スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第95話 ダンジョンコアの結界の改良です #3

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ボックスから材料を取り出して操化身を作り始めると、モリスさんとミレアさんがもの凄い目つきで見てくる。もう食い入るように――って感じで。
二人とも魔道具の専門職だから、やっぱり興味あるんだろうな。

大きさは……セカンのよりちょっと小さめがいいかな。この操化身で他の姉妹に会うんだったら、きっと大きくなっちゃう前の体をベースにした方がいいよね。で、体の大きさとの比率もみんな揃えてっと。
あとはセカンのと同じ要領でちょいちょいちょいっと……あっそうだ、折角だからアレとアレも出来るようにして……よし、これで完成!

「うわっ、もう完成させちゃったよ。この前セカン君のを作った時より相当早いや。しかもこれ結構複雑な事やってる筈なのに、何だか簡単そうにちゃちゃっと……もしかしてカルア君、これ『何となく』で作っちゃってない?」
「はぁ、何だろう……真面目に研究して考察して試行錯誤してダメ出し受けて改良して……それを繰り返してやっと形になる、そんな私の仕事って……どうしよう、急に涙が出てきた……ふぇぇぇん、オートカ先ぱぁい!」
「ええ、ええ。大丈夫ですよミレアさん。あなたは間違っていない。それが正しいんです。カルア殿のアレに惑わされてはいけない」

あれぇ?
何だか僕って今ヒドい事言われてない?
……でもいいんだ、ラルさえ喜んでくれたらそれで。

「お待たせラル。出来たよー」
「うわぁ、カルアお兄ちゃん凄いです! ありがとうです!!」
「多分大丈夫だと思うけど、ちょっと試してみてね」
「分かったです。どんな感じかはセカンお姉ちゃんから聞いてるから、その要領で……あ、繋がったです。そしたらまず視覚から……おお、見えたです。じゃあ動かして……わわっこれ凄いです。まるで自分の身体を動かしてるみたいに自然です!」

歩いたり走ったり回ったり……あ、転んだ。ラル本体が。

「セントラル、慣れないうちは座って目を閉じて操作するといいわよ。慣れてくれば他の事しながらでも操作出来るようになるから」
「うん、やってみるねセカンお姉ちゃん」

そして暫くみんなでラルとその操化身を見守る。
そんな僕達の生暖かい――でも一部からは真剣な眼差しの中、そこら中を動き回るラルの操化身。走り回るのを止めたと思ったら、今度は空中を飛び回ったりとか。

「自由自在ですよコレ。ヤバいです。とんでもない代物です」
「うんうん、最初はすっごく感動するよね。分かるわー」
「カルアお兄ちゃん、本当にありがとうです!」

良かった、喜んで貰えたみたいだ。そうだ、アレも伝えとかなきゃ。

「そうそう、ラルの操化身アバターだけど、【転移】の機能を付けといたから試してみてよ」
「てっ【転移】です!? これだけでも十分凄いのに、更に【転移】も出来るですか!?」

自分と操化身アバターの両方同時にビックリ顔になるラル。
ふふっ、サプライズ大・成・功っ!

「ちょっと試してみるです。自分が【転移】するのと同じ感じでやればいいって事ですよね。ええっと……操化身から【遠見】で跳び先を……よし、【転移】です!」

シュンッ――
ラルの操化身の転移先は、この部屋の隅だった。
「出来た……です」

呆然とするラル。そして――
「ちょっと、セントラルばっかりズルい! 私のも転移出来るようにしてよぉ」
詰め寄ってくるセカン。
……まあ予想はしてたけど。

「うん、大丈夫。もちろんそのつもりだよ」
「やった! ありがとうカルア」
そんな僕とセカンの様子を見ながらちょっと考え込むラル。
「カルアお兄ちゃん、もしかして……もしかして、これを使えば私……ダンジョンの外にも行けちゃうです?」

あ、気付いた?

「うん、そうだよ」

ダンジョンが出来るとダンジョンの精霊は外へと出られなくなる、そうセカンが言ってたから。きっとそれは凄く……だから。

「でもそのままだと目立っちゃうからね。だからもうひとつ機能を付けといたんだ。トラブルに巻き込まれない為に」
「もうひとつの機能?」
「うん。【隠蔽】だよ」

「……どうしよう、目の前で最大級にヤバい会話が飛び交ってるんだけど」
「飛び交ってるって言うか、弟弟子君から一方的に飛び出してる――じゃない?」
「我々はどうしたらいいんでしょう。モリス、後でじっくり打ち合わせを」

「えっと……こう、です?」
ラルが操化身で【隠蔽】を発動した瞬間、ラルの姿は目に入らなくなり、気配も一切感じられなくなった。これなら外に出てもきっと大丈夫だね。

「凄い……ね、もちろんこれも付けてくれるのよね?」
「勿論だよセカン。これならアーシュの家にだって遊びに行けると思うよ」
「アーシュ姉さまの家っ!! それいい! 最高じゃない!!」

じゃあ早速今からセカンの操化身に機能を追加しよう。
一旦セカンに接続を切って貰ったら、その間にちゃちゃっと作業して。
で、完了したのをアーシュから伝えてもらったらセカンが再接続してきて。
【転移】と【隠蔽】を体験してまた驚いて。
そして――

「ねえアーシュ姉さま、今日これから一緒に家に行っていい?」
「いいわよセカン。一緒に帰りましょ」
「やったぁ!」
迷わず即答するアーシュ。相変わらずの漢前っぷり。

「セカンお姉ちゃんいいなあ……ねえカルアお兄ちゃん、私もお兄ちゃんの家について行っていいです?」
「うん、いいよ。じゃあラルも一緒に帰ろうか」
「やったあ! です」
……まあ僕ももちろん断らないんだけどね。



「ええっと……取り敢えずオートカ、計測は出来たって事でいいんだよね」
「ええ、それは大丈夫です。しかし、まさかこの場であのような爆弾が……」
「うん。あの操化身……多分人間でも使えるよね。そこまでだったらまだしも、それに【転移】と【隠蔽】まで……悪用とか軍事転用とか……はは……どうしよ」

「わっ……私はどうしたら」
「あっちゃー、ミレア君ってば仕事と良識の板挟みに……」
「ミレアさん落ち着いて。取り敢えず帰りましょう。それからみんなで相談しましょう」
「そっ、そうよね。ししょーにも相談しなきゃだし」

何だかみんな困ったような顔をしてるけど……?
「カルア君……なに他人事みたいな顔してるんですか。久々ですがこれ、『軍事的脅威レベル』ですからね」

……はい。
でも校長先生、ダンジョンに入って最初の言葉がこれですか……



▽▽▽▽▽▽
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