スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
63 / 278

第42話 プレゼントを渡す事が出来ました #1

しおりを挟む
「おはようカルア君。早速だけどさ――君、昨日解散した後何かしたかい? いや、僕の想定外センサーがさ、いつもみたいな『キュピーン』って感じじゃなくって、何だかモヤモヤっとした妙な反応したんだよね。想定外のようなそうじゃないような微妙な感じって言うのかな……? まあきっと大した事じゃないんだろうけど、ちょっとだけ気になってさ」

朝、ギルドの混雑が収まった頃にピノさんとギルマスを連れてベルベルさんの所に来たんだけど、着いた途端にモリスさんからこんな質問が飛んできた。
昨日あの後って言えば……やっぱりアレの事だよね。
――でもピノさんのいる前ではちょっと話したくないなあ。

と言う事で、モリスさんへの返事はすぐ側に近付いて声をひそめて。
「ちょっとピノさんに約束したプレゼントを錬成してただけです。でもピノさんもいるし、今ちょっとここでは……」
「ああ成程ね。じゃあピノ君に渡した後で構わないから、どんなの作ったか教えてくれるかい?」
「分かりました」

そしてモリスさん、いつもの声で――
「ああよかった、それだったら安心だ。何だ、それなら単なる魔力トレーニングじゃないか。やっぱり僕の気にし過ぎだったって事だね。ほっとしたよ」
ありがとうございますモリスさん。
……でも誤魔化し方が上手過ぎない? ロベリーさん、苦労してるんだろうなあ。

「おはよーございまーす! 来ましたよししょー。魔力がグンとアップした、スーパーミレアが来ましたよーー!」

まだスーパーとか言ってる……
もうホントやめて。

「相変わらず煩い弟子だよ。……まあいいや、これで全員揃ったね。じゃあ魔力の増加量の発表会と行こうじゃないか。データの計測と取りまとめはオートカだから、ついでに進行もそっちでやっとくれ。任せたよ」
「ええ、分かりました。計測器は既に準備出来ていますから、一人ずつ計測していきましょう。順番は……、特に決める必要もないでしょう。ああ、カルア殿だけは最後にしましょうか。大トリという事で」
「あはははは、大トリっていうか、オチって感じ? いやあ流石オートカ、よく分かってるじゃない」

オートカさんもモリスさんも、ヒドイ……

「最初はもちろん私よね。なんだか今日は朝から漲ってますよー。ホントスーパーって感じで」
「ミレア……、そろそろそのネタ、クドくなってきたよ。もうここらで止めときな」
「そうですかー? ちょっと気に入ったから私の持ちネタにしようかと思ってたんですけど……。ししょーがそう言うんだったら止めときます」

一体何の師匠なんだろう……王宮演芸師?

「じゃあミレアさん、計測器の前に立って下さい」
「はーーい。オートカ先輩……私の全部、ちゃんと調べて下さいね」
「ぶふぅっ! ミっ、ミレアさん!? 魔力の計測ですから! うっ、うら若い女性なんですから、迂闊な発言をすると周囲に多大な誤解が生じ――」
「もう、気にし過ぎですよ先輩。それに私、誤解とかじゃ――」
「さっ、さあ! じゃあ始めますね! いいですか、しばらくじっと動かないように! あと危険ですから口も閉じていて下さい!!」

オートカさん……がんばれ。
あと、計測で口を閉じる必要ってないよね? 危険って……
全員分かっててスルーしてるんだろうけど。

「はい終わりました。じゃあ次は誰ですか?」
「じゃあ僕を頼むよ。オートカ、僕の全部――」
「さっさと計測器の前に! まったく、昔から本当にこういう隙は逃さないっていうか……」
「あはははは」

「はい、じゃあ次の方」
「段々雑になってきたね。まあいいさ、次はあたしだ。あたしの全部、ちゃんと――」
「校長っ!! あなたまで!!」
「何だい、こういうのは3回目が一番美味しいってのに。まあいいツッコミだったよ」

……本当にこの人、いったい何の師匠?

それからは特に何事もなく順調に進んで、次はいよいよ僕の番。
「じゃあ、お願いします」
「はい……、おや?」

え? やな反応。

「ふむ……分かりました。終了です」
「何かおかしかったですか?」
「ああいえ、大した事では。さて、これで全員のデータが出揃いました。直近の魔力量のデータも頂いてますから、それと比較した上昇値を発表します」
「ああ、やっとくれ」

「それでは。――まず皆さんの保有する魔力量ですが、一部の例外カルア殿を除き、ほぼ同程度です。そして、今回の上昇量もまたほぼ同程度でした。そしてその上昇量ですが、全員ほぼ元の2倍になっています」
「やっぱりスーパ――」
「――ミレア?」
「はーい、もうやめまーす」

「次にカルア殿ですが、こちらは前回の計測からほぼ変化ありませんでした。多少増えているようですが、さほど大きな変化ではありません」

よかったぁ。
何か変な反応されたから、変化がないのが逆に嬉しい。

「ふーむ……モリス、どういう事だと思う?」
「んーー、前回のカルア君の上昇量が彼の一割程度、そして彼の魔力量は僕たちの10倍を超えるくらいだよね。だとすれば、カルア君が初めて金属バットを食べた時の上昇値と今回の僕達の上昇値はほぼ同程度――いや僕達の方が若干少ないかな?」

「ふむ成程、比率ではなく量で比較すればそうなるのか。ではカルア君の今回の増加が少ない点についてはどのような推測が?」
「そうだねえ。考えられるのは『初めて受け入れた魔力は上昇率が高い』って事かな。体がビックリしちゃうとか。それが2回目以降はもう慣れちゃって『そんな慌てて最大値を増やさなくてもいいや』って体が判断してるとかね。まあ所謂いわゆる『初回特典』ってやつ?」

「まあありそうな話ではあるね。今のところはその仮説を採用しとこうか。この先はオートカ、あんたの所に任せたよ。ただし、【スティール】と『魔石抜き』や『マリョテイン』のブーストは無しでだよ。これについてはここだけの秘匿事項にする」
「分かりました。魔力量の増加あたりもうちの対象分野ですから問題ありません。秘匿事項についても承知しました。社会影響を考慮すると、迂闊に世には出せませんから。ただ、今回検証しなかった『魔石抜き』はどこかのタイミングで検証したいですね」
「ああ、それはそうだね。まあとりあえず今時点では、残留量がスティールの約半分だったからその比例って仮説にしとこうかね」



「ねえちょっと、カルア君?」
発表が一段落したところでそっと近づいてきたモリスさんが小声で話し掛けてきた。
「はい?」
「さっきのプレゼントの話だけどさ、もう準備できてて今持ってるの?」
「あっはい、いつでも渡せるように持ってます」
「じゃあさ、これから僕達全員ちょっと席を外すからさ、今ここで渡しちゃいなよ。こんな絶好のタイミング、中々無いよ?」

えっ、そうなのかな? 普通に晩御飯の後とかに渡そうと思ってたけど、今の方がいいのかな?
うーん、急に言われても……どうなんだろう。

「よし、そうと決まればみんなにそれとなく部屋から出るように伝えるからね。じゃあカルア君、がんばってね」

あれ? いつのまにか話が決まってる?
でも折角気を使ってくれたんだし、そうしようかな。

「……みんな、ちょっといいかい?」
モリスさん、早速ベルベルさん達の方に近付いて話し掛けてる。
そこから先は小声で話してるみたいでよく聞こえない。
――きっと、ピノさんに聞こえないようにって気を使ってくれてるんだろう。
わ、ベルベルさんとミレアさん凄い笑顔。こういうの好きなのかな?
逆にオートカさんとギルマスの表情は――何か険しい感じ?

「ああカルア君、ちょっと僕たち急ぎで出掛けてくるから、暫くの間ピノ君と二人で留守番しててくれるかい? と言っても今日は閉店日で来客も無いだろうから、ここにいてくれるだけでいいよ。じゃあよろしくね」

そう言うと僕達の返事を待たずに全員連れて転移していった。
モリスさんってば手際良過ぎで素早過ぎ!
うわどうしよう、もの凄くドキドキしてきた…………
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...