スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第65話 チームが見たパーティの感想が… #3

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それからミッチェルは、その発表されたばかりの最新の魔法解釈を二人に話して聞かせた。
「何と! 『氷魔法』が【冷却】で、しかもその反対が【加熱】じゃと……」
「おまけにそのどっちも錬成の一部じゃったっちゅうんか!?」
「おう、その通りじゃ。それでの――」
とここでミッチェルは区切りを入れ、そして今日一のドヤ顔で締めた。
「その発見をしたのが……何とカルアなんじゃよ」
「「なっ、何じゃってぇーーー--っ!!!!」」



再び仰け反った二人の姿勢が戻るのを待ち、そしてミッチェルは静かに語り出した。
「――でな、そのカルアの友達にノルトっちゅう奴がおるんじゃが、こいつがまたとんでもない奴なんじゃよ。何と生木に錬成を掛けて中の水分を飛ばしたり【分解】やら【癒着】っちゅうオリジナルの錬成を開発したりと、才能も実績もカルアに全く引けを取っちょらん。……いやあ、わしらもまだまだじゃ。錬成っちゅうのは実に……奥が深いのお」

そこから始まった錬成談義は日が暮れてなおも続き、そして錬成種族ドワーフ達の夜はけてゆく……



王都の某所にて――
「ねえオートカ先輩、あのワルツって子の事どう思いました?」
応用魔法研究所の所長であるミレア。魔法の軍事利用の研究に携わる彼女であるが今は完全にオフ。なので当然のようにオートカと二人きりの時間を過ごしている。長年の恋がようやく実り、恋人となったばかりのオートカと……

「――そうですね、『氷魔法』特化型だと思っていたところが、実は解釈の変化によって『物質干渉』系の魔法を扱える可能性が見え、実際に【加熱】を習得したという事でしたね」

一方のオートカ、こちらは魔法の根本に関わる研究を主とする基礎魔法研究所の所長だ。魔法や魔力に関するその基礎研究において幅広い成果を上げ、発表される数々の成果は民間などでも広く利用される――それが基礎魔法研究所である。

「パーティの時に見せてもらったあの子の【加熱】と【冷却】……あれって地味に見えて結構とんでもない事してましたよね」
会場でのワルツの様子を思い出しながら、ミレアはオートカに問い掛けた。

そのオートカもまたその事には気付いており、ミレアの言葉に深く頷く。
「流石ですねミレアさん、やはり気付いていましたか。あの魔法、ワルツさんはどちらもかなり高度に使いこなしていました。あのレベルでの細やかな温度操作、あれは途轍もなく高度な技術です。温度の変化というのは応用範囲が非常に広く、しかも物質の反応の変化の鍵ともなり得る。実に基礎研究向けの能力と言えるでしょう」

そんなオートカの言葉にミレアは――
「だったらむしろ軍用技術の方が彼女の能力が引き立つと思いますよ。温度は力――それもかなり分かり易い力。熱くても冷たくてもダメージを与える事が出来るんですから。触媒さえ用意してあげれば火魔法を越える威力も出せそうだし、それに爆裂系への発展だって成しうる――凄くうちの研究所向けじゃないかなあ」
――と、一歩も引かない構えだ。

「おやおや、これはライバル出現というところですね」
「はいっ! いくら恋人同士とは言え、それはそれこれはこれですからね。オートカ先輩、負けませんよー」

若干の緊張感を発しながらも楽しげな二人。今の甘々な二人にとってはこれもまた丁度良いスパイスなのだろう。

「しかし、それだけに心配です。果たして彼女はこの先、カルア殿からどのような影響を受けるのか……」
「そうですよねー。だって『物質干渉』ってつまりは『物質操作』だし。あれだけ干渉が上手なあの子が、あの弟弟子君レベルの『あっそうだ』をやり始めたら……。あれ? 何かもの凄く大変な事になっちゃいそうな気が……?」

そして二人はあらためて『物質干渉』の脅威を噛みしめる。
「だって、この世界を構成する全てに『干渉』出来るって事ですもんねー」
「ははははは、我々でフォロー出来る範囲で成長してくれる事を期待し――いや祈りましょう」

オートカとそんな話を交わし、そしてミレアはふと思いついた。
「あ、あの本……また改訂しなきゃだわ」



ヒトツメギルドのギルドマスター執務室――
本ギルドのギルドマスターであるブラックは、ちょっとした案件の報告に訪れた受付嬢のピノと雑談を交わしていた。

「ピノ君、昨日のパーティでネッガー君から相談を受けたのだが、彼は今クーラ君から段階型の【身体強化】の指導を受けているそうなのだよ」

「あれって魔力を節約しながら最大出力を向上させる素晴らしい技術ですよね。私も一度やってみたんですけど、綿密な魔力操作が必要だし、私のやり方とはちょっと合わないかな-って。それで小さい頃からやってきた方法に戻したんですけど……うん、ネッガー君にだったらピッタリの技術じゃないかな」
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