スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
248 / 278

第95話 ダンジョンコアの結界の改良です #2

しおりを挟む
「へえ、それは凄いねえ。っていうか僕もやってみたい……ねえカルア君、今度僕が動かせる操化身も作ってよ!」
「あっはい、いいですよ」
「やった、約束だよ! どうオートカ、今のデータ採れた?」

話が飛びまくるモリスさん。
相変わらずだなあ。

「ええ。後は念の為普通の魔法を使った際の魔力波形を一通り採れば完了です」
「りょうかーい。て事でセカン君、何でもいいから魔法を発動させてくれるかい? 小さいのでいいからさ」
「いいわよ。じゃあ……あまり得意じゃないけど【灯火】」

ちっちゃい火がセカンの手のひらの上にポッと。セカンって火属性使えるんだ。

「うん、いいね。オートカどう? データ採れた?」
「ええ、もういいですよ」
「よし。じゃあセカン君、もう消してくれて構わないよ。ところで『あまり得意じゃない』って言ってたけど、精霊もやっぱり得意な属性が個人個人で違ったりとかするのかい?」

あ、それ僕も気になる。

「うーん、個人個人っていうのとはちょっと違うかな。例えば分かり易いところだと火の精霊とかは火の属性だし、水の精霊は水の属性。こんな感じで司る対象の属性に特化した精霊を『特化型の精霊』って言うの。その一方で属性にかたよらないものを司る精霊なんかは、一応一通りの属性が使えるって感じね」

ああ、物語だと火の精霊とか水の精霊、それに光の精霊や風の精霊とかが有名だよね。そういう精霊って特化型っていうのかあ。

「そういう特化型じゃない精霊ってね、物質や事象なんかの根幹に近い属性、その抽象的で幅広い概念に寄せられちゃうみたいで、それ以外の属性はしょぼいのよ。一通り使えるのはいいんだけどね」

物質や事象……? そんな属性なんてあったっけ?

「成程ねえ。じゃあ『精霊は神に近い存在』なんていうのも、満更お伽噺のロマンなんて訳でもないって事かい?」
「まあそんなところね。ひょっとしたら大昔に精霊と交流があった人間の話が、言い伝えとして今に残っているとかかも。ま、私達はわりと最近生まれたうら若い精霊だから、そんな昔の事とかは知らないけど」

――なんて話をしながらセカンが他の属性魔法を次々と発動して、オートカさんがそれを計測していった。
「……こんなところかしら」
「ええ、もうこれ以上『念の為』は無くても大丈夫そうです」
「でしょうね。全属性披露したんだから」
「あはははは、ゴメンゴメン。だってほら、僕らも精霊の計測とか始めての経験だったしね。不具合とかあったら君も嫌だろう?」

そんなモリスさんの言葉にセカンも『まあね』と頷く。後からの再調整とか面倒くさいって思ったんだろう。

「じゃあ最後に『根幹の魔力』を計測したらここでの作業は終了だ。計測するのは……ダンジョンコアを設置しているその台からコアに流れ込む魔力でいいのかい?」
「ええ、だと思うわ」
「じゃあオートカ、そういう事だからよろしく」

そしてオートカさんがダンジョンコアに向かって計測を始める。

「ほほう、これは興味深いですね」
「おっ、面白い結果でも出たのかい?」

興味深そうな顔の二人。さっきから空気の校長先生とミレアさんも、オートカさん手元の装置に表示された波形を真剣な表情で覗き込んでる。
……校長先生はともかく、ミレアさんもホントに仕事で来てたのか。

「ええ、何というかこれは……実に平均的と言うかフラットと言うか……全く何の揺らぎも特徴もない波形なんですよ」
「それはまた……まあ一応想定の範囲内ではあるけど一番厄介なやつだったかぁ。さあて、どうしたものかなあ」

厄介って事は、もしかして難しい……?

「どう? 大丈夫そう?」

セカンも心配そう。
モリスさんは頬をポリポリと掻きながら『うーん』と視線を上 に向けた。

「特徴がないって事はつまりさ、『根幹の魔力』だって特定するのが難しいって事なんだ。下手なアルゴリズムを使ったらそこがセキュリティホールになりかねないし……でもまあ、何とかやってみるよ」

――なら大丈夫かな。
モリスさんの『やってみる』って、何だかんだ言いながらやれちゃうって事だから。

少しだけ安心した表情になったセカンは、そのまますぐ横のオートカさんに視線を移す。
「ところでさ、結局その『イメチェンメガネ?』『キャラ付けメガネ?』って一体何の魔道具なの?」

ナイスセカン! 僕もそれさっきから気になってた。

「これですか? これは魔力を可視化する魔道具です。それに単体での波長計測も出来る優れモノで。これもまた魔石の新しい可能性です」

魔石の新しい可能性……って事は、そうか!

「そのレンズ、魔石で出来てるんですね。凄いや」
「ふふ、でしょう? 帰ったらこちらの計測器のデータと照合して、値に差異が無いかを確認するんです」
「それが『テスト』だったんですね」
「ええ、その通りです」



これでセカンケイブでやる事は全て終わり。
「さてと、じゃあ次はセントラル君の魔力を計測して、それが終わったら帰って新型結界具の作成に取り掛かる、って事でいいかな。よし、早速移動しよう」
「あっ私も。セントラルの所で操化身で合流するから」

という事で次はラルの所へ行くんだけど、僕が【転移】で全員連れていく事になった。セカンが言うには、ラルの部屋は僕の転移だけが通るようになってるからなんだって。

「皆さんようこそいらっしゃいです。セカンお姉ちゃんから話は聞いてたですよ。……でも心からは歓迎できないひとが一人混じってるですけどね」
そう言ってラルが半眼でミレアさんに目をやると、その視線に押し退けられるようにミレアさんが斜め上に目を背けた。
「……ひゅーーひゅひゅーーーひゅひゅーー」
それ、もしかして口笛のつもり?

「……はぁ、まあいいです。恐ろしいのはあのヤベエ奴だけです。こいつはただうちの子達をモフり倒してただけ……あれっ、それだと奴も同じ括りです!?」

疲れたような表情から一転して愕然とした表情になるラル。
ホント一体何があったんだか……

「ピノ……確かこいつらはそう呼んでたです。うちの子達に消えないトラウマを植え付けたあいつ……奴こそ最悪のインプランターです」

ブツブツ言ってるラル……
うん、全部聞こえてる。
ピノさん、今度ラルと会わせてあげようかって思ってたけど、この様子だと連れて来ない方がいいかなぁ……?

「もし次があったら――」
「まあまあ、とりあえずそれは置いといてさ、今日は君の魔力を計測させてもらいに来たんだ。早速始めていいかい?」
「――って勿論どうぞです。ちゃちゃっとやっちゃって下さいです」

って事で計測開始。
さっきのセカンみたいにラルの色々な魔法を計測したら次の調査に――
「よし、じゃあ次は操化身アバターの操作をお願い」
「え? 私、操化身持ってないですよ?」

ああ、そう言えばいつもセカンがこっちに来てたから、ラルのは……

「「じぃーーーーーーーーーーーーーっ」」
「いや二人ともそれ口で言ってるよね……っていうかラルも操化身欲しいの?」
「欲しいです! 私も操化身やってみたいです! カルアお兄ちゃんお願いするです! 可愛い妹のおねだりです! 『勢いの力を借りて、今必殺のっ上目遣い!』です。おねだりはだいたーんに、です!」

こんな一生懸命お願いされたら……お兄ちゃん、もう叶えてあげるしかないじゃないか!
「分かったよラル。すぐに作るからちょっとだけ待っててね」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...