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降って湧いた夏合宿
16.半分交換しよ
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キャビンに戻れば加瀬とりんりんも起きていた。「先輩たち早起きですね」と言われて、清良に申し訳ない気持ちが増す。
「朝食までちょっと時間があります。縄跳びしませんか~~」
笑顔のりんりんが一人一人に縄跳びを渡してくれる。俺は密かにりんりんを金持ちの子認定しているのだが、その理由はこの縄跳びにもある。渡されたのはよくあるビニールじゃなくて、ワイヤーロープの競技用縄跳びなのだ。ちなみに加瀬と清良は大喜びで、昨日から二重跳び連続記録を更新し続けている。
(何であんなに跳べるんだ。それに、ちょっと運動するだけならビニール縄跳びでよくない?)
俺の疑問は誰にも届かず、縄跳びタイムが続く。
30分経ってちょうど朝食の開始時間になった。食事をとるのは昨日と同じバーべキュー場だ。縄跳びを終了して会場に着くと、昨夜の煙でもうもうとした様子はすっかり消えて、澄んだ空気だけがあった。朝食はどこに座ってもよかったので、見晴らしのいいパラソル席を選んだ。
朝食メニューは二種類。鮭と昆布のおにぎりに卵焼きとウインナー、サラダが付いたセットと、ハム・レタス・きゅうりを挟んだクロワッサン二個に、ゆで卵とミニサラダが付いたセットだ。
飲み物はオレンジジュースや牛乳、コーヒーなどが用意され、サーバーやポットから自由に取ることができる。
加瀬はおにぎり、りんりんと清良はクロワッサンのセットを選んだ。俺は迷ってなかなか決められない。普段なら絶対おにぎりだが、クロワッサンサンドも食べてみたい。
「月宮、先に行ってるぞ」
「飲み物取ってきますよ。何がいいですか?」
「牛乳!」
加瀬とりんりんがトレイを手に席に戻り、清良が呆れながら俺の側に立つ。
「まだ悩んでるの? あおちゃん、いつも米派じゃん」
「そう。普段クロワッサンなんて食べないから悩んでる」
「じゃあ、おにぎりにしなよ」
「え?」
「半分交換しよ。そうしたら両方食べられる」
清良はそう言って、テーブルに戻ってしまった。
(……清良。もう怒ってないのかな)
おにぎりセットを選んで戻ると、皆、飲み物を取って待ってくれていた。隣に座った清良がクロワッサンを一個、さっと俺の皿に入れる。
「あ、ありがと! おにぎり、どっちがいい?」
「……どっちでも」
俺は鮭おにぎりを清良の皿に入れた。清良も俺も、一番好きなおにぎりは鮭だ。
「お! 両方食べられていいな。じゃ、食べようぜ!」
せーの! と加瀬から掛け声がかかって、皆で声を合わせた。
「いっただきまーーーす!!!」
早速クロワッサンサンドを食べる。クロワッサンがサクサクパリパリして、噛み締めるとバターの風味がじゅわっと出てくる。具との相性もいい。ハムの旨味にさっぱりしたレタスやきゅうり、これがクロワッサンとよく合う。
夢中で食べていると、清良と目が合った。
「うまい?」
口いっぱいに頬張ったまま頷く。清良の口元がふっと緩んだ。
「ハムみたい」
「?」
思わず手に残ったクロワッサンの中身を見る。ハムはもう食べてしまった。クロワッサンと清良を交互に見ると、清良は肩を震わせて笑っている。よくわからないけど、もう怒ってはいないようだ。安心した俺は、皿の上の朝食を全て美味しく平らげた。
「朝食までちょっと時間があります。縄跳びしませんか~~」
笑顔のりんりんが一人一人に縄跳びを渡してくれる。俺は密かにりんりんを金持ちの子認定しているのだが、その理由はこの縄跳びにもある。渡されたのはよくあるビニールじゃなくて、ワイヤーロープの競技用縄跳びなのだ。ちなみに加瀬と清良は大喜びで、昨日から二重跳び連続記録を更新し続けている。
(何であんなに跳べるんだ。それに、ちょっと運動するだけならビニール縄跳びでよくない?)
俺の疑問は誰にも届かず、縄跳びタイムが続く。
30分経ってちょうど朝食の開始時間になった。食事をとるのは昨日と同じバーべキュー場だ。縄跳びを終了して会場に着くと、昨夜の煙でもうもうとした様子はすっかり消えて、澄んだ空気だけがあった。朝食はどこに座ってもよかったので、見晴らしのいいパラソル席を選んだ。
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飲み物はオレンジジュースや牛乳、コーヒーなどが用意され、サーバーやポットから自由に取ることができる。
加瀬はおにぎり、りんりんと清良はクロワッサンのセットを選んだ。俺は迷ってなかなか決められない。普段なら絶対おにぎりだが、クロワッサンサンドも食べてみたい。
「月宮、先に行ってるぞ」
「飲み物取ってきますよ。何がいいですか?」
「牛乳!」
加瀬とりんりんがトレイを手に席に戻り、清良が呆れながら俺の側に立つ。
「まだ悩んでるの? あおちゃん、いつも米派じゃん」
「そう。普段クロワッサンなんて食べないから悩んでる」
「じゃあ、おにぎりにしなよ」
「え?」
「半分交換しよ。そうしたら両方食べられる」
清良はそう言って、テーブルに戻ってしまった。
(……清良。もう怒ってないのかな)
おにぎりセットを選んで戻ると、皆、飲み物を取って待ってくれていた。隣に座った清良がクロワッサンを一個、さっと俺の皿に入れる。
「あ、ありがと! おにぎり、どっちがいい?」
「……どっちでも」
俺は鮭おにぎりを清良の皿に入れた。清良も俺も、一番好きなおにぎりは鮭だ。
「お! 両方食べられていいな。じゃ、食べようぜ!」
せーの! と加瀬から掛け声がかかって、皆で声を合わせた。
「いっただきまーーーす!!!」
早速クロワッサンサンドを食べる。クロワッサンがサクサクパリパリして、噛み締めるとバターの風味がじゅわっと出てくる。具との相性もいい。ハムの旨味にさっぱりしたレタスやきゅうり、これがクロワッサンとよく合う。
夢中で食べていると、清良と目が合った。
「うまい?」
口いっぱいに頬張ったまま頷く。清良の口元がふっと緩んだ。
「ハムみたい」
「?」
思わず手に残ったクロワッサンの中身を見る。ハムはもう食べてしまった。クロワッサンと清良を交互に見ると、清良は肩を震わせて笑っている。よくわからないけど、もう怒ってはいないようだ。安心した俺は、皿の上の朝食を全て美味しく平らげた。
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