本当にあなたが運命なんですか?

尾高志咲/しさ

文字の大きさ
13 / 21
番外編 二人のバレンタイン

4.🍫🍫🍫🍫 ※

しおりを挟む

 はあ、とため息が頭の上で聞こえてくる。その困ったような声も好きだ。だって、嫌がってないのを知ってる。眉を寄せてぼくを見る目が優しいから、もっと近くで見たくなる。

「千晴、ちょっとだけ待てる?」

 こくんと頷くと、一星はそっとぼくの腕を外して起き上がり、自分の服を脱ぎ始めた。ぼくもふらふらしながら上半身を起こして、自分でネクタイを緩める。いつもしていることなのに、何だか上手く出来ない。もたついていると、裸になった一星がするりと取ってくれた。

「……待っててくれたらいいのに」
「だって、熱いから」

 脱がせて、と言えば一星は噛みつくようにキスをする。開いた唇の隙間から熱い舌が入ってくる。

「ん……!」

 口の中に溜まった唾液を飲み込めば、唇の端から溢れて雫のように零れていく。息をするのも必死な間に、一星は、ぼくのシャツのボタンを外した。唇を離されるのと同時にシャツが脱がされ、ズボンごと下着が剝がされた。素肌になって抱きしめあう。

「……あ、あ!」
「千晴……」

 ぼくよりも一回りは大きい体に抱きしめられて、ぞくぞくと体が震える。綺麗に割れた筋肉、そそりたつ逞しい存在。一星の昂ぶりが自分のものと当たって、互いの体に電流のような痺れが走った。

 背に回った一星の手が尻の間に伸びて、指先が後孔を探る。びくんと跳ねた体からは、とろりと蜜液が溢れ出す。中から伝い落ちてくるのがわかって、たまらなく恥ずかしい。

「もう、濡れてる」
「あ、あッ。だって……、一星が」

 触るから、と言う声はどんどん小さくなって、一星がぼくの耳朶を齧る。柔らかくんだかと思うと、舌でねろりと耳の中も舐められる。
 ぼくを抱きしめたまま、一星の指先が後孔の入り口に触れた。ぬちゅ、と入り込んだかと思うとぐっと中まで入ってくる。
 がくがくと震える体を引き寄せられたまま、指が根元まで深く入りこんだ。肉襞が一星の指にきゅうきゅうと吸い付いていく。

「やっ……! あああ!」
「可愛い。指だけなのに、もうこんなに欲しがってる」

 一星が指を動かすと、ぼくの中からはどんどん蜜が溢れて内腿を濡らす。快感に涙がにじんでも、一星は手を止めようとはしない。浅いところを何度も押されて、ペニスの先からも先走りが零れた。思わず唇を噛み締める。

「唇、噛んじゃダメだよ。傷がつく」

 一星の甘い声は、ぼくの頭の中を沸騰させる。優しくキスをして体を痺れさせ、どろどろに溶かしていく。
 どんどん濡れる中に指が三本も入った頃、ぼくはもう、声を我慢することが出来なかった。

「……いっせ! あっあ!」
「気持ちいいね、千晴。もっと声、出して」
「あ! そこ、出ちゃ! 出ちゃうッ!」
「いいよ、出して」

 ぼくは必死で一星の体に縋りついた。下から三本の指でぐぐっと突きあげられた瞬間、堪らずぼくの先端から白濁があふれ出る。互いの腹や胸にまで白濁が飛び散って、体からは一気に力が抜けた。一星は指を抜いて、ぼくの体をゆっくりとベッドに押し倒す。

「もう……千晴の中に入りたい」

 ヘッドボードにあったゴムの袋を切って一星が剛直に被せると、ぼくの体はずくんと疼いた。
 一星がぼくの両足を大きく広げて、柔らかく開いている後孔にぴたりと剛直を当てる。熱い獣のような瞳と目が合って言葉を飲み込んだ途端、一星自身がずずっと中に入ってきた。

「ん! あああ! 熱いッ……!」

 体の中の熱は醒めることを知らない。硬くて熱い剛直が肉襞を掻き分けて進み、奥まで何度も擦り上げてくる。剛直が激しく奥を突くほど、ぼくの陰茎からは再び白濁が零れた。足先までが痺れて、たまらず一星に向かって両手を伸ばす。

「一星! イッてる! またイッて……」
「……気持ちいい。千晴、これ、まずい」

 止めようと思うのに自分から腰が揺れて一星をぎゅっと締めつけてしまう。一星はぼくの手を握りしめて、一本一本指を絡めてくれた。

 自分の中から湧き上がる香りが一星を包み、一星が眉を寄せて熱く息を吐いた。普段静かな一星の雄になる姿に、自分の中が歓びでいっぱいになる。

(欲しい。もっと、奥に)

「……っ! 千晴!!」

 うわ言のように言った言葉に、一星が目を見張る。剛直が一際大きくなって、思い切り奥を突いた。一星がぼくの名を呼びながら精を叩きつける。ぼくは無意識に望んでいた。

 ――いつか、一星でいっぱいに満たして欲しい、と。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

俺はつがいに憎まれている

Q矢(Q.➽)
BL
最愛のベータの恋人がいながら矢崎 衛というアルファと体の関係を持ってしまったオメガ・三村圭(みむら けい)。 それは、出会った瞬間に互いが運命の相手だと本能で嗅ぎ分け、強烈に惹かれ合ってしまったゆえの事だった。 圭は犯してしまった"一夜の過ち"と恋人への罪悪感に悩むが、彼を傷つける事を恐れ、全てを自分の胸の奥に封印する事にし、二度と矢崎とは会わないと決めた。 しかし、一度出会ってしまった運命の番同士を、天は見逃してはくれなかった。 心ならずも逢瀬を繰り返す内、圭はとうとう運命に陥落してしまう。 しかし、その後に待っていたのは最愛の恋人との別れと、番になった矢崎の 『君と出会いさえしなければ…』 という心無い言葉。 実は矢崎も、圭と出会ってしまった事で、最愛の妻との番を解除せざるを得なかったという傷を抱えていた。 ※この作品は、『運命だとか、番とか、俺には関係ないけれど』という作品の冒頭に登場する、主人公斗真の元恋人・三村 圭sideのショートストーリーです。

運命のアルファ

猫丸
BL
俺、高木颯人は、幼い頃から亮太が好きだった。亮太はずっと俺のヒーローだ。 亮太がアルファだと知った時、自分の第二の性が不明でも、自分はオメガだから将来は大好きな亮太と番婚するのだと信じて疑わなかった。 だが、検査の結果を見て俺の世界が一変した。 まさか自分もアルファだとは……。 二人で交わした番婚の約束など、とっくに破綻しているというのに亮太を手放せない颯人。 オメガじゃなかったから、颯人は自分を必要としていないのだ、と荒れる亮太。 オメガバース/アルファ同士の恋愛。 CP:相手の前でだけヒーローになるクズアルファ ✕ 甘ったれアルファ ※颯人視点は2024/1/30 21:00完結、亮太視点は1/31 21:00完結です。 ※話の都合上、途中女性やオメガ男性を貶めるような発言が出てきます(特に亮太視点)。地雷がある方、苦手な方は自衛してください。 ※表紙画像は、亮太をイメージして作成したAI画像です。

捨てた筈の恋が追ってきて逃がしてくれない

Q矢(Q.➽)
BL
18歳の愛緒(まなお)は、ある男に出会った瞬間から身も心も奪われるような恋をした。 だがそれはリスクしかない刹那的なもの。 恋の最中に目が覚めてそれに気づいた時、愛緒は最愛の人の前から姿を消した。 それから、7年。 捨てたつもりで、とうに忘れたと思っていたその恋が、再び目の前に現れる。 ※不倫表現が苦手な方はご注意ください。

【本編完結済】巣作り出来ないΩくん

こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。 悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。 心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…

僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた

いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲ 捨てられたΩの末路は悲惨だ。 Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。 僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。 いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。

器量なしのオメガの僕は

いちみやりょう
BL
四宮晴臣 × 石崎千秋 多くの美しいオメガを生み出す石崎家の中で、特に美しい容姿もしておらず、その上、フェロモン異常で発情の兆しもなく、そのフェロモンはアルファを引きつけることのない体質らしい千秋は落ちこぼれだった。もはやベータだと言ったほうが妥当な体だったけれど、血液検査ではオメガだと診断された。 石崎家のオメガと縁談を望む名門のアルファ家系は多い。けれど、その中の誰も当然の事のように千秋を選ぶことはなく、20歳になった今日、ついに家を追い出されてしまった千秋は、寒い中、街を目指して歩いていた。 かつてベータに恋をしていたらしいアルファの四宮に拾われ、その屋敷で働くことになる ※話のつながりは特にありませんが、「俺を好きになってよ!」にてこちらのお話に出てくる泉先生の話を書き始めました。

【完結】運命なんかに勝てるわけがない

BL
オメガである笹野二葉《ささのふたば》はアルファの一ノ瀬直隆《いちのせなおたか》と友情を育めていると思っていた。同期の中でも親しく、バース性を気にせず付き合える仲だったはず。ところが目を覚ますと事後。「マジか⋯」いやいやいや。俺たちはそういう仲じゃないだろ?ということで、二葉はあくまでも親友の立場を貫こうとするが⋯アルファの執着を甘くみちゃいけないよ。 逃さないα✕怖がりなΩのほのぼのオメガバース/ラブコメです。

アルファな彼とオメガな僕。

スメラギ
BL
  ヒエラルキー最上位である特別なアルファの運命であるオメガとそのアルファのお話。  

処理中です...