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初夜です
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赤い髪は鮮やかなままで、きっちりとした身だしなみも全く変わっていないのに、彼自身が変わっていた。
二人きりでいたとき、彼を纏っていたオーラは独特でありながらも冷たくはなかった。むしろ鷹揚だったと思う。なのに、今はどうしたことだろう?
近くにいる全ての女性陣を、凍ったように冷たい眼で一瞥したんだから。
当然というべきか、睨まれた女性陣の表情は全て、恐怖で強張ってしまい、悲鳴も出せないみたいだった。ただ小さく、「ひっ」て言ったきり。
でも、そんなことは少しも気にならないのか。旦那さまは。
「行きましょうか」
と。
僕の必須アイテムである眼鏡をそのまま僕に掛けてくれた。
そして、本当に何事もなかったかのように、僕の肩を抱いて悠然とその場から去ったんだ。
フロアからも出て、どこへ向かっているのかもわからないまま。僕は黙って海さんについて行く。正確には、連れて行かれているんだけど。
ロビーで見せた海さんのあの一面はびっくりした。海さんはあのとき、怒ってたんだよね。特に何も言わなかったけど。
じゃあ、なんで怒ってたんだろ? えっと……僕が遅かったから? それとも、こけたから? 派手に転んじゃったからなぁ。こんなのが奥さんだって、恥ずかしかったのかな。
あ、そうかも……。うわ、後から考えると……なんか、罪悪感が。心の中で謝ります。マジでごめんなさい。
でも、もしそうだったとしたら、海さんはすごく優しいんだな。だってさ。今こうやって僕は連れてかれてるけど、歩調を僕のペースに合わせてくれてるし。それに、あのピリッとした冷たいオーラじゃなくなってるし。何より、今の海さんの横顔は、全然恐くないから。
それでも、まだ腑に落ちないっていうか、溜飲が下がらないって言うか。真相が気になるよね。
あと、これはいったい、ぜんたい。どこへ向かっているの?
ピザのはずなんだけど、今歩いているここはホテルに併設されているショッピングモールで、服、服、服と、ブティック系が並んでいる。しかも、それらの服は明らかに……。
「え゛!?」
「これは、紫瞠様。お待ちしておりました」
高そうな服。ファッションブランド店だった。
流行には疎い僕でも、目の前に立ちはだかるのは誰もが知ってる有名ブランド店のマーク。
これは、庶民の僕には場違いの……。
「柳。こちらへ」
「ぅえ? あ、はい。えと……こんにちは」
店内の奥に入ると、また別のスタッフさんが丁重に出迎え、軽く会釈する僕を見た。
そして。
「まぁ」
と、その呟きの後にどんな言葉を続けたかったのかはわからない。でも、スタッフさんが優しい笑顔だったため、ほっと安堵。とりあえず、悪い印象を与えなかったみたいだ。
スタッフさんはもう一度、深々と頭を下げる。
「いらっしゃいませ。お話は伺っております。こちらへどうぞ」
「???」
僕はスタッフさんに案内されるがまま、小さな個室に入っていった。
部屋の真上に取り付けられているプレートが「fitting room」と表示されていることに、まったく気づくことはなく。
二人きりでいたとき、彼を纏っていたオーラは独特でありながらも冷たくはなかった。むしろ鷹揚だったと思う。なのに、今はどうしたことだろう?
近くにいる全ての女性陣を、凍ったように冷たい眼で一瞥したんだから。
当然というべきか、睨まれた女性陣の表情は全て、恐怖で強張ってしまい、悲鳴も出せないみたいだった。ただ小さく、「ひっ」て言ったきり。
でも、そんなことは少しも気にならないのか。旦那さまは。
「行きましょうか」
と。
僕の必須アイテムである眼鏡をそのまま僕に掛けてくれた。
そして、本当に何事もなかったかのように、僕の肩を抱いて悠然とその場から去ったんだ。
フロアからも出て、どこへ向かっているのかもわからないまま。僕は黙って海さんについて行く。正確には、連れて行かれているんだけど。
ロビーで見せた海さんのあの一面はびっくりした。海さんはあのとき、怒ってたんだよね。特に何も言わなかったけど。
じゃあ、なんで怒ってたんだろ? えっと……僕が遅かったから? それとも、こけたから? 派手に転んじゃったからなぁ。こんなのが奥さんだって、恥ずかしかったのかな。
あ、そうかも……。うわ、後から考えると……なんか、罪悪感が。心の中で謝ります。マジでごめんなさい。
でも、もしそうだったとしたら、海さんはすごく優しいんだな。だってさ。今こうやって僕は連れてかれてるけど、歩調を僕のペースに合わせてくれてるし。それに、あのピリッとした冷たいオーラじゃなくなってるし。何より、今の海さんの横顔は、全然恐くないから。
それでも、まだ腑に落ちないっていうか、溜飲が下がらないって言うか。真相が気になるよね。
あと、これはいったい、ぜんたい。どこへ向かっているの?
ピザのはずなんだけど、今歩いているここはホテルに併設されているショッピングモールで、服、服、服と、ブティック系が並んでいる。しかも、それらの服は明らかに……。
「え゛!?」
「これは、紫瞠様。お待ちしておりました」
高そうな服。ファッションブランド店だった。
流行には疎い僕でも、目の前に立ちはだかるのは誰もが知ってる有名ブランド店のマーク。
これは、庶民の僕には場違いの……。
「柳。こちらへ」
「ぅえ? あ、はい。えと……こんにちは」
店内の奥に入ると、また別のスタッフさんが丁重に出迎え、軽く会釈する僕を見た。
そして。
「まぁ」
と、その呟きの後にどんな言葉を続けたかったのかはわからない。でも、スタッフさんが優しい笑顔だったため、ほっと安堵。とりあえず、悪い印象を与えなかったみたいだ。
スタッフさんはもう一度、深々と頭を下げる。
「いらっしゃいませ。お話は伺っております。こちらへどうぞ」
「???」
僕はスタッフさんに案内されるがまま、小さな個室に入っていった。
部屋の真上に取り付けられているプレートが「fitting room」と表示されていることに、まったく気づくことはなく。
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