スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
85 / 278

第50話 さあここで新メンバーの登場です #1

しおりを挟む
「あなた達、この一ヶ月でかなり良くなったわよ。前とは見違えるようだわ」

今日の放課後個別授業ももうそろそろ終わりという頃、クーラ先生はそう僕達に微笑んだ。
――クーラ先生の足元に転がる、ぐったりと力尽きた僕達に。

あのぉクーラ先生? この状況でそう言われても、全然実感が湧かないんですけど……

それはアーシュも同じだったみたいで――
「でもあたしたち、一度もクーラ先生に攻撃当てられてないし」
隣でそんな言葉を漏らしていた。地面に転がった姿で。

この一ヶ月、僕達は色々工夫して連携もそれなりに出来るようになってきた。確かにクーラ先生の言う通り『見違える』ってのも大袈裟じゃないと思う。
でもね……未だにクーラ先生に一度も攻撃を当てられてないんだよ。
こんな状態じゃあ……ねえ。

まあそれはともかく、チームとしてだけではなく僕達一人一人もまた、今日まで重ねた工夫と努力で一ヶ月前からかなり進歩したと思う。
中でも特に変わったのはこの二人、ノルトとネッガーだ。

まずはノルト。ノルトは杖を持つようになった。
杖を通して地面に魔力を注ぎ、動き回るクーラ先生の足元を直接操作。瞬間的な操作だから大きくは動かせないけど、踏み出そうとした方向の地面を少し上げたり下げたりとか。
初めの数回はそれで上手くクーラ先生の体勢を崩すことが出来たけど、それもすぐに読まれるようになった。
先生って順応性高すぎだよ。その先生の「意表を突く」とか、ハードルも高すぎ。
ああそうそう、ノルトの杖って材料の一部に魔石が使われてるんだって。魔石の実用化もだんだんと進んできてるみたいだ。

次にネッガー。驚く事にネッガーはピノさんのあのアドバイスがホントに理解出来ていたみたいで、あれから急にビックリするくらい【身体強化】が上達した。
ピノさんが言ってた『ギュンでグッでバッ』がそのコツだったの? やっぱり僕には理解出来ない。
あとそれから体を細かく制御する練習も。【身体強化】した状態で箸で豆をつまむとか、物凄い速さで右手と左手でジャンケンをして左右交互に勝たせたりとか。
最初の頃は見てて面白かったけど、最近は目が追いつかなくなってきてる。速すぎ!

アーシュは全体的に強くなってる感じかな。時々『魔法の深淵がー』とか悩んでるみたいだけど、そのうち突然何か思い付いて凄い事しそう。だってアーシュだし。

僕は……最近忘れがちだった『人並み』って言葉を噛み締める毎日を送ってる。
斜め後ろクォータービュー』と『重ね合わせ』を同時発動した視点を常時発動してるけど、それでもクーラ先生の動きを捉えきれない。
身体強化スーパーモード】は禁止されてるし、使ったところで勝てるとも思えない。やっぱりコツコツ地力を上げてくしかないかなあ。



アーシュの言葉はクーラ先生の耳にも届いたみたいで、クーラ先生は少し真面目な顔で僕達に話し始めた。
「私に当てる、か。うーん、それはまだまだ無理かな。長期目標にするんだったら素晴らしい事だと思うけどね」
「え? でもさっきももうちょっとのところまで……」
「ううん、だって私まだ【身体強化】も使ってないから。そうね……じゃあせっかくだから、私の身体強化をちょっとだけ見せてあげる」
そう言ってクーラ先生は【身体強化】を発動したんだけど――

「え!? うそ!?」
「何よ、これ!?」
「俺のとは全くの別物……」
「あはは、はは。無理」

発動した瞬間にはっきりと感じ取れた。
【身体強化】したクーラ先生が、今までより何倍も強くなったって事を。

「どう、分かったでしょ? ちなみに私、魔力を節約する為に【身体強化】を段階分けしてるの。強化はあとまだ2段階残してるからね」

ははは……
クーラ先生、実は宇宙も征服できるんじゃ……

【身体強化】を解除した先生は言葉を続ける。
「ただ……そうね、あなた達ってパーティとして考えると、最低もう一枚は攻撃の手が欲しいところなんだよね」
「それってメンバーを増やした方がいいって事?」
その指摘にすかさず反応するアーシュ。

「ええそう。冒険者として仕事をするんだったら、堅く行くのならメンバーはやっぱり5人は必要でしょうね。パーティの戦い方はどうとでも調整できるから、増やすのは前衛でも後衛でも構わないと思うけど。でも魔法クラスで探すんだったら、やっぱり後衛になるのかな」

……どうなんだろう。
この間の臨時授業の結果、実技は週に一度は冒険者クラスとの合同授業になって、前回の合同授業が最初の臨時授業から数えて4回目だった。
最初の頃は魔法クラスからのパーティ技術訓練への参加者は結構多かったけど、その数は回を追うごとに減っていって、逆に冒険者クラスからの参加者は魔法訓練からこちらに戻ってきつつある。
それはつまり、魔法クラスで今すぐ冒険者をやってみたい人はそんなに多くないって事。
追加メンバーを探すのはちょっと難しそうな気がする。

でもアーシュは乗り気みたいで――
「探すんなら早い方がいいわよね。さっそく明日クラスで声を掛けてみるわよ。みんな、いいわね?」
流石アーシュ、動きが早い。それにノルトとネッガーも頷いてるから追加に賛成なんだろう。

僕も難しいと思ってはいるけど、増やす事には賛成。だから――
「じゃあ明日、朝のホームルームが終わったらみんなに声を掛けて、お昼を食べた後くらいに返事をもらう感じでいいかな?」
「いいんじゃない? もちろん声掛けはあたしがやるわ。 ふふん、朝からますわよ!」
――って話になった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...