悪役令嬢は六度目の人生を平穏に送りたい

柴田はつみ

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第十章 殿下の決意、そして真実の愛

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「そこまでだ、エメラルダ王女!」

響き渡る声に、エメラルダはハッと動きを止めた。そこに立っていたのは、アーチ王子殿下だった。彼の顔は、怒りに染まり、その瞳はかつてないほど鋭い光を放っていた。

アーチは、エメラルダ王女がリーチェに抱く歪んだ執着と、彼女がリーチェに仕掛けてきた陰湿な嫌がらせの全てを密かに調べていたのだ。

エメラルダの笑顔の裏に隠された悪意、そして彼女がリーチェを排除しようとしている真意を、アーチはついに理解した。

「殿下‥なぜ、ここに!」

エメラルダは、狼狽した様子で小瓶を隠そうとしたが、アーチは彼女の手から小瓶を奪い取った。

「君の企みは全てわかっている。リーチェに手を出そうなど、許さない」

アーチの言葉に、エメラルダは、顔を青ざめさせた。

その時、リーチェの隣りに、アルフレッドが駆け寄ってきた。彼はリーチェの無事を確認すると、アーチに深々と頭を下げた。

「殿下、リーチェ様をお守りいただき、心より感謝申し上げます」

アルフレッドの言葉に、アーチはリーチェとアルフレッドの間に流れる確かな絆を改めて感じた。

そしてリーチェが自分を避けていたのは、彼が過去の人生で知らずにリーチェを殺してきたことへの恐怖からだったのだと、アーチの心に深い痛みが走った。

(リーチェ‥君は、私を恐れていたのか。私のせいで、君は‥)

アーチは、リーチェに近づき、彼女の頬にそっと触れた。その瞳には、深い後悔と、そして揺るぎない愛情が宿っていた。


「リーチェ‥君を、守る。これからは、私が君を守る」

アーチの言葉は、以前の彼からは想像もできないほど、切実な響きを持っていた。リーチェは、彼の瞳に、過去五回の人生では決して見ることのなかった、真実の光をみた。

その場で、アーチはエメラルダ王女の悪行を断罪し、彼女を隣国へ送還することを決定した。
そして、その直後、アーチは王宮の重臣たちを集め、ある決意を表明した。

「私は、リーチェ フォン アールト公爵令嬢と、正式に婚約し、速やかに結婚することをここに宣言する!」

アーチの言葉に、王宮は騒然となった。リーチェは、まさかの展開に目を見開いた。過去の人生では、、結婚間近に殺されてきた。しかし、今回は、アーチがリーチェを守るために、自ら結婚を決意したのだ。

アーチはリーチェの手を取り、力強く握り締めた。彼の瞳は、もう迷いも、嫉妬もなかった。ただリーチェへの純粋な愛と、彼女を守り抜くという固い決意に満ちていた。

リーチェは、六度目の人生で、平穏を願った。しかし、それは、アーチとの関係を断ち切ることで得られるものではなかった。

彼との間に隠された真実を知り、彼の愛情を理解することで、初めて得られるものだった。悪役令嬢として殺されたきたリーチェは、今、真実の愛によって守られ、新たな運命を歩み始める。

そして、アーチ王子は、リーチェへの愛を自覚し、彼女を守るために、王としての覚悟を決めたのだった。



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