スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
251 / 278

第96話 ラルがやって来る ヤァヤァヤァ #2

しおりを挟む
「さて……こうして来てみたはいいですけど、一瞬でやる事無くなっちゃったです。そうだ、ベッドの下とか衣装ケースの中とか……ちっ、秘密の思春期アイテムとか何処にも無いです。ガチで空虚な空間です」

あ、空間把握で家捜ししたな?

「てゆーか、何だか生活感を感じない部屋です?」
「ここじゃあご飯食べて寝るくらいしかしないからかな? 錬成とかしたい時はヒトツメの家に転移してやってるから」
「ああ成程、もうひとつ家があるですか……はっ!? もしかして奴はそこに?」

奴って……

「ピノさん? 違うよ、ピノさんは自分の家にいるから」
「ん? 自分の……? 姉弟なのに別の家があるです?」

ああそうか、ちゃんと説明してなかったっけ。

「ピノさんはね、僕のホントのお姉さんじゃないんだ。前に色々あってね、それでピノさんがお姉さんになってくれて、今でも僕の事を色々と助けてくれてるんだよ」

そんな色々端折った説明だったけど、ラルは不思議とそれで納得したみたい。
「ほーーん、つまり、私とカルアお兄ちゃんみたいな関係、って事ですか」

僕とラルの……?
……っああ!

「……そうかも」
「なるほどです。そして私がカルアお兄ちゃんに魔力を染められちゃったみたいに、カルアお兄ちゃんも奴に染められちゃった、と」
「え? ええっと……」

染められちゃった、って……

「そう、奴はとんでもないものを染めていったです。あなたの――」

コンコンコン

ん? 扉からノックの音が……
誰か来た?

「何だろう? ごめんラル、ちょっと隠れてて」
「隠れてって何処に……おっ、あそこがいいです!」
「あっ、それか【隠蔽】で――」
――ってもう消えてる。よし!

「はーーい」
そっと扉を開けて――
ぴっ――!?

「こんにちはカルア君」
扉の外に立つ笑顔のピノさんと目が合った。

ラル……何時何処でフラグ立てたの!?

「突然ごめんね。急に王都に来る用事が出来ちゃって、そっちが一段落したから顔を見にきたの。ふふ、ビックリした?」
「ええ、ビックリしました……すっごく」
「ふふふ、作戦大成功ね!」

嬉しそうで楽しそうなピノさん。
続く言葉は勿論――
「入っていい?」
――だよねぇ。
「え、ええっと……」

うーーん……ラル、大丈夫かな……?
「え? あれ? どうしたのカルア君、何だか……もしかして誰か来てる? まさか可愛い女の子が部屋の中にいたりとか……」
「ええっ!? そそ、そんな事……」
「まっまさか……アーシュちゃん、とか……?」
「いやいやいや、アーシュじゃないですよ」
「アーシュって……つまり他の誰かがいるって事かな!?」

っ! しまったボッケーツ!
こうなったら仕方ない……ラル、ちゃんと【隠蔽】しててよ!

「いやー僕も今セントラルダンジョンから帰ってきたばっかりなんですよ、あははははぁー。どうぞどうぞピノさん、他に誰もいない僕の部屋へ、さあどうぞー」
「…………あやしい」

ちょっと目付きが怖いピノさん。
部屋に入ると素早く辺りを見回し――
「あれ? ホントに誰もいな――」
そしてベッドの上に視線を止めた。

「でしょ……って、ん?」
そのピノさんの視線につられて僕もベッドの方を――
ぶふっ、布団が膨らんでる!?
ちょっ、まさかラル……そんなベタな……

止める間もなくピノさんがベッドに歩み寄り、そして布団をパッと剥がす! と、そこには――
「あれ? 何かいるような気がしたけど……気のせいだったのかな」
――いなかったみたい。

よかったぁ……

ホッとした次の瞬間っ!
ピノさんの体が一瞬ぶれて――
その次の瞬間っっ!
ピノさんはお腹の前に腕をまわしてて――
更に次の瞬間っっっ!
その腕に抱えた何かに語り掛ける――

って、まさか!?

「――それで君は誰なのかな? 取り敢えず姿を見せてくれるかな?」

ピノさんの腕の中にいるのはきっとラル。何となく縋るような目で僕の方を見てるような気がしたから、そっと首を振る。すると――

「こここっ、こんにちはです」
目が泳ぎまくってるラルが、そっと姿を表した。
――ピノさんの腕の中で。

「はい、こんにちは……んー、君はもしかして、ラルちゃんの操化身アバター、かな?」
「そっ、そうです! だから何をしても無駄です! ノーダメージです! だから……だから無駄な事はやめておとなしくするです! 私は決して暴力には屈しないです!」
「……ええっ」

ラルの反応が思ってたのと違ったのか、ちょっとビックリした様子のピノさん。
「わ、私そんな事しないよ?」

「騙そうったってそうはいかないです。うちの子達にあんなトラウマを植え込んでおいて、今更無害アピールなんて、ちゃんちゃらおかしいです!」

天元突破した恐怖が反転して荒ぶるラル!
……でも少し涙目。

「トラウマなんて……そおっと抱き寄せて優しく撫でてあげただけじゃない」

というピノさんの弁。
何だろう、お互い微妙に食い違っているような……

「ええっと……ねえラル、何があったのか今度は話してくれる?」
「……分かったです。こうなったらもう隠しても仕方が無いです」

そして――
「あれは数日前の事でした……」
と、ラルが話し始めたセントラルダンジョンでの出来事、それは――
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...