スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第65話 チームが見たパーティの感想が… #2

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王都、マイケル工房にて――
パーティ会場を出たミッチェルは兄マイケルの工房へと足を運んだ。
「おうマイケル兄貴、来たぞ」
ドカドカと工房内に入ってきた弟の姿にマイケルはニカッと笑い、そして迎え入れる。
「何じゃミッチェル、また来おったんか。まあええ入れ入れ。ミヒャエルの奴も来とるでな」
「ほうかほうか、そいつあ丁度ええ。今日は面白い話を持ってきたんじゃ」

よく似た風貌の兄弟二人が店の奥の作業場へやってくると、そこには作業台で剣の鞘に向かい一心に細工を施している、これまたよく似た風貌を持つミヒャエルの姿があった。

「兄貴よ、ミヒャエルの奴、ありゃあ一体何やっとんじゃ?」
自身の工房ではなく兄の工房で作業をしている弟の姿に、ミッチェルは至極当然な疑問を持った。
「実はな、王宮からちょっとばっかし面倒な依頼が来ちまってよ、ミヒャエルの奴に手伝って貰っとったんじゃ」

「はっはあ、なるほどなあ」
その説明に納得の表情を浮かべるミッチェル。
「兄貴が剣を打ってミヒャエルが飾りの細工ってえ事じゃな。王宮からの豪華絢爛仕様じゃあ、面倒この上ないのう」
そんな弟の感想にマイケルは苦笑いを浮かべた。何しろ自分も全く同じ事を思っていたのだから。

「全くその通りじゃよ。わしの方で荒いところまで完成させて仕上げがミヒャエルっちゅう分担じゃったじゃが、あの感じならもうそろそろ終わるじゃろ。話はそれからでもええか?」
「おお、構わんよ。何ならわしも手を貸すぞ。ガラス細工も追加するか?」
「いや、気持ちは有難いが今回はええわい。隙間なくびっちり細工を施しちょるから、そもそも入れる場所が残っちょらん」
「そりゃあ……本当に面倒な依頼じゃったんじゃなあ」

よく似た顔を突き合わせてそんな話をしていると、作業を終えらしいミヒャエルがふと顔を上げた。
「何じゃミッチェル兄貴、来とったんか」
「おお、ついさっきな。そっちは作業完了か?」
「おお、やっと全部完了じゃ。ほれマイケル兄貴、一応確認しちょいてくれ」

ミヒャエルから鞘を受け取ったマイケルは眉間に皺を浮かべながら舐めるように眺め、そして満足げな笑みを浮かべた。
「大丈夫、全て注文通りじゃ。もし王宮の奴らがこれで納得せんかったら、わしはもう二度と奴らの依頼は受けんわい!」



完成した品を丁寧に梱包し、作業場を綺麗に片付けた三人は、居間へと場所を移した。
「それでミッチェルよ、さっき言うとった『面白い話』、ありゃあ一体何なんじゃ?」
椅子にドカッと腰を下ろしたマイケルは、ミッチェルにそう尋ねた。気になって仕方なかったが、仕事が終わるまではとグッと我慢していたのだ。

だがそんなマイケルの望みが叶うのはもう少しだけ先になりそうだ。
「まあ待て待て。まずはこれからじゃ」
そう言ったミッチェルが魔法の鞄からジョッキを3人分取り出し、そこに酒を注いだからだ。

「「おおー、すまんな!」」
嬉しそうに声を揃えたマイケルとミヒャエルがジョッキを手に取り、同じくジョッキを持ったミッチェルと共にぐぅーーっとひと息でそれを空ける。
「「「ふううぅぅぅ……」」」

暫し動きを止める三人。その姿はまるで流し込んだ酒を胃の中で味わっているかのようだ。と、そこからミッチェルが再びジョッキに酒を満たすとニヤリと笑い、そして言った。
「次は飲む前にジョッキに魔力を流してみてくれ」

それを聞いた二人もまた目を輝かせる。
話題としては大好物、だってドワーフだもの。
「ほほう、このジョッキに何かあるっちゅうんじゃな?」
「おう。まあ、やってみてくれりゃあ分かるわい」
初めから分かっていたその反応にミッチェルはただそれだけを返す。ネタバレは誰も幸せにしないのだ。

二人は言われた通りジョッキに魔力を流してから、またもひと息でジョッキを空け――そして目を丸くした。
「おおおおっ、こいつはよく冷えちょる! ――っちゅう事はやはり、このグラスは魔道具じゃな?」

マイケルの問いにガハハと豪快に笑いを返し、だが口にした言葉はその問いとは関係なさそうな、こんな話題。
「聞いたぞマイケル兄貴。カルアに剣を打ってやったそうじゃな」

だがマイケルはその事を気にした風もなく、楽しげに答えを返す。
「おお。あれは面白かったぞ。……詳しい事は言えんがな」
「それじゃったら構わんぞ。もともとカルアに相談を受けちょったのはわしじゃ、全部知っちょるよ。それにミヒャエルにも話して構わん」
そしてミヒャエルに視線を移し――
「じゃがミヒャエルよ、こっから先は他言無用じゃぞ?」
「ふん、わしじゃって職人じゃ。聞いた事を他で喋るような真似はせんわい」
そんなミヒャエルの応えに、分かってるとばかりに頷くミッチェル。

「がはは、何も疑っちょりゃあせんよ。今のは単なる確認じゃて。それでこのグラスなんじゃが……実はの、その剣に使われた『例の魔石』で作っちょるんじゃ」
「じゃと思ったわい。じゃから『氷魔法』を付与出来たっちゅうんじゃろ?」
ネタが割れたとばかりにそう答え――と同時に一気に興味を失ったマイケル。

「待て待て、話はこっからなんじゃ。最近発表された話なんじゃがな、実はこの世に『氷魔法』なんちゅう魔法は存在せんっちゅう話じゃ」
それを聞いた兄弟は見分けの付かないその顔を見合わせ、そしてその言葉を頭の中で咀嚼し、やがて……
「「なっ、何じゃってぇーーー--っ!!!!」」
仰け反った。
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