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潜む闇
潔癖の王弟殿下
しおりを挟む呼ばれるのは、光の属性魔法を使う私とリィ様だけかと思って居ました。きっと、試合の最中に目に入った法衣の人物、ルミエール様のお呼び出しでしょうと、私は予測しています。ラズーラ殿下が警戒しているのはリモナイト殿下の為だと分かるのですが、ハウライトとオブシディアンはどうして尻尾が膨らんでるのかな?
「この人数は多いと思うが、代表だけではいけないのか?」
「申し訳ありません、全員を呼ぶようにと指示を受けております」
「…仕方無い、アイク、ジャスパー行くぞ」
「はい、ラズ殿下」
「リモナイト様はアズラ、お前が護衛を」
「はい!」
(ルミエール様の事だろうなぁ…、この時期のイベント何かあった?ないない、だって出てくるの早すぎるもの。試験でやっとアズラに逢うでしょ、ラズ様とリィ様の好感度上げるなら、試験で優勝してるのが前提になるからー…)
頭の中ではぐるぐると記憶を巡らせているが、何せルミエール様のルートは一回流したっきりなので、覚えていない事の方が多いのです。ほら、攻略するってなったらどんな台詞で、どうやって好感度あげてーってあるじゃないですか?アレが分からない。
そもそも、あの王弟様は獣嫌いの王弟様なんですよ。つまり、ハウライトは光の守護聖獣だから、苦手でも大目にみるけど、闇の守護聖獣は寄せたくも無い相手なのです。
(獣人嫌い・動物嫌いって設定だったんだけど、アレルギーならまだしも詳しい説明無いからどうにもなぁ。ルチルレイルートの時だって、ハウライトには無表情なスチルしかなかったもんなぁ。アメーリアルートでも一応出てくるけど、毛嫌いされてたから余計に苦手なんだよ)
今はギベオンが守護しているのはルチルレイですが、これがどう変わっているのかは想像出来ないんですよね。
オブシディアンとハウライトを肩に乗せ、目指すは学園長室なんですが、どうしたのでしょう?人だかりが出来ていますよ?呼ばれたのは私達だけなんですけど、何処で情報仕入れてきたのか、貴族科の令嬢達ですね。
「何事でしょうか?」
「きっと、ルミエール叔父上を見たくて集まってるのかも…。滅多に神殿から出てこない人だから」
「あの方は、神官の中でも最高位の位を持っているからな。唯一の王族なのだから当然かもしれないが」
「でも、どうやって通して貰いましょうか?」
「最悪ジャスパーとアズラに避けさせようか」
「そうですね、ラズ殿下とリィ殿下の護衛は私とマウシットでします」
呼ばれている事もあり、この人混みをどうしたものかと思っていると、ラズーラ殿下とリモナイト殿下に気がついた令嬢達が率先して道を開けてくれました。
中身は違うが侯爵令嬢が人混みを掻き分けて進むわけにもいかず、正直助かりましたが面倒な事に貴族科の御令嬢達の注目を集めてしまいましたわ。私とルチルレイに注がれる冷たい視線が痛いです。え、これなんて罰ゲーム?
「あ、アメーリア様…、怖いです」
「全く情報規制くらいして欲しいですね、注目される意味もわかりませんわ」
ルチルレイと二人で遠い目をしつつ、どうにか入り込んだ学園長室には、思ったとおり法衣を身に纏ったルミエール様がソファーに座っていた。腰まで届く長くて真っ直ぐな銀髪は、清廉なルミエール様を表しているようで、少し緊張してしまいます。
ゆっくりと此方を振り向き、捕らえられた瞳の色は冷たさを感じさせる薄い青。マウシット様と配色は同じなのに、どうしてだろう。マウシット様の方が柔らかくて優しい感じがする。
「何故此処に、闇の獣と下位の貴族がくる?」
「る、ルミエール様、此方の闇の聖獣様は優勝者のモルガ男爵令嬢の守護聖獣様です。こちらの子猫がアトランティ侯爵令嬢の守護聖獣様で…」
「光の守護聖獣のみでいいだろう、下がらせろ」
「ですが、我が学園にはとても稀少な闇の聖獣様が…」
「何度も同じ事を言わせるな」
優勝・準優勝全員を呼び出しといて何様だ、王弟様だったな。こっちはまだやる事あるのに呼ばれたんでしょ!?学園長はギベオンとオブシディアンと真っ青な顔をしているルチルレイを見てオロオロしてますが、私達は上位貴族特有の薄っすらとした怖い微笑みを浮かべています。気づけこの馬鹿。
何がつまらないのか無表情で私達を眺めていますが、その視線がアズラの方を向いた途端に嫌悪の表情が浮かび上がる。公式設定どおり、獣人も動物も嫌いだという事ですね。
(いいだろう、その喧嘩買った!)
「獣人と闇の獣と闇属性を持つものは出せ、汚らわしい…。」
その言葉に、その場に居た全員の思考が一瞬止まった。
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