スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
238 / 278

第92話 久しぶりの教室に超緊張してます #2

しおりを挟む
どうしよう、変に思われてない……?
そおっと中のみんなを見ると――

「カルア遅い! ほら、今いいところなんだから早くこっちに来なさいよ!」
アーシュを取り囲んだクラスのみんなが、そのアーシュの冒険談に聞き入っているところだった。

ははっ、なぁーんだ。
前と全然変わらない、いつもどおりの光景だ……
緊張して損し――いや安心したよ!

そうこうしているうちにホームルームの時間。
レミア先生がやってきて――
「はぁーーーい、みんあさぁーーーん、おはようございまぁーーーーす!」

……うんそうそう、この感じこの感じ。
何だか今『帰ってきた』って実感しちゃったよ。
毒されてるなあ……

「はぁい、今日からまたぁ、アーシュちゃんとワルツちゃん、それにカルア君とノルト君とネッガー君が戻ってきましたよぉーーー。はい、みなさんご挨拶ぅーーーー」
「「「「「お帰りーーーーーいっ!!」」」」」

そんなみんなの笑顔と声にニコニコ顔のレミア先生が――
「はい、じゃあアーシュちゃん達もぉーー」
って僕達に視線を向けてきたから、僕達は顔を見合わせ苦笑して――
「「「「「ただいまーーーーーっ!!」」」」」

こうして僕達は、やっとこのクラスに帰ってこれたんだ。
……なんてね。



そして始まる朝のホームルーム。
「さてみなさぁーーん、2年生の夏のお楽しみって言えばぁ……はいモブロンくん、何だと思いますかぁ」
「はっはい、ええっと……夏休みですか?」
「んーー、それもとっても楽しみですけどぉ、その前にもぉ何かあったでしょう? じゃあ次はぁ……サラモブィさん」

「あの、もしかして合宿授業、ですか?」
「はいサラモブィさんせいかぁーーい、ぱちぱちぱちぃ……。と言うことでぇ、今年はですねぇ」
と、ここでレミア先生がグッと溜めて――
「……海合宿に決まりましたぁ!」
「「「「「おおおおっ!!」」」」」

えっ?
合宿授業? 海? 合宿? えっ?
一体何の話……?

そんな完全に周りについていけてない僕の様子に気付いたのか、アーシュがそっと教えてくれた。
「毎年夏になると、2年生と3年生は合宿で短期詰め込みの実技訓練をやるの。行き先はその年によって山だったり海だったりするのよ」

成程、そう言う事か。
それであまり行く機会のない海に行ける事になってみんな喜んでるって感じか。

「そうなんだね、ありがとうアーシュ」
「ふふん、知らない事とかあったらいつでも訊きなさいよね」

「という事でぇ、海合宿は3週間後、場所はヨツツメ郊外の合宿所でーーっす! 自由時間もありますからぁ、忘れずに水着とかも用意しておきましょうねぇ」

「「「「「はぁーーーーい」」」」」
おおっ、みんな心からの「はぁーーい」だ!
初めて見たかも。

「特に女の子はぁ、去年買った水着でいいやなんて油断しちゃあ、だめだめですよぉ。みなさんはぁ、今イロイロと成長期の真っ只中なんですからねぇ」

水着……海とか行った事ないから持ってないや。買っておかなきゃ。
……でも、どこで?

「ねえアーシュ、水着ってどこで買えるの?」
「そうねぇ、私は家に出入りしてる商会が持ってきた中から選んでたけど、そう言えばあの商会ってどこに店を構えてるのかしら。家で聞いとくわ」
「よろしく。ちなみに何ていう商会?」
「確か、チョオーテ商会……だったかしら」

チョオーテ商会……超大手の商会だからチョオーテ――なんてね、そんな訳無いか。

「むふふふふ、思わぬチャンス、到来」
隣でワルツが何か嬉しそうに呟いてる。
あっそうか、ヨツツメってワルツの出身地だ。

「隙を見て、カル師ご招待。父と母にお披露目」
何だか凄く楽しそうだ。きっと自分の街に行けるのが楽しみなんだろうなあ。



午前中の座学は特に何もなく終わって、お昼は久し振りの昼食フォーメーション。久し振りのピノさん伝説だね。
そしてお昼ご飯が終われば午後の授業――魔法実技!

さて今日はどの属性を選ぼうかな……ってあれ? 校長先生?
「今日の時空間魔法は私が受け持ちますから」
そう言いながら、その視線はまっすぐ僕に向けられてて――
ついでに手招きも。
……今日は時空間魔法に決まりみたいだ。

校長先生の前に移動すると……あれ? アーシュも時空間魔法を?
「校長先生に教わるなんて滅多に無い機会だもの、あたしも今日は時空間魔法にするわ。一体どんな事を教えてくれるのかしら」

アーシュの他には……もう誰も来ないみたいだ。って事は参加者は僕達二人だけ?
そう言えば前にベルベルさんが言ってたっけ、時空間適性がある人は少ないんだって。凄く便利な魔法なのにね。

「そうそう、クーラ先生から聞きましたよ。校外授業では二人とも大活躍だったみたいじゃないですか」
「ふふん、まあね。ダンジョン精霊のお姉さまとお兄ちゃんっていったら、あたし達の事よ」

アーシュ、そんなまるで二つ名みたいに……

「はは、それを聞いた時には本当に驚きましたよ。でもそれ、他では絶対に言わないで下さいね。大変な事になりかねませんから」
「そんなの勿論よ。ま、カルアと一緒にいるとそんな事ばっかりだから、もう慣れたものだわ」
「……アーシュ」

否定は出来ないけど、言い方……

「なら大丈夫ですね、安心しました。と言ったところで早速授業を始めましょうか。さて、アーシュさんは現在どれくらい時空間魔法を使えてますか?」
「空間を【把握】してからの【俯瞰】、あと少しだけど【遠見】、他には【収納】ってところよ」
「ほほう、この短期間でもう【収納】まで……アーシュさんは実に優秀ですね」
「そうかしら? コレ見てるととてもそう思えないんだけど」
「その気持ち、よぉーーっく分かります!」

指ささないで?
こっち見ないで?

「まあそれは気にせず行きましょう。そもそもカルア君を比較の対象として考えること自体、間違ってますから」
「……そうね、全くその通りだわ」

……全部聞こえてるんだけど。

「ご理解いただけたところで、そんなアーシュさんにはこれを覚えてもらいましょう。【姿鏡すがたみ】」
「わっ何これ……鏡?」

あっこの魔法、前に見たやつだ。

「これは【俯瞰】による視点変更を応用した魔法です。投影している鏡のようなものは【界壁】に近いイメージですね。どうです? 空間系に馴染むのにはいい教材だと思いますが」
「面白そうね、やってみるわ!」

アーシュの課題が決まったら、次はもちろん僕の番っ!

「さて、次はカルア君ですが――」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...