スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第47話 君たちと一緒なら、きっと大丈夫 #3

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僕とアーシュが土人形を動かしていると、そこに今度はノルトがやって来た。
「何なに? 随分楽しそうな事してるじゃない。これは……ああ、さっきカルア君が思い付いたのってこれかー。へええ、面白い事思い付くね。じゃあちょっと僕も参加させてね」
そう言って一瞬で土人形を作り上げるノルト。さっすがつちプロ。

「ええっと、動かすのはこんな感じかな、と……。んーちょっとクセがあるっていうか、イメージを固めるのが難しいな。君達どんなイメージで動かしてるの?」
「僕はパペットとか操り人形みたいなイメージかな。アーシュは?」
「あたしも一緒よ。っていうか他に無いでしょ、これ?」
「ははは、そうかも」

僕達の答えを聞いてノルトも納得の表情。
「なるほどね、人間じゃなくって人形だった訳か。だったらこんな感じで……どうかなっと。おっ、これなら大丈夫そうだ」
「おおー。流石ノルト、上手上手」
「ふふん、なら次は3人で勝負ね。それぞれの土人形を操作して剣術勝負よ! 二人とも人形に剣のイメージを追加して。いい? 最初は私とカルアからで、負け抜け戦だからね!!」

やっぱりアーシュの発想って面白い。
それに何ていうか、ちょっとしたきっかけで突然ガーーって走り出す感じ?

「準備はいいわね? じゃあ行くわよカルア!」
勇ましい掛け声とともに、アーシュの土人形が剣を持って飛び掛って来る。
「おっと」
それをさっと左に避けてやり過ごすと……
「うあっとっと、止まりなさいってば!」

たたらを踏んだアーシュの人形にすかさず――
「今っ」
後ろから上段にバシッと。
「あーあ、やられちゃった。次は負けないんだから。ノルト勝ちなさい、あたしの敵討ちよ」

あれ? 負け抜けって、気持ち的にはそういうシステム?
なら、もし次に僕がノルトに負けたら、アーシュが僕の敵討ちをするって事なのかな?
「――やっ!」
ま、勝っちゃったんだけど。

それから何度か戦ったんだけど、ここまで僕の連勝が止まらない。
「……ちょっとカルア、あんた強過ぎない?」
「ホントだよ。この上から見下ろすような感じって慣れなくてやりにくいのに」

ああ、そうか。

「ええっと、多分時空間魔法の『俯瞰ふかん』で自分を見下ろす訓練をしてるからかな。自分を見下ろす視点がちょうどこんな感じなんだよ」

そう、この視点は斜め後ろクォータービューと同じ感じなんだ。
人形になった自分を自分で操作するような、あの視点に。
あ、だったら逆に人形からの視点で見てみるのも面白いかも。

「えー。何よそれ、ズルいじゃない」
「いやそんな事言われても、これって時空間魔法の訓練としてやってきたんだよ? 大体土人形でバトルなんて今まで想像もしてなかったし」
「それはそうだけど……でもやっぱりズルい!!」

まあ気持ちは分からなくないけど……

「でもアーシュだったらすぐに僕よりも強くなるんじゃない? 土人形も一瞬で作れるようになっちゃったし、流石全属性だけあって絶対凄い才能あるよね」
「そっ、そうかしら? そうストレートに言われると、悪い気はしないけど……」
「ホントに凄いと思うよ」

コツを掴む――理解するのが凄く早いって思う。

「ノルトもそう思うでしょ?」
「うん。僕は土の塊を動かすまで結構苦労したからね。こんな簡単に出来るようになるなんて、僕もアーシュは凄いと思う」
「もっ、もう! 二人ともそんな調子いい事ばっかり言って。そんなんじゃ誤魔化されないんだからね。さ、さあ、続きをやるわよ! カルアなんてあっという間に追い抜いてやるんだからね!!」

それから暫く繰り返し勝負して……
アーシュは宣言通りどんどん強くなってる。
人形視点は楽しいけど、その追い上げの早さに僕も段々余裕が無くなってきた。
これはそろそろ負けちゃうかも。



「ええっと……君達は一体何をしてるのかな?」
あ、指導員の先生が僕たちのところに周ってきたのか。
「あっ先生……。えっと……土の、【移動】?」
「【移動】よね」
「うん、【移動】だよね」

三人で同じ答えを返すと、先生も――
「まあ、確かに【移動】しているようだけど……、これは土で人形を作って動かしているのか。しかしこの動き、かなり正確だな。しかも縦方向の動きも入っている?」

あれ? 注意されるのかと思ったら、何か考え込んでる?
「うーむ、土で人形を作ってそれを操作するなど、土魔法の使用事例として聞いた事が無い。使用しているのは確かに土魔法だが……。恐らくこれは指示があった『報告義務案件』に該当する――」

「……あの?」
「ああすまない。ちょっと面白い使い方をしていたのが興味深くてね。ああそうだ、折角だから【圧縮】も試してみたらどうかな? きっとこの使い方と相性がいいと思うよ」
「なるほど。【圧縮】だったら使えますから、僕から二人に教えますよ」
「ふむ、君は確かノルト君だったね。そうか、君は【緩解かんかい】まで使えたんだったな。よし、ならここは頼む。私は他の生徒への指導に戻るとしよう」

そしてノルト先生の【圧縮】講座。
「【圧縮】はそんなに難しくないよ。ぎゅっと固めるイメージだから凄く分かり易いよ。土の粒全部が隙間なく詰まった感じ。塊の中心部に土を寄せ集める感じでイメージしてみて」

ぎゅーーっと。
あっ本当だ、もう出来たみたい。
アーシュも出来てるし――
「ふーん、本当に簡単ね」
「まあね。土魔法は【移動】さえ出来れば後は簡単だよ。多分君達ならもう【緩解】も使えるんじゃない?」

という事で、先生の言った【圧縮】をやってみると――
【圧縮】した土人形は……まったく動かなかった。カチカチ君。
それで三人で色々考えて、関節部分だけ【圧縮】しない事にしたら無事解決した。
気付いてみれば、まあ当たり前の事だよね。

そして、もうひとつ気付いちゃった事があるんだけど……
これは家に帰ってからね。



ギルド本部の某技術室。
キュピーーン☆
「おっ、通信具に仕込んだ想定外センサーが働いたみたいだね。まあそうは言ってもまだ実証実験も出来てなければ蓄積データも無い状況だから、精度と信頼性が全く分からないんだけどね。取り敢えずカルア君には、何か変わった事が無かったか、明日にでも訊いてみようかな」



校長室。
「――という事です」
「作成した土人形の操作による戦闘……汎用人型兵士の誕生か。間違いなく『軍事的脅威レベル』、だな」
「やはり……。それで、如何いかがいたしましょうか」

ラーバルは、どこか遠くを見るように視線を彷徨わせ……
そして小さく呟いた。
「……旅に……出たいな」



▽▽▽▽▽▽
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