スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第42話 プレゼントを渡す事が出来ました #2

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「皆さん急にどうしたんでしょうね、カルア君」
「え、あ、はい、そうですねピノさん」
気付かれないようにゆっくり静かに深呼吸して……
すぅぅぅぅ……っはぁぁぁぁ……

「あの、ピノさん!」
「はい? えっと、どうしましたカルア君。あれ? ちょっと汗かいてる? 暑いの?」
「ぁいえ、そういう訳じゃないです」

落ち着け、僕っ。

「えっとですね、あのほら、このあいだ王都に来た時に、アクセサリーをプレゼントする約束、してたじゃないですか」
「そうですね。私、すっごく楽しみにしてるんですよ? でもそんなに慌てなくていいですからね、カルア君も色々忙しいですから」
「いえ、それなんですけど……昨日ようやく出来上がったんです」

「え? じゃあ……もしかして……」
「はい! ピノさん、今お渡ししていいですか?」

ピノさん、みるみる顔が真っ赤に。
でもきっと僕も同じくらい真っ赤なんだろうな……

「は、はい……。お願いします」
「でっ、では早速ではございますが」

あれ? 僕今何言ってるの? ちょっと緊張し過ぎて……
あ、そうだ、ボックスからアクセサリーを出さなきゃ……
って、あっ!!!
しまったぁぁぁーー!!!!

急に動きを止めた僕に、ちょっと不思議そうな顔になったピノさんが、
「えっと、どうしました?」
「あの、それが、実は……」

まさか、こんな大事な事を忘れるなんて!!

「えっとですね……、アクセサリーを作ったんですけど、ケースとか袋とか、そういった入れ物を用意するのを忘れて……」

そう! 首飾りとブレスレットが出来たところで完全に舞い上がって、それを何に入れるかってのが完全に頭から抜けてた!! 普通こういうのってお洒落な入れ物に入れて渡すものなのに!!

「……ぷっ、ふふ、ふふふふっ。あはっ、あはははっ」
「すみません、ピノさん」
「ふふふっ……、ううん大丈夫、何だかカルア君らしいなって思ったら、急に可笑しくなっちゃって。ごめんね、急に笑っちゃって」
「あいえ、そんなのは全然いいんです。ただちょっと申し訳なくって」
「そんなの全然気にすること無いじゃない! ううん、かえってほっとしたっていうか……そうね、きっとこの方が私達らしいって思うの。いいじゃない、こんな感じで。ね? だから、そのまま普通に手渡してくれたら、私もうれしいな」
「ピノさん……」

ピノさんのフォロー……いや、きっとこれって本心から言ってくれてる。
だって……だってピノさんだから。

「はい! じゃあピノさん、これ、今の僕の精一杯で、ピノさんの為に作りました。受け取って下さい!!」
そう言って、まずは首飾りを手の上に出した。
「わっ、ステキなペンダント! すっごく可愛いし綺麗ね。…………えっと、カルア君、ひとつお願い言ってもいいかな?」
「はい、何ですか?」
「その……、つけてくれる?」

ぐくっ! そ、その表情、上目遣いっ……破壊力っ!!
Yes以外の選択肢なんて、今この世界に存在してないよっ!!

「はっ、はゐっ! ょろこんでっ!!」
ピノさんの後ろに回って、ピノさんが軽く手で髪を持ち上げた首元から前に手を回して……チェーンの片側を反対の摘んでででで……

ふわっとしたいい香りが……っ
くっ、気をしっかり持て僕っ! まだ道半みちなかば、ここで倒れちゃ駄目だ!!

留具ををを……留具をリングに通したららら……で、できた。
ミッション、コンプリーーーートっ!!

「でっ、でででっ出来ましたピノさん」
「あぁあ、あ、ぁりがとぉうござぃます、カっカルア君」

お互い真っ赤になってフリーズする僕達……
が、頑張れ僕! まだだ、まだ終わってないんだ!!

「あ、あのですね、ピノさん?」
「はっ、はい何でしょうかカルア君!?」
「えっとその、実はその首飾りって、このブレスレットと対になっているんです」

よし言えた。そして手のひらにブレスレットを!
「なので、これも一緒にどうぞ!」

ちょっとびっくりした表情のピノさん。
そっとブレスレットに手を伸ばし、そして自分の手に着けようとして……
「これも、つけてもらって……いい?」

Yes以外の選択肢なんてーーーっ!!

――カチリ
「つつつっ、つきましたぁ」
「ああありがとうございますっ」

「はぁぁ、はぁぁ、はぁぁ……」
「ふぅぅ、ふぅぅ、ふぅぅ……」

それぞれ横を向いて呼吸を整える僕たち。
大丈夫、まだやれる。頑張れる!

「そっ、それでですね、えと、せっかく魔石を使ったので、付与もしてあるんです」
「え? あ、そうか。そういえばアクセサリー屋さんでも付与の話してましたね」
「ええ。なので、作る時は最初から付与するつもりで頑張りました」
「そうなんだ……。嬉しいような怖いような。でもカルア君の付与だから、きっと凄くちゃんと考えて、私に必要なものにしてくれたって事よね。うん、どんな付与がされてるのか、教えてくれる?」

「はい、やっぱりピノさんを守ってくれるものにしたかったので、【結界】を張れるようにしました。【結界】でも【界壁】でもいいので、魔石に指示すれば起動します。中からは剣でも魔法でも攻撃できて、外からの攻撃は全て弾きます」

「わ、まさに『守り石』ね。ステキな付与をありがとう、カルア君!」
「――それで次に」
「えっ、次?」

「【転移】です。自分の行きたい場所を思い浮かべて魔石に転移を指示すれば、その場所に【転移】出来ます。行き先を指定しない場合はピノさんの自宅の前が転移先になります。これは非常脱出用です。あと【転移】出来るのは行った事のある場所だけなので、もし行きたい場所があったら言って下さいね。僕が知ってる場所だったら、僕の【転移】で一度一緒に行きますから」

「そ、そうなんだ……ありがとう。本当に頑張ったのね」
「――それで次なんですけど」
「More!?」

「魔法の鞄とかってすごく便利ですから、【ボックス】も付与しました。何だか僕の【ボックス】って魔力の負担が少ないみたいなので、容量をでっかくする事が出来ました。だから多分大丈夫だと思いますけど、もし足りなくなったら言って下さいね。何とかしますから」

「ソ、ソーナンダ……アリガトー。ガンバッタノネ」
「首飾りの付与は以上です」
「ほっ、よかった……以上なのね」
「はい。――それで次にブレスレットなんですけど」
「エラシコ!?」

「こちらはですね、【通信】の機能が付いてます。えっと――これです、これが通信相手なんですけど」
昨日一緒に作ったもうひとつの魔石。ブレスレットにも別の形にも出来るように、今はまだ魔石のまま。
「ちょっと、僕の方から掛けてみますね」
そう言って魔石に発信を指示。

「あ、何か頭の中に音が聞こえる気がする……?」
「それが着信音です。魔石に『応答』を指示して下さい」
「ええ、分かったわ。えっと、コレでいいかしら? ――キャッ」
ピノさんの前に手のひらくらいの大きさの魔力の板が浮かび、そこに僕の顔が映っている。

「こんな感じで相手の顔を見ながら話をする事が出来ます。こちらにはほら、ピノさんの顔が映ってますよ。自分の顔じゃなくって他に見せたいものがある場合は、そう指示すれば相手にはそれが映ります。自分の見ているものを相手に見せたい時に使って下さいね。あと、応答する時の指示で何も見せないようにも出来ます」

「あ、はい」

「それでひとつ訊きたいんですけど、この通信相手にしたい人って誰かいますか? その人に合った形に加工出来ますよ。例えば、ロベリーさんだったらピノさんとお揃いのブレスレットにしたりとか」
「じゃあカルア君で」

「え、あ……」

「私が一番通信したい人、よね? カルア君、私の通信相手になってくれる?」
「はっ、はい! よろこんで!!」
「よかった……」

すっごくうれしいっ!!


「あ、それで最後の機能なんですけど」
「ヒュッ!?」
「ぴっ、ピノさん!? 大丈夫ですか!?」

「え、あ、ごめんなさい。大丈夫、ちょっと呼吸と心拍が停止しただけだから。綺麗な景色が見えただけだから」
「よかった――って、それ大丈夫じゃないから!?」
「もう大丈夫。ちょっと緩急にやられただけだから――魂が。……それで何だっけ?」

「あ、はい。えっとですね、その首飾り、落としたり盗まれたりしないように、ピノさんの体から外れた瞬間にブレスレットの中に【収納】されるようになっています。ブレスレットにもボックスを付けておきましたから。あ、こちらも容量はでっかくしてありますから、よかったら使って下さいね」

「う、うん。そうする」

「あ、そうだ!」
「ひっ」
「これって、『ペンダント』だったんですね。ちょっとペンダントとネックレスの違いが分からなくって、ずっと『首飾り』って言ってたんですよ」
「あぁうん、チェーンだけならネックレス、そこに何かぶら下がってるとペンダントって思ってくれればいいかな。ああでもチェーンに直接融合してるみたいだから、それだとネックレス? でもこれだけ大きな魔石だから、やっぱりペンダントでいいと思う」

「そうなんですね。ずっと気になってたんですけど、すっきりしました」
「カルア君、気にするところはそこじゃないの。そこじゃないのよぉぉ……」



▽▽▽▽▽▽
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