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潜む闇
横柄な王弟様
「ちょ、アリア!駄目!待って、駄目だから落ち着いて!!アメーリア!」
「アズラ、私、とっても落ち着いてましてよ?」
「嫌、それ絶対嘘でしょ!?僕は大丈夫だから、落ち着いて!その水球どっから出したの!?」
「アメーリア様、私も大丈夫ですから!何ともありませんから!」
慌てて私を羽交い絞めにするアズラと、涙目で私を止めるルチルレイ。アイクお兄様からは学園長室が凍りそうな程の冷気が溢れ出ていますが、そんな私達にラズーラ殿下もリモナイト殿下も仕方無いと溜息を零して居ました。
アズラとルチルレイが驚いているのは、私が水魔法で運動会で転がすような大玉級の水球を出したからです。コレには学園長も目を丸くしています。オブシディアンは肩に乗ったまま、にゃあにゃあと鳴いて止めようとしていましたが、ハウライトは戦闘態勢です。当たり前ですよね、自分の半身が貶されたんですから。
(ギベオンは何で落ち着いてますのかしら?)
『光属性の神官には、こういった輩が多いのでな』
(ああ、慣れているという事かしら?それならルチルレイの耳を塞ぐなどしたらどうよ?)
『王族の光属性の神官の話は聞いていたが、これほどとは思わなかった』
(つまり、想定外でしたのね。しかも、貴方も傷ついてますのね。わかった、理解した)
「アリア、とりあえず。その水球は先に外に出そうか、きっと直ぐに凍ってしまいそうだからね。重くてアリアの上に落ちてきたら危険だろう」
「そうですわね、勿論今すぐにでも出しましょう、軌道はこのまま真っ直ぐで宜しいかしら。アイクお兄様」
「アイドクレーズ君、アメーリアさん。此方から謝罪しますので、その力を鎮めてください」
ニコニコと微笑みを交し合いつつも、絶対に引かない態度のアトランティ兄妹を前に、溜息を零し白旗を上げたのは学園長でした。王弟様はふんぞり返ったままですけどね?自分の暴言にも気付いていやがりませんけどね!?
苦労して出したはずのルミエール様。公式設定しか頭の中にないなーと思っていたのですが、私が嫌悪しかなくて記憶から消し去ったんだなと、納得してしまいました。ハウライトに塩対応だけじゃなかったんだな。
(これは、スキップでまともに攻略しないわー。アズラばっかり寄り道するわー)
「ルミエール様、此方がアメーリア=アトランティ侯爵令嬢です。光の守護聖獣様は、ハウライト様です。ご報告いたしました魔を祓って下さったのも、リモナイト王子殿下とアメーリア侯爵令嬢でして…」
「リモナイト?」
「お、お久し振りです。ルミエール叔父上様」
「魔力だけが取りえの侯爵家の傍流から来た妃の子か。光属性が出たそうだが、一人で対処も出来ずに無謀な真似をしたそうだな」
(ゲームでもムカつく設定でしたけど、実際に会うと更にムカつきますわね!しかも、今さらっとアトランティ家を馬鹿にしましたわよね!?よし、アイクお兄様が既に臨戦態勢だ)
ハウライトと一緒に私を抑えてくれていたリィ様でしたが、おどおどとした表情で礼をしようとすると、頭上から降り注がれた辛辣な言葉に動きを止めた。カタカタと小刻みに震える華奢な肩を、そっと支え優しく微笑みを向けるのは勿論ラズーラ殿下です。
「ルミエール叔父上」
「お前達に叔父などと呼ばれる筋合いは無い」
「……では、ルミエール高位神官長様、お久し振りで御座います。この度御呼びとのことで参上致しましたが、ご用件は?」
「学園に魔が出たと、そちらが騒ぎ立てたのだろう?王家と侯爵家が関わっているからと、わざわざ私が借り出されたのだ」
「それはそれは、お手数をおかけ致しました。心配されずとも『魔』はリモナイトとアメーリア嬢が見事に祓いましたが?」
リモナイト殿下を背後に隠し、冷ややかな視線でルミエール様とやりあうラズーラ殿下は、流石第一王子といった威厳があります。本来なら王太子となっていてもおかしくないだけに、ブラコンを差し引いてもご立派です。え?いや、貶してませんよ?褒めてますよ?
「ラズ兄様…」
「祓ったのなら放って置けばいい、これ以上用は無い。闇属性や獣などと同じ空気を吸いたくない」
「そうは行きませんルミエール高位神官長様、学園には光属性の聖なる結界が張り巡らされております。其れなのに生徒に魔が取り付いたとなれば由々しき問題です」
兄弟のお互いを思いあって助け合う心和ませるシーンでしたが、暢気に紅茶を飲んで横柄なこいつ放り出していいかな!?アメーリアルートじゃ確かに辛辣だったけど、もう少し…?いや、ごめん記憶無いわ。此処まで辛辣だったなんて、本当に知らなかった。
礼儀正しく挨拶をしたはずのラズーラ様に、挨拶を返す事さえしない。それどころか逆に更に喧嘩売ってきてますよね?どういうことだ。
(どんな育て方したら、こんなに捻くれ曲がった大人に成長するんだよ)
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