二度目の初恋は、穏やかな伯爵と

柴田はつみ

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第十章 突然の襲撃

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舞踏会からの帰り道、馬車が王都の城壁を越え、人気のない森の中へと差し掛かった時だった。突然、馬車の車輪が大きな音を立てて停止した。

御者が驚いたような声を上げる。

「何事だ!?」

アランが窓から外を覗こうとしたその時、馬車のドアが勢い良く開かれた。現れたのは、黒い布で顔を覆った数人の男達だった。

男たちは手に剣を持ち、威嚇するように馬車の中に踏み込んできた。

「金目のものを全て出せ!」

低い声が響き渡る。リーシャンは恐怖で体が震えるのを感じた。アランは、すぐにリーシャンの前に立ち、彼女を庇うように体を張った。

「リーシャン、下がっていなさい!」

アランは男たちに向かって、毅然とした態度で言った。

「一体、何のつもりだ?私が伯爵アランだと知っていて、このような真似をするのか?」

男たちの一人が、嘲笑うかのように鼻を鳴らした。

「ああ、伯爵よ。だからこそ、ここにいるんだ」

その言葉に、リーシャンはゾッとした。これはただの強盗ではない。アランを狙った襲撃なのだ。

アランは、冷静に状況を見極めようとしていた。しかし、男たちは容赦なくアランに襲いかかってきた。

剣と剣がぶつかる甲高い音、静かな森に響き渡る。アランは、剣の腕も確かだった。男たちの攻撃を冷静に受け流し、隙を見て反撃する。しかし、相手は数が多い。

リーシャンは、アランの無事を祈りながら、馬車の隅で身を縮めていた。目の前で繰り広げられる剣捌きに、過去の辛い記憶がフラッシュバックする。

以前のアランは、このような危険な目に遭うことはなかった。そして彼が冷酷なままであったなら、リーシャンを庇うことなどなかっただろう。

「くそっ‥‥!」

アランのうめき声が聞こえた。リーシャンが顔を上げると、アランの腕に、赤い血が滲んでいるのが見えた。

男たちは、アランの隙を狙って、リーシャンに飛びかかろうとする。

「リーシャンから離れろ!」

アランが怒鳴り、再び男たちに向かって剣を構えた。その瞳には、以前の冷酷な光とは違う、リーシャンを守ろうとする強い意志が宿っていた。


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