スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第91話 セントラルダンジョン報告会です #4

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まあそれだけ聞けば驚くよね。

「ラルが言うには、ダンジョンで生み出す魔物にはどれも違いとかは無くって、可愛いかどうかは作る時のオプションで見た目を変化させてるだけ。作る側からすればコボルトもゴブリンも同じなのに、ゴブリンは楽しそうに倒してコボルトが可愛いからって文句を言うのはおかしいって」

これにはみんな一様に納得、でもやっぱり不満げな表情を浮かべる人達も……

「ふむ、どちらの意見も理解できるな」
「むう、確かにそれはその通りだろうけどさ……」

そうなんだよね、僕もどっちの考えも間違ってなくって、どっちの考えも正しいと思ったんだ。

「ラルが言うには、この階層では中級者としてやっていく為の心と覚悟を試すのが目的だったそうなんです。でも僕達の様子を見て、1匹も倒さずにクリアするのも強さと覚悟を現しているからって――」

それでラルが落とし所を見つけてくれて。
だからアーシュの抗議も決して無駄じゃなかった。

「それでルールが変更になったんです。『条件付きボスの間』っていうのを設置して、そこでは普通にコボルトを倒して辿り着けば普通のボス戦、1匹も倒さずに辿り着いたら人懐こいコボルト達に囲まれて一定時間楽しく過ごせるようにって。あれは楽しかったなぁ……」

「楽しかったって……カルア君、もしかして君達も……?」
「ええ。みんなで可愛いモフモフ達に囲まれて……ふふっ」

思わず思い出し笑いしちゃうくらい、凄く幸せな時間だった。

「っ! つまり1匹も倒さなければ私達も――」
「これはますます行かざるを得ないとしか!」
「よしじゃあ早速――」

ピノさん達、今にも飛び出して行きそう。
でももうちょっとだけ待って。

「その後ラルと話をして、その中でちょっと変更点っていうか改善点があって」
「改善点?」

「ええ。いくら条件付きとはいえ、第5層でボスが出たのに第7層ですぐまたボスが出るっていうのはどうなの、って」
「ああ、それは確かにそうだねえ。やっぱりある程度の法則性っていうのは必要だろうねえ」

じゃあ1階層おきにボスを置いたらとかって案も一応出た。流石に誰も賛成しなかったけど。

「それで次のボスの間は第10層にって話になって、じゃあどういう構成にしようかって相談したんですけど――」
「ごくり……それで、どうなったの?」
「はい。第6層と第7層でそれぞれ小型と大型のコボルト亜種、そして第8層と第9層では小型と大型のケットシー亜種が出てくる事になりました」

犬を出したのなら次は当然猫でしょって事で。

「そして第10層では――」
「第10層では?」
「それら全てが出てきます」
「「「「「おおっ!!」」」」」

沸き立つ会議室、そして拍手喝采の女性陣!
そんな中、当然のようにある事に気付く人達も――

「いや待て、それだけではないだろう? つまりそれは『条件付きボスの間』にも……」
「……ご想像の通りです!」
「「「「「っ――――――!!」」」」」

シュンッ

「といってもその部分は僕達がダンジョンを出る時に改装し始めたから、その仕様の部屋はまだ見てないんですけど――って、あれ!?」

ピノさんとミレアさんとロベリーさんがいない……
……あとベルベルさんも。

「行っちゃったねぇ」
「うむ。行ってしまったな」
「ああ、流れるようにピノの嬢ちゃんの周りに集まって転移して行きおった」
「まあ、楽しそうで何よりじゃないですか?」

残された男性陣の表情が生暖かい。

「さてと、じゃあ僕達もこの辺でお開きにしようか。カルア君、他に伝えておかなきゃならない事ってあったかい?」

他に……は、もう無いかな。

「これくらいだったと思います。あっそうだ、他のダンジョンの結界の改良って僕もモリスさんと一緒に行く事になったんですけど?」
「ああ、それならセカンケイブ君から聞いたよ。日が決まったら連絡するね。あとオートカもセカンケイブの計測よろしく」
「ええ、分かりました」

という事で報告も無事終了したし、明日からはまた学校に――ってあれ?
そう言えば校長先生がいなかったけど、今日は不参加だったのかな……?



王都近くのセントラルダンジョン――
その日、セントラルダンジョンの第6階層から第10階層にかけて、楽しそうな女性の声が一晩中響き続けたという。

「それがですね、中に一人とんでもないのがいたですよ。普通に襲いかかっていったうちの魔物を一瞬で捕らえたかと思うと、そのまま散々モフり倒してからリリースしてったです。あれってキャッチ&モフ&リリースとでも呼べばいいです? お陰でうちの子たち、それからすっかり自信失くしちゃって――」

これはさる筋より手に入れた、ダンジョンの精霊による証言である。



▽▽▽▽▽▽
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