなの? 死ぬの?」
「まだ死にたく無いです」
「口応えしてんじゃねえよ、この雌豚がっ!」
「あーはいはい」
毎度お馴染みチワワ軍団に、お昼ご飯前に捕まり今は人気の無い屋内男子トイレにて囲まれ中です。今日はトイレも屋外の方にしか集まりませんからね。わざわざ屋内を使用する人間はいないでしょう。しかも三階のですからね。え? 坂本君は一緒じゃないのかって? 奴は毎度の如く僕を見捨てる最低腐男子野郎なんですよ。一緒にいるわけねーだろ。
しかしまあ、キャンキャン吠えられても痛くも痒くもないですね。慣れとは怖いものです。平凡男子と言われる僕ではありますが、身長はこのチワワ軍団と比べると頭半分程は高いので自然と見下ろす形になるんですよね。ちょっとした優越感に浸れるくらいの余裕があります。迷惑なことに代わりありませんが。
そんな僕の心境と迷惑はこのチワワ軍団には関係がないのか。可愛い顔とは裏腹に汚い言葉ばかりを使いやがります。
「さっきから僕たちを見下して~! いい気になってるんじゃねえよ! この○ーメン便器!」
○ーメン便器ぃぃ? どこでそんな単語を覚えてくるんですか、この子らは!?
「知ってるんだからね! 会長だけじゃなくて橘会計・橘書記にも抱きついたってことは! あげくにキスもしたって~!! うええ~ん!」
してない! してない! どっからそんな妄想に至れるの!? 気持ち悪いわ!
「それにお前、転校生の片岡君にまで色目を使ってるそうじゃない。何なの? お前のケツま○こマジでガバガバなわけ?」
可愛い顔してケツま○ことか言わないの! それにガバガバじゃねえわ!
……と、いちいち心の中で突っ込むのも疲れました。勝手に吠えるだけ吠えて終わってくれるならいいんですが、お腹も空いてきたことですし。紫瞠君のお弁当が恋しいです。さて、どうやってここから逃げようか。
辺りをチラリと見渡すと、どうやら以前の様なゴリラ達を呼んでいるわけではないようですね。いや、これから来るのか? だとしたら、逃げ出すのは今しかないですが、僕より小柄といえど相手は多勢に無勢というやつです。力で抑え込まれたらそれまでですし、何より痛いのは嫌です。水をぶっ掛けられるのも。
こうなれば、走ってトイレ奥の小窓を開けて僕のソウルボイスで誰かに気づいてもらうという手段に出ざるを得ませんね。なんてったって元コーラス部の声量はあのヘッド皇が認める程ですから。
「何なの、コイツっ、余裕ぶってっ! 澄ました顔をして~!」
「むかつくっ、ホントにむかつく~!」
「一重瞼の癖にっ! 一重瞼の癖に~!」
「一重瞼は関係ないでしょうに」
どうやら今回のチワワはおバカさん達のようです。キャンキャン吠えながら地団太を踏み始めたので今がチャンス? 僕は頭をポリポリと掻きながらトイレの小窓まで行こうと顔を上げると……。
「あ、いたいた。本当に坂本君の言った通りだね~」
「でしょう? 平凡君はチワワホイホイなんです」
「し、紫瞠君っ!? と、坂本この野郎っ!」
ほのぼの~とした様子の二人が仲良さげに廊下から現れたのです! 裏切り者はともかく、何で紫瞠君を連れてきたの!?
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