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◇一章後編【禍群襲来】
一章後編【登場人物】
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人物集・所属別
(※一章の結末までを含んだ内容あり!)
◇統巫屋◇
──────────────────
◆リンリ【鈴隣倫理】
此土にとって、異成り立ち世の者。
異なる世界の住人。統巫屋の領域の干渉を抜けて内部に現れた事と、彼の独特な言動からしてそう判断される。裸姿で滝から落ちてきた所を、水浴びをしていた系統導巫と邂逅しそのまま保護された。
異成り世の者は決まって、体内の臓腑に大気に満ちる穢を自浄する能力が備わってはおらず。そう遠くなく【穢不慣】という病を発症してしまうので、あまり長くは生きられぬ宿命であった。
彼を保護した系統導巫本人が、その身をいたく案じたことにより。彼女より、穢の影響を殆ど受けない浄化された土地である統巫屋の領域内で『過ごさないか?』と持ち掛けられる。
精神的な余裕が無く、その場での返答こそ叶わなかったが。サシギからの叱責と葛藤の後に自分自身を見詰め直し、申し出を受け入れたことによって、統巫屋での彼方者の物語が始まったのだった。
好物は甘味全般。刺激の強いものは苦手。
趣味は『簡単にできる料理』や『知らない事に触れて学ぶ事』や『頼ってきた者の悩みを聴いたり、手助けをして、共に成長する事』等。立場を持つとその役目を全力で取り組む主義。過去の(※演劇で女役をせざるを得なくなり、しかたなしに気合いを入れてやりきったところ周辺にウケてしまった)出来事から女性扱いされると少し凹む。最近(※洗脳されてしまい)筋肉をつけて男らしくなろうと決意した。
◇◇◇
──────────────────
◆『 』【系統導巫】
金と銀の髪と眼をした、美しくも人ならざる身体的特徴を持つ、無垢であどけない可憐な少女。
リンリを保護し、絆を深め。予期せぬ悲劇に見舞われた彼との今生の際に、それを否定する為、彼に自分自身の“全てを委ねる”契りを交わした。
だが何の因果か。交わされた契約は酷く歪で絡まった形で結ばれてしまい。結果として、二人は多くの代償を支払う事となる。
◇◇◇
──────────────────
◆サシギ
系統導巫の眷属、使従の一人。
長めの紅髪を頭の片側で結び、身体の前へと流した髪型をし。背丈は女性にしてはやや高め。体格は痩せ引き締まっているが、胸の辺りは豊満。固そうな性格を想像させる線の整った凛とした顔の女性。
リンリが自分を省みる切っ掛けをくれた女性。
何処からか現れた“褌野郎”を警戒。もとい、笑いを堪えながら介抱し、彼に経緯を語る。その暫しの対話で彼の人柄を『問題は無い』と判断して、主との沙汰の場へと案内した。曰く『人を見る目は有る』らしく。そのまま彼と主の沙汰を見届ける。
統巫屋の使従の中では最も経験が浅く、未だに先達の三人とは隔たりを感じ『修行中の身』だそう。意外と冗談が好きで、酒癖が悪く、笑い上戸、恥ずかしがり屋で、苦労人の面がある。他の使従達から親しみも兼ねて何かと“持て遊ばれ”てしまうのが、近頃彼女の悩みの種。実際は彼等からとても可愛がられていると理解しているので強くも出られない。
当代では唯一の『系統導巫に仕える使従を産出する一族』が住まう集落からの出身。代々を系統導巫に捧げた一族の血は伊達ではなく。系統導巫の眷属としての適合性がとても高い。本来は易々できない筈の『人と眷属の姿を往き来する』ことを平然とやってのけ。鳥人の姿で飛び回ることは勿論、焔硝の如く激しい燃焼反応を起こす羽根や、その羽根で起こした火炎に少しだけ指向性を与えて操るなど、眷属の域に収まらない程の力を持った傑物である。
しかしその力の代償として、もう腹に人として子を宿す事は出来ず。また眷属としての『たまに空を飛んだり、水浴びして、のんびり過ごしたい』というような本能的衝動に駆られて凶暴化するといった悲しい性を孕んでいる。
憩いの休日の水浴びを観察され。月一で産んでしまう卵を食べられ。謎の爆発の後処理を任され。睡眠中に羽根を素材扱いでむしられ。上質な鶏肉扱いで舌舐りされ。主は寝惚けて行方不明。……苦労の絶えない彼女は、今日も勤めに励んでいる。
◇◇◇
──────────────────
◆ケンタイ
系統導巫の眷属、使従の一人。
高い身長。短めに整えられた角刈りのような黒い髪。首や腕や背中全体に、でかでかと彫られた紋様や複雑な絵の入れ墨。額や頬に痛々しい古傷が刻まれ、常に機嫌が悪そうに幾重もの皺を寄せて表情を歪ませている筋骨隆々な強面巨漢である。
顔は怖いが、リンリも含め、皆にとって心から信頼も尊敬もできる人格者。やや大雑把で細かいことに拘らない脳味噌筋肉な顔が恐ろしいオヤジでも、誰に対しても真っ直ぐ向き合い、相手の本質を見極めて必要なら叱咤激励してくれる彼の度量の大きさから、周囲の人間全員から慕われている。
なお、本人は『表情筋を限界まで鍛えて、笑みを絶やさねェ気さくなオヤジ』として売り込んでいるつもりらしい。鏡は見ないのだろうか……?
統巫屋の領内に侵入した厄災鼠と対峙し、深手を負いながら筋肉一つで闘い抜き“あと一歩”のところまで厄災鼠を追い詰めることに成功する。けれど横槍により仕留め損ない。重症の身体で放置され、それでも食って掛かり致命傷を負う。だが隙を見つけて鼠の目玉を刺し潰し、後の状況に繋げた。
鼠と共に崖から落下したリンリを救おうと、残る力を振り絞り、這って行こうとした所で力尽きる。
事を聞き付けて追って来たココミに看取られ。統巫屋の行く末や、主、使従達、集落の者達、リンリの身を気に掛け案じ、顔に皺を寄せてしまう。しかしココミの顔を伺うと、自分を看取る彼女が無駄なものを背負わないようにか。酷く恐ろしくも優しい形相で『ガハハハ』と豪快に笑ってから深い眠りにつく。
全てが終わった後に皆々から惜しまれながら、彼はずっと遠い彼土へと旅立って行った。
彼との出会いと関わりによって、リンリは自分に欠けていた『弱さ』の本当の意味を省み。リンリの後々の成長と行動意義に結び付くことになる。
◇◇◇
──────────────────
◆ココミ
系統導巫の眷属、使従の一人。
肩口程度のおかっぱに近い黒髪に、幼さないながらも整った顔の人形のような童女。
舌足らずな口調をしている割には、とんでもなく毒舌で、達観したようなことを言う童女。
神出鬼没で探しても姿を見せない。だがよく屋根に登り、遠くを眺めているのを目撃されている。
約束は絶対に守り、毒舌の合間には相手を想った言葉を含ませて、そっと導く童女。
そんな彼女の、内に秘めるものは……。
◇◇◇
──────────────────
◆シルシ
系統導巫の眷属、使従の一人。
薄蒼い左右に結った髪に、珊瑚のような形をした掌大の角を側頭部から二対生やし。尖った耳、頬に爬虫類の鱗、眼鏡を掛けた碧玉の眼、鱗に覆われた太尾を持つ、小柄で凹凸の少ない身体の年頃の少女である。丸い眼鏡と垂れ目から、内向的な気質や性格をしていそうな雰囲気を与える。身なりを整えてやれば愛々しい容姿なのだが、本人が化粧や身を着飾る類いの行為をあまりしたがらない。
リンリと出会い、お節介をされるようになる。それに対して彼女は基本素っ気ない態度で返すが、けっして嫌がってはおらず。むしろ兄と妹のような関係を好意的に受け入れているような本心が見え隠れする。
◇◇◇
──────────────────
◆ソラ
統巫屋の女中頭であり、サシギの実の姉。
サシギと似た顔と声をしているが、羽根も鱗も無い黒髪の徒者である女性。
妹以上の冗談好き。一目でリンリの少女的な繊細さを見破り、以降は『おリンちゃん』と呼ぶ。
系統導巫や使従を除くと、最も集落の皆から慕われていて。裏表がなく、分け隔てなく、規則を重んじる、優しく真面目な美しい女性。
領域内への厄災の侵入が、自分のせいで最悪の形となってしまった事を気に病み。内にずっと溜め込んでいた暗い感情を吐露し、声をあげて泣く。
リンリに“ある少女”の姿を重ね、過去に(※系統導巫が友となり大切にした)少女が居なくなったこととリンリの受けた被害、異成り世の者へ二重の意味での深い謝罪を送る。そして間も無く、制止を振り切って崖から身を投げてしまう。
統巫屋と集落の因習、長年に積もり積もってしまった歪みという澱。言わば彼女は統巫屋の暗い側面の被害者であり。彼女との別れは、リンリの心に後々まで深い傷を残すこととなる。
◇統巫勢◇
──────────────────
◆ヒノアサメ【託統導巫】
遠方より訪れた統巫。纏う羽衣は橙色。
高くふわふわとした声色と、のんびり間延びした口調で。高貴なお嬢様の真似みたいな、どこか胡散臭い言葉遣いをする女性。
比較的に細身だが外套の上からでも主張している豊かな胸の膨らみ。肩にかかる長さの黒髪を後方で結っており。髪から覗く耳は尖っていて。両耳の上から黒い飾り羽根が扇状に広がり頭部の装飾のようになっている。堀の深い整った顔だが、表情は柔らく優しげ。しかし黒く丸い瞳は何処か余裕なく揺れていて、本当の自分の感情を押し殺して、無理矢理に相手に笑みを送っているような印象であり。やはり胡散臭い。
半人半鳥。右肩から黒い片翼が生え、左腕が片翼の対をなすかのように人の腕と鳥の翼が合わさった成りをし。それから右腕は鉤爪と鱗のある、鳥の脚に近いような見た目をしている。
あまり仔細までは語られなかったが、統制十六奉位という統巫達とその眷属と従者のみで構成された、此土の『恒久的存続』を理念とする集団の一柱。
◇◇◇
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◆トイサラ【脈統導巫】
禍境と成り果てた地を祓う為、統制十六奉位として現地に赴き仕込み準備をしていた女性。
無事に禍淵を祓い切り、ヒノアサメが捕獲していた最後の一匹を始末しようとしたその刹那、正体不明の奇妙な存在から、羽衣の護りを抜ける重い一撃を受けてしまう。
腹部が抉れた彼女は、それっきり動かなかった。
彼女の犠牲と、厄災を逃してしまった事実。これがヒノアサメを狂わせてしまう原因となる。
◇◇◇
──────────────────
◆チョウカミネ【潤統導巫】
ヒノアサメと共に遠方より訪れた統巫。纏う羽衣は薄藍色。
透き通った声色で、常に気怠げな口調。齢は十代の中頃程度で、それほど幼くはないだろうが。身体つきは小さく、また起伏の少ないもので、他者が心配してしまうほどに痩せている。
腰ほどまではありそうな長い藍色の髪を、頭側部両側前方で結って下に垂らしただけの髪型。
表情があれば可愛らしいだろうが、無表情。周囲に興味が無さそうな冷めた藍錆色の瞳と表情。
半人半魚。腰から下の半身が、藍色よりも濃藍色をした鱗の無い魚の鰭に置き換わっている。
無愛想で図太い性格なようにみえるけれど、それは会話が苦手なだけ、表情筋が足りないだけで、本人はとても素直。必要な他者との協調性は備わっており、義理堅く、即物的で、寂しがりや。
統制十六奉位に名を連ねているわけではないが、頼まれると断れない性格と、衣食住の保証、追加で謝礼として提示された『甘味を好きなだけ』という条件を呑んでしまい。その結果こき使われている。
厄災鼠の一件、その失敗から酷く落ち込む。
◇◇◇
──────────────────
◆ニウラヌ【擁統導巫】
土地でもっとも高年高名の統巫。
鎮守という己が命を土地と結んだ存続。けれど本人の気質から数々の禁忌を破り、衰微している。土地との約定から生物の殺生ができない。
シンタニタイの土地が怯える声を聴き、迫る【凡世覆軍の鼠】の存在を事前に知り。厄災を祓う事を目的とする統巫達に【禍群襲来】の折にどうか協力して欲しいと求められたのもあり。あくまでも『直接自分は手を出さず、追い立てるだけ』と建前を掲げて助力すると決めた。
例え自分が直接に手を出さなくとも。結果として命を奪う行為は、土地との約定を破ることを意味しており。その代償として、自分の“命が削れる”のだと知りながらも腰を上げる。
楽しみにしていた、統巫屋での神事の誘いを断って旅支度。埃の被った枝を携え。古ぼけた店の暖簾を仕舞い。彼女はもう戻れぬだろう大切な思い出の数々を見納め、チィカバの町を立ったのだった。
◇◇◇
──────────────────
◆ヌイオカリ【焚統導巫】
統制十六奉位に名を連ねる温和聡明な一柱。
冷静さを欠いたヒノアサメの断行を危惧し、彼女を窘めつつも一定の理解も示す。一度は討ち漏らした【凡世覆軍の鼠】を祓うにあたって周囲の是認を得る必要性があり。ならば自身が共に赴く事で彼女の暴走を抑止し、現地の統巫達と協力できるように橋渡しをして、もしも事態の収集が困難となった際の保険と後始末(※周囲一帯の焼却)をする役割を請け負う。
ところが出立の直前に、要所の襲撃という別の一件で駆り出され、酷く変わり果てた姿で見付かる。
彼女の犠牲により、ヒノアサメは引くに引けない状況下で精神的に追い詰められてしまった。
◇◇◇
──────────────────
◆リンリ【『某』統導巫】
腰まで長く伸ばした銀髪に、琥珀を思わせる金の虹彩をした銀髪金眼の女性ないし少女。
人ならざる特徴を身体に持ち。髪と同じ銀色の狐のような獣の耳、背部を覆う毛皮、同じく狐のようなフサフサとした尻尾を蓄える。
異成り立ちの者、彼方者の好青年という上部の容貌は騙り、謀り、虚偽であった。
件の【禍群襲来】の折に人とし死にかけ、化けの皮が剥がれ正体を露にした姿。化狐。
何かを企み潜り込んだ、厄災の威を借る狐。
何の違和感ももたれずに『異成り世より迷い込んだ哀れな人間』と装い、統巫屋で過ごしていた。
誠実で律儀な青年として信用を得て、単独処理に当たっていた潤統導巫を不意討ちし無力化、厄災を統巫屋の領域奥へと招き、使従の一人を亡きものとして、その後に厄災を野に解き放ち。事前の策定を滅茶苦茶にしてしまった(※状況から、という風に推測されている。事実とは異なる可能性あり)。
その目的は不明。禍巫と言い切るには情報が足りておらず。彼女本人も死にかけて衰弱昏睡、何故か厄災の討伐に最後は協力した素振りもあり。なおのこと意味がわからない。或いは近年の『統巫の失踪』やら『要所の襲撃』やら『禍淵の異常発生』やらにまつわる類いか。彼女は都合良く動かされただけの“使い捨ての駒”という可能性も否定できない。
元々は平凡な人間の青年を演じており。けして尻尾を出すことはなく。対面した統巫達でさえ正しく彼女の正体を看破できなかった事からして、他者(※?)に対しての『認識や認知に作用する権能』を持った統巫ではないかと推測される。
目覚めるまでは、監視付きの軟禁中。
◇◇◇
(※一章の結末までを含んだ内容あり!)
◇統巫屋◇
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◆リンリ【鈴隣倫理】
此土にとって、異成り立ち世の者。
異なる世界の住人。統巫屋の領域の干渉を抜けて内部に現れた事と、彼の独特な言動からしてそう判断される。裸姿で滝から落ちてきた所を、水浴びをしていた系統導巫と邂逅しそのまま保護された。
異成り世の者は決まって、体内の臓腑に大気に満ちる穢を自浄する能力が備わってはおらず。そう遠くなく【穢不慣】という病を発症してしまうので、あまり長くは生きられぬ宿命であった。
彼を保護した系統導巫本人が、その身をいたく案じたことにより。彼女より、穢の影響を殆ど受けない浄化された土地である統巫屋の領域内で『過ごさないか?』と持ち掛けられる。
精神的な余裕が無く、その場での返答こそ叶わなかったが。サシギからの叱責と葛藤の後に自分自身を見詰め直し、申し出を受け入れたことによって、統巫屋での彼方者の物語が始まったのだった。
好物は甘味全般。刺激の強いものは苦手。
趣味は『簡単にできる料理』や『知らない事に触れて学ぶ事』や『頼ってきた者の悩みを聴いたり、手助けをして、共に成長する事』等。立場を持つとその役目を全力で取り組む主義。過去の(※演劇で女役をせざるを得なくなり、しかたなしに気合いを入れてやりきったところ周辺にウケてしまった)出来事から女性扱いされると少し凹む。最近(※洗脳されてしまい)筋肉をつけて男らしくなろうと決意した。
◇◇◇
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◆『 』【系統導巫】
金と銀の髪と眼をした、美しくも人ならざる身体的特徴を持つ、無垢であどけない可憐な少女。
リンリを保護し、絆を深め。予期せぬ悲劇に見舞われた彼との今生の際に、それを否定する為、彼に自分自身の“全てを委ねる”契りを交わした。
だが何の因果か。交わされた契約は酷く歪で絡まった形で結ばれてしまい。結果として、二人は多くの代償を支払う事となる。
◇◇◇
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◆サシギ
系統導巫の眷属、使従の一人。
長めの紅髪を頭の片側で結び、身体の前へと流した髪型をし。背丈は女性にしてはやや高め。体格は痩せ引き締まっているが、胸の辺りは豊満。固そうな性格を想像させる線の整った凛とした顔の女性。
リンリが自分を省みる切っ掛けをくれた女性。
何処からか現れた“褌野郎”を警戒。もとい、笑いを堪えながら介抱し、彼に経緯を語る。その暫しの対話で彼の人柄を『問題は無い』と判断して、主との沙汰の場へと案内した。曰く『人を見る目は有る』らしく。そのまま彼と主の沙汰を見届ける。
統巫屋の使従の中では最も経験が浅く、未だに先達の三人とは隔たりを感じ『修行中の身』だそう。意外と冗談が好きで、酒癖が悪く、笑い上戸、恥ずかしがり屋で、苦労人の面がある。他の使従達から親しみも兼ねて何かと“持て遊ばれ”てしまうのが、近頃彼女の悩みの種。実際は彼等からとても可愛がられていると理解しているので強くも出られない。
当代では唯一の『系統導巫に仕える使従を産出する一族』が住まう集落からの出身。代々を系統導巫に捧げた一族の血は伊達ではなく。系統導巫の眷属としての適合性がとても高い。本来は易々できない筈の『人と眷属の姿を往き来する』ことを平然とやってのけ。鳥人の姿で飛び回ることは勿論、焔硝の如く激しい燃焼反応を起こす羽根や、その羽根で起こした火炎に少しだけ指向性を与えて操るなど、眷属の域に収まらない程の力を持った傑物である。
しかしその力の代償として、もう腹に人として子を宿す事は出来ず。また眷属としての『たまに空を飛んだり、水浴びして、のんびり過ごしたい』というような本能的衝動に駆られて凶暴化するといった悲しい性を孕んでいる。
憩いの休日の水浴びを観察され。月一で産んでしまう卵を食べられ。謎の爆発の後処理を任され。睡眠中に羽根を素材扱いでむしられ。上質な鶏肉扱いで舌舐りされ。主は寝惚けて行方不明。……苦労の絶えない彼女は、今日も勤めに励んでいる。
◇◇◇
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◆ケンタイ
系統導巫の眷属、使従の一人。
高い身長。短めに整えられた角刈りのような黒い髪。首や腕や背中全体に、でかでかと彫られた紋様や複雑な絵の入れ墨。額や頬に痛々しい古傷が刻まれ、常に機嫌が悪そうに幾重もの皺を寄せて表情を歪ませている筋骨隆々な強面巨漢である。
顔は怖いが、リンリも含め、皆にとって心から信頼も尊敬もできる人格者。やや大雑把で細かいことに拘らない脳味噌筋肉な顔が恐ろしいオヤジでも、誰に対しても真っ直ぐ向き合い、相手の本質を見極めて必要なら叱咤激励してくれる彼の度量の大きさから、周囲の人間全員から慕われている。
なお、本人は『表情筋を限界まで鍛えて、笑みを絶やさねェ気さくなオヤジ』として売り込んでいるつもりらしい。鏡は見ないのだろうか……?
統巫屋の領内に侵入した厄災鼠と対峙し、深手を負いながら筋肉一つで闘い抜き“あと一歩”のところまで厄災鼠を追い詰めることに成功する。けれど横槍により仕留め損ない。重症の身体で放置され、それでも食って掛かり致命傷を負う。だが隙を見つけて鼠の目玉を刺し潰し、後の状況に繋げた。
鼠と共に崖から落下したリンリを救おうと、残る力を振り絞り、這って行こうとした所で力尽きる。
事を聞き付けて追って来たココミに看取られ。統巫屋の行く末や、主、使従達、集落の者達、リンリの身を気に掛け案じ、顔に皺を寄せてしまう。しかしココミの顔を伺うと、自分を看取る彼女が無駄なものを背負わないようにか。酷く恐ろしくも優しい形相で『ガハハハ』と豪快に笑ってから深い眠りにつく。
全てが終わった後に皆々から惜しまれながら、彼はずっと遠い彼土へと旅立って行った。
彼との出会いと関わりによって、リンリは自分に欠けていた『弱さ』の本当の意味を省み。リンリの後々の成長と行動意義に結び付くことになる。
◇◇◇
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◆ココミ
系統導巫の眷属、使従の一人。
肩口程度のおかっぱに近い黒髪に、幼さないながらも整った顔の人形のような童女。
舌足らずな口調をしている割には、とんでもなく毒舌で、達観したようなことを言う童女。
神出鬼没で探しても姿を見せない。だがよく屋根に登り、遠くを眺めているのを目撃されている。
約束は絶対に守り、毒舌の合間には相手を想った言葉を含ませて、そっと導く童女。
そんな彼女の、内に秘めるものは……。
◇◇◇
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◆シルシ
系統導巫の眷属、使従の一人。
薄蒼い左右に結った髪に、珊瑚のような形をした掌大の角を側頭部から二対生やし。尖った耳、頬に爬虫類の鱗、眼鏡を掛けた碧玉の眼、鱗に覆われた太尾を持つ、小柄で凹凸の少ない身体の年頃の少女である。丸い眼鏡と垂れ目から、内向的な気質や性格をしていそうな雰囲気を与える。身なりを整えてやれば愛々しい容姿なのだが、本人が化粧や身を着飾る類いの行為をあまりしたがらない。
リンリと出会い、お節介をされるようになる。それに対して彼女は基本素っ気ない態度で返すが、けっして嫌がってはおらず。むしろ兄と妹のような関係を好意的に受け入れているような本心が見え隠れする。
◇◇◇
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◆ソラ
統巫屋の女中頭であり、サシギの実の姉。
サシギと似た顔と声をしているが、羽根も鱗も無い黒髪の徒者である女性。
妹以上の冗談好き。一目でリンリの少女的な繊細さを見破り、以降は『おリンちゃん』と呼ぶ。
系統導巫や使従を除くと、最も集落の皆から慕われていて。裏表がなく、分け隔てなく、規則を重んじる、優しく真面目な美しい女性。
領域内への厄災の侵入が、自分のせいで最悪の形となってしまった事を気に病み。内にずっと溜め込んでいた暗い感情を吐露し、声をあげて泣く。
リンリに“ある少女”の姿を重ね、過去に(※系統導巫が友となり大切にした)少女が居なくなったこととリンリの受けた被害、異成り世の者へ二重の意味での深い謝罪を送る。そして間も無く、制止を振り切って崖から身を投げてしまう。
統巫屋と集落の因習、長年に積もり積もってしまった歪みという澱。言わば彼女は統巫屋の暗い側面の被害者であり。彼女との別れは、リンリの心に後々まで深い傷を残すこととなる。
◇統巫勢◇
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◆ヒノアサメ【託統導巫】
遠方より訪れた統巫。纏う羽衣は橙色。
高くふわふわとした声色と、のんびり間延びした口調で。高貴なお嬢様の真似みたいな、どこか胡散臭い言葉遣いをする女性。
比較的に細身だが外套の上からでも主張している豊かな胸の膨らみ。肩にかかる長さの黒髪を後方で結っており。髪から覗く耳は尖っていて。両耳の上から黒い飾り羽根が扇状に広がり頭部の装飾のようになっている。堀の深い整った顔だが、表情は柔らく優しげ。しかし黒く丸い瞳は何処か余裕なく揺れていて、本当の自分の感情を押し殺して、無理矢理に相手に笑みを送っているような印象であり。やはり胡散臭い。
半人半鳥。右肩から黒い片翼が生え、左腕が片翼の対をなすかのように人の腕と鳥の翼が合わさった成りをし。それから右腕は鉤爪と鱗のある、鳥の脚に近いような見た目をしている。
あまり仔細までは語られなかったが、統制十六奉位という統巫達とその眷属と従者のみで構成された、此土の『恒久的存続』を理念とする集団の一柱。
◇◇◇
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◆トイサラ【脈統導巫】
禍境と成り果てた地を祓う為、統制十六奉位として現地に赴き仕込み準備をしていた女性。
無事に禍淵を祓い切り、ヒノアサメが捕獲していた最後の一匹を始末しようとしたその刹那、正体不明の奇妙な存在から、羽衣の護りを抜ける重い一撃を受けてしまう。
腹部が抉れた彼女は、それっきり動かなかった。
彼女の犠牲と、厄災を逃してしまった事実。これがヒノアサメを狂わせてしまう原因となる。
◇◇◇
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◆チョウカミネ【潤統導巫】
ヒノアサメと共に遠方より訪れた統巫。纏う羽衣は薄藍色。
透き通った声色で、常に気怠げな口調。齢は十代の中頃程度で、それほど幼くはないだろうが。身体つきは小さく、また起伏の少ないもので、他者が心配してしまうほどに痩せている。
腰ほどまではありそうな長い藍色の髪を、頭側部両側前方で結って下に垂らしただけの髪型。
表情があれば可愛らしいだろうが、無表情。周囲に興味が無さそうな冷めた藍錆色の瞳と表情。
半人半魚。腰から下の半身が、藍色よりも濃藍色をした鱗の無い魚の鰭に置き換わっている。
無愛想で図太い性格なようにみえるけれど、それは会話が苦手なだけ、表情筋が足りないだけで、本人はとても素直。必要な他者との協調性は備わっており、義理堅く、即物的で、寂しがりや。
統制十六奉位に名を連ねているわけではないが、頼まれると断れない性格と、衣食住の保証、追加で謝礼として提示された『甘味を好きなだけ』という条件を呑んでしまい。その結果こき使われている。
厄災鼠の一件、その失敗から酷く落ち込む。
◇◇◇
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◆ニウラヌ【擁統導巫】
土地でもっとも高年高名の統巫。
鎮守という己が命を土地と結んだ存続。けれど本人の気質から数々の禁忌を破り、衰微している。土地との約定から生物の殺生ができない。
シンタニタイの土地が怯える声を聴き、迫る【凡世覆軍の鼠】の存在を事前に知り。厄災を祓う事を目的とする統巫達に【禍群襲来】の折にどうか協力して欲しいと求められたのもあり。あくまでも『直接自分は手を出さず、追い立てるだけ』と建前を掲げて助力すると決めた。
例え自分が直接に手を出さなくとも。結果として命を奪う行為は、土地との約定を破ることを意味しており。その代償として、自分の“命が削れる”のだと知りながらも腰を上げる。
楽しみにしていた、統巫屋での神事の誘いを断って旅支度。埃の被った枝を携え。古ぼけた店の暖簾を仕舞い。彼女はもう戻れぬだろう大切な思い出の数々を見納め、チィカバの町を立ったのだった。
◇◇◇
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◆ヌイオカリ【焚統導巫】
統制十六奉位に名を連ねる温和聡明な一柱。
冷静さを欠いたヒノアサメの断行を危惧し、彼女を窘めつつも一定の理解も示す。一度は討ち漏らした【凡世覆軍の鼠】を祓うにあたって周囲の是認を得る必要性があり。ならば自身が共に赴く事で彼女の暴走を抑止し、現地の統巫達と協力できるように橋渡しをして、もしも事態の収集が困難となった際の保険と後始末(※周囲一帯の焼却)をする役割を請け負う。
ところが出立の直前に、要所の襲撃という別の一件で駆り出され、酷く変わり果てた姿で見付かる。
彼女の犠牲により、ヒノアサメは引くに引けない状況下で精神的に追い詰められてしまった。
◇◇◇
──────────────────
◆リンリ【『某』統導巫】
腰まで長く伸ばした銀髪に、琥珀を思わせる金の虹彩をした銀髪金眼の女性ないし少女。
人ならざる特徴を身体に持ち。髪と同じ銀色の狐のような獣の耳、背部を覆う毛皮、同じく狐のようなフサフサとした尻尾を蓄える。
異成り立ちの者、彼方者の好青年という上部の容貌は騙り、謀り、虚偽であった。
件の【禍群襲来】の折に人とし死にかけ、化けの皮が剥がれ正体を露にした姿。化狐。
何かを企み潜り込んだ、厄災の威を借る狐。
何の違和感ももたれずに『異成り世より迷い込んだ哀れな人間』と装い、統巫屋で過ごしていた。
誠実で律儀な青年として信用を得て、単独処理に当たっていた潤統導巫を不意討ちし無力化、厄災を統巫屋の領域奥へと招き、使従の一人を亡きものとして、その後に厄災を野に解き放ち。事前の策定を滅茶苦茶にしてしまった(※状況から、という風に推測されている。事実とは異なる可能性あり)。
その目的は不明。禍巫と言い切るには情報が足りておらず。彼女本人も死にかけて衰弱昏睡、何故か厄災の討伐に最後は協力した素振りもあり。なおのこと意味がわからない。或いは近年の『統巫の失踪』やら『要所の襲撃』やら『禍淵の異常発生』やらにまつわる類いか。彼女は都合良く動かされただけの“使い捨ての駒”という可能性も否定できない。
元々は平凡な人間の青年を演じており。けして尻尾を出すことはなく。対面した統巫達でさえ正しく彼女の正体を看破できなかった事からして、他者(※?)に対しての『認識や認知に作用する権能』を持った統巫ではないかと推測される。
目覚めるまでは、監視付きの軟禁中。
◇◇◇
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