スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第47話 君たちと一緒なら、きっと大丈夫 #2

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さてと、じゃあ僕はどうしようかな。
今日のステップは土を少しずつ増やしながらの【移動】だから、その範囲内で出来る事を……
ちなみにアーシュはどんな感じかな?
「むぅ、どうしてもちょっとこぼれるわね。……うわっと。コレなかなか難しい……」
この調子なら、もう少し慣れれば出来るようになりそうかな。

ノルトはどんな感じかな。少し離れた場所で何かやって――
ははは、何あれ? 土が山ごと移動しちゃってるよ。流石は農作業のプロ。
あれ? 途中で山の形が変わってる? あれって崩れてるとかじゃないよね、自分で変えてるっぽい。へえ、あんな事も出来るんだ。どうやってるんだろう……

「ノルトー、それってもしかして自分で形を変えてるの?」
「ん? ああカルア君か。そうだよ、よく気付いたね。何だか動かすだけってのにちょっと飽きちゃってさ」
「あはは、農園のプロにはちょっと簡単過ぎるか。それでこれってどうやってるの?」
「んーー、土全体の形に意識を集中して、その形そのものを操作するイメージ、って言うのかな。そうすると容器に入った水みたいに、土がイメージの形になってくれるから、粒のひとつひとつにはあまり意識はしないんだ」

あれ? それって……

「何だか錬成のやり方そっくりだね。ノルトだったら錬成とかも簡単に覚えちゃいそう。それでミッチェルさんの所に行ったら『ノルデシ』とか呼ばれたりして」
「何だいそれ? でもそうか、錬成もこんな感じなのか……。僕がもし錬成が出来るようになったら器具とかも色々と……。そうすれば……うん。ありがとうカルア君! いい事を聞かせてもらったよ。今度錬成の授業が始まったらさ、錬成について色々と教えてよ」
「もちろん。僕の方こそいい事を教えてもらったよ。よーし、さっそく試してみようっと」

誰も使っていない土の山の前に立って、さあ練習開始だ。
ノルトが言ったのはつまり、土の塊を錬成で【融解】したドロドロだと思えばいいって事。ならばやり方は錬成と同じ、じゃあまずは基本の四角いレンガ型から――
おおー、出来たぁ。
やっぱりそうだ、思った通り。じゃあ次は丸くして、三角にして、それから……フォレストブル!
――って、何だこれ? よーく見れば確かにブルっぽいけど……?

土だけだと全部同じ色でしかもザラザラだから複雑な形が分かり難いのか。じゃあもっと単純な形にしよう。何にしようか……あ、人形とかいいんじゃない?
……よし出来た。うん、これだったらちゃんと人形に見えるね。じゃあこの人形を操作するイメージ……パペットとか人形劇のイメージかな……さあ、うーごーけー。

………………。
よしっ。
はい、手を振ってーー、バイバーイ。
じゃあ前へ進め。大きく手を振りながら足を出してー、右、左、右、左。
あはははは、人形の行進だ。何だかちょっと可愛いかも。

「ねえカルア、何だか楽しそうね」
「……あ」

アーシュ、いつの間に……

「ねえカルア……あんた今、何をしてるのかしら?」
「ええっと……土を動かしてるよ?」
「……そうね、あたしにもそう見えるわ。でもそれ、先生の言ってる『動かす』とちょっと違わない?」
「そう言われてみると、ちょっとだけ違う……かな?」
「全然違うわよーーーっ!!」

ダメだったかぁ……

「ええっと、アーシュ?」
「あーーーもうっ! カルアってば全然待っててくれないじゃない! それに何か変な方にどんどんずれて行くし。 もうやめやめ! こうなったら方針変更よ!」

あ……このアーシュの笑顔、また何か思いついたな。

「ねえカルア、さっきあたしの相談に乗ってくれるって、そう言ったわよね? いい? あたしが一瞬で追いつくから、あんたが知ってる事全部あたしに教えなさい。それだったらあんたももう待たなくてすむし。どう? 悪い話じゃないでしょ?」

えっと、確かに相談に乗るって言ったけど。
それに、確かに待たなくてもいいのは嬉しいけど。
あれー、完璧なはずのペースメーカー作戦がいきなり瓦解したよ?

「さあ、早速始めるわよ。それじゃあカルア、まず一体どうやったら土をこぼさずに移動できるのかしら?」
「ええっと……ちなみにアーシュはどうやって移動させてるの?」
「それはもちろん、石と同じように土のひと粒ひと粒全てに【移動】の魔力を注いでるわよ」

ええーーっ、あの量の土の粒全部に!?
そんな事、とても僕には出来ないよ! やっぱりアーシュって……天才……

「全部の粒を個別に操作するのは多分無理だと思うよ。少しだったらいいけど、もっと凄い量の土を一気に動かす場合とか、絶対に把握しきれなくなるから」
「だったらどうやればいいのよ?」
「土の粒は何となく意識するくらいでいいから、全体をひとつの塊として認識するんだよ。さっき僕がやってたのもそれ。全体の形をイメージして、その形を容器みたいに意識するんだ。そうすれば、土の塊はその形として操作できるはずだから」

「なるほど……そうか! うん、やってみる!」
そして1分後――
「なあんだ、こんな簡単な事だったのねーっ!」
あっさり土人形を動かせるようになったアーシュ。ははは、うそ……



王都内の某魔道具店
キュピーーーン☆
「あん? 何だい今の音は? 何だか不吉な感じのする音だったね。まさかアーシュに何か……ってそんな訳は無いか。今頃あの子は学校の授業中だからね。まあしかしカルアと一緒ってのが不安材料ではあるけどさ」

店主はふと目を細めてひとつ息をつく。
「まあただ気掛かりなのは……あの子って根が『素直』なんだよねえ。その素直さでカルアの天然を真に受けて第二のカルアにとか――ははっ、アーシュに限ってそんな事になる訳ないか。あり得ないような事心配するなんざ、あたしも衰えたって事なのかねえ」
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