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第92話 久しぶりの教室に超緊張してます #1
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その現場となったのは、放課後の校長室。
今この場にいるのは、部屋の主であるこの学校の校長と、とある生徒を通じてその校長と秘密の関係を持った一人の女性教諭――
まさに今この場に於いて、彼と彼女、二人きりの密会が行われていた。
「――以上が今日セントラルダンジョンであった出来事です」
「そうですか……分かりました、報告ありがとうございますクーラ先生」
「いえ、これも仕事ですから」
真面目な二人である。
「仕事といえばクーラ先生、この後ギルドの方にも報告するんでしょう? それともあちらにはもう?」
先日ギルド本部にて行われたセカンケイブダンジョンの報告会の場で、クーラと冒険者ギルドの関係は既に聞いている。恐らく報告はグランドマスターに直接行うのだろう。
「ギルドへはこれからです。その前にモリスさんと口裏合わせをしとかなくちゃ」
「ああなるほど。担当者同士、報告内容のすり合わせは大切ですからね」
ラーバルもまたチームメンバーとしてそのモリスの報告の場に呼ばれていたが、そちらへの参加は見送っていた。
その時間はちょうど会議と重なっており、またこうしてカルア達に同行したクーラから報告を受ける事にもなっていたから。
「ああ、でもクーラ先生もチーム入りすれば、そのあたりももっと簡単に出来るのではないですか?」
そんなラーバルの提案に、クーラはうっすらと笑みを浮かべた。
「私もですけど、きっとチームの方々としてもその方がやりやすいでしょうね」
「おお、では――」
「でも――」
笑顔を浮かべるラーバル、だがクーラはそれを遮るように言葉を重ねる。
「秘密を共有するメンバーというのは、あまり増やさないほうがいいと思いますよ?」
そのクーラの言葉は正しい。だが、それなら何人までなら人数を増やせるのか。当然ながらそこには正解というものが無い。つまりクーラ自身にチーム入りする意思がないのだろう、そう判断したラーバルは、その話は打ち切る事にする。
「そうですね、では今はクーラ先生のご意見に従いましょう。何と言ってもその手のプロの経験から来るアドバイスですからね」
「またそんなプロだなんて……あくまで一般論ですよ、一・般・論」
クーラは冒険者ギルドマスター直属の非公開組織に所属していた経歴の持ち主、つまり間違いなく『その手のプロ』である。
あえて突っ込みはしないが。
「しかし……ダンジョンの精霊と出会い、新たなるダンジョンの誕生にまで立ち会うとは。よほどダンジョンとの縁が深いんでしょうねえ、カルア君は」
かつて冒険者への道を諦める寸前まで追い込まれていたカルアだったが、その運命を大きく変えたのが、生まれて始めて訪れたダンジョンで転移トラップを踏んだ事だ。
その事による変化は余りにも大きかった。
カルア自身だけに留まらなず、周囲の大人達を巻き込み、ついには世界中で使用される技術の革新にまで発展したのだ。
そして今回――
修行に訪れたセカンケイブダンジョンでの出来事は地域発展の起爆剤となり、更に今回深く関わる事となったセントラルダンジョンも間違いなく――
であれば、ラーバルが呟いた『ダンジョンとの縁が深い』というのは、間違いないのだろう。
「ふふっ、そうですね」
――少なくとも、今この場にいるクーラが完全に同意するくらいには。
「それにしても……短期間にこんな色々な事件を巻き起こすなんて、本当に面白い子。そのうちカルア君の伝記本とか出版されたりして」
「……そうか、それも楽しいかもしれないなぁ」
カバチョッチョの原典を執筆したラーバルである。
もしかしたら今夜あたり、風雲カルア伝の執筆を始めるかもしれない。
「ああそうそう、最後に一点、私から連絡事項があります」
あらたまった表情でそう人差し指を立てるラーバル。内容は冒険者クラスに関するもの、であれば当然クーラに伝えておく必要がある。
「先日からお話してましたアイさん達パーティの特別校外授業ですが、明日から行われる事になりました」
「ああ、アイ達が希望してたアレですね。ヒトツメでやる事になった――」
「はい。ブラック先生とピノ先生による個別指導です」
クーラの脳裏に浮かぶのは、ブラックの指導により急成長を遂げたネッガーの様子、そしてほんの一瞬ではあったが彼女の目の前で力の片鱗を見せたピノの姿。
「ふふふ、あの二人の先生に揉まれたあの子達か……どんな成長を遂げて帰ってくるのかしらね」
ダンジョン探索の校外授業も終わり、今日からはまた学校での授業!
セカンケイブに行く前はレミア先生の特別授業だったし、クラスで普通の授業を受けるのって実はすっごく久し振りだ――
って、あれ?
そう思ったら急に何だかどんどん緊張感が……
ああっ、まだ心の準備が……
なのにもう教室の前に……
うう……
ちょっと立ち止まって……深呼吸して……扉を……
「ぉはよぅ」
ウソっ……いきなり声出し失敗しちゃった!
今この場にいるのは、部屋の主であるこの学校の校長と、とある生徒を通じてその校長と秘密の関係を持った一人の女性教諭――
まさに今この場に於いて、彼と彼女、二人きりの密会が行われていた。
「――以上が今日セントラルダンジョンであった出来事です」
「そうですか……分かりました、報告ありがとうございますクーラ先生」
「いえ、これも仕事ですから」
真面目な二人である。
「仕事といえばクーラ先生、この後ギルドの方にも報告するんでしょう? それともあちらにはもう?」
先日ギルド本部にて行われたセカンケイブダンジョンの報告会の場で、クーラと冒険者ギルドの関係は既に聞いている。恐らく報告はグランドマスターに直接行うのだろう。
「ギルドへはこれからです。その前にモリスさんと口裏合わせをしとかなくちゃ」
「ああなるほど。担当者同士、報告内容のすり合わせは大切ですからね」
ラーバルもまたチームメンバーとしてそのモリスの報告の場に呼ばれていたが、そちらへの参加は見送っていた。
その時間はちょうど会議と重なっており、またこうしてカルア達に同行したクーラから報告を受ける事にもなっていたから。
「ああ、でもクーラ先生もチーム入りすれば、そのあたりももっと簡単に出来るのではないですか?」
そんなラーバルの提案に、クーラはうっすらと笑みを浮かべた。
「私もですけど、きっとチームの方々としてもその方がやりやすいでしょうね」
「おお、では――」
「でも――」
笑顔を浮かべるラーバル、だがクーラはそれを遮るように言葉を重ねる。
「秘密を共有するメンバーというのは、あまり増やさないほうがいいと思いますよ?」
そのクーラの言葉は正しい。だが、それなら何人までなら人数を増やせるのか。当然ながらそこには正解というものが無い。つまりクーラ自身にチーム入りする意思がないのだろう、そう判断したラーバルは、その話は打ち切る事にする。
「そうですね、では今はクーラ先生のご意見に従いましょう。何と言ってもその手のプロの経験から来るアドバイスですからね」
「またそんなプロだなんて……あくまで一般論ですよ、一・般・論」
クーラは冒険者ギルドマスター直属の非公開組織に所属していた経歴の持ち主、つまり間違いなく『その手のプロ』である。
あえて突っ込みはしないが。
「しかし……ダンジョンの精霊と出会い、新たなるダンジョンの誕生にまで立ち会うとは。よほどダンジョンとの縁が深いんでしょうねえ、カルア君は」
かつて冒険者への道を諦める寸前まで追い込まれていたカルアだったが、その運命を大きく変えたのが、生まれて始めて訪れたダンジョンで転移トラップを踏んだ事だ。
その事による変化は余りにも大きかった。
カルア自身だけに留まらなず、周囲の大人達を巻き込み、ついには世界中で使用される技術の革新にまで発展したのだ。
そして今回――
修行に訪れたセカンケイブダンジョンでの出来事は地域発展の起爆剤となり、更に今回深く関わる事となったセントラルダンジョンも間違いなく――
であれば、ラーバルが呟いた『ダンジョンとの縁が深い』というのは、間違いないのだろう。
「ふふっ、そうですね」
――少なくとも、今この場にいるクーラが完全に同意するくらいには。
「それにしても……短期間にこんな色々な事件を巻き起こすなんて、本当に面白い子。そのうちカルア君の伝記本とか出版されたりして」
「……そうか、それも楽しいかもしれないなぁ」
カバチョッチョの原典を執筆したラーバルである。
もしかしたら今夜あたり、風雲カルア伝の執筆を始めるかもしれない。
「ああそうそう、最後に一点、私から連絡事項があります」
あらたまった表情でそう人差し指を立てるラーバル。内容は冒険者クラスに関するもの、であれば当然クーラに伝えておく必要がある。
「先日からお話してましたアイさん達パーティの特別校外授業ですが、明日から行われる事になりました」
「ああ、アイ達が希望してたアレですね。ヒトツメでやる事になった――」
「はい。ブラック先生とピノ先生による個別指導です」
クーラの脳裏に浮かぶのは、ブラックの指導により急成長を遂げたネッガーの様子、そしてほんの一瞬ではあったが彼女の目の前で力の片鱗を見せたピノの姿。
「ふふふ、あの二人の先生に揉まれたあの子達か……どんな成長を遂げて帰ってくるのかしらね」
ダンジョン探索の校外授業も終わり、今日からはまた学校での授業!
セカンケイブに行く前はレミア先生の特別授業だったし、クラスで普通の授業を受けるのって実はすっごく久し振りだ――
って、あれ?
そう思ったら急に何だかどんどん緊張感が……
ああっ、まだ心の準備が……
なのにもう教室の前に……
うう……
ちょっと立ち止まって……深呼吸して……扉を……
「ぉはよぅ」
ウソっ……いきなり声出し失敗しちゃった!
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