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4 仕置きの秘密とマクシムの秘密
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「じゃあ、遠慮なく戻って休むね。みんなおやすみー」
ミカエル、テオドール、エミール、ダミアンの4人は、テントを出て行くテレーズの後ろ姿を見ていた。
第1師団 師団長ミカエルと、テレーズは同級生で、昔からの腐れ縁だ。彼女のことを、1番理解しているのは自分だと思っている。
第2師団 師団長テオドールは、早くに病気で妹を亡くしており、9つ下のテレーズのことを、本当の妹のように思っている。
第3師団 師団長エミールにとって、入団した時から面倒見がよく、優しく接してくれたテレーズは、憧れのお姉さんだ。
第5師団 師団長ダミアンは、好意を抱く女性程からかいたくなり、テレーズに疎まれていることを知りつつも、それが止められない。
みんながみんな、テレーズを可愛がり、真綿でくるむように大切に守って来た。テレーズが若い時には、彼女を狙う、有象無象を排除し、『自分より強い男しか認めんからな!』という想いで、周囲を威嚇して来た。
だが、師団長を勤める彼らに敵うとすれば、団長と副団長しかいない。その2人は既婚者で、テレーズの相手にはなれない。仮に、2人がテレーズに手を出そうとしていたら、4人で叩きつぶしていたに違いない。
テレーズは恋愛の1つも出来ず、婚期は延びに延び、とうとう30の大台を超えてしまった。この師団長たちが、裏から手をまわしていたせいである。
近年、別の問題も浮上してきた。テレーズのことを、『行き遅れ』だの、『オバサン』だの、『ババア』だのと、言う輩が増えたことだ。そんな輩は発見し次第、第5師団送りの刑に処している。
裏の事情を知らないで、第5を頭でっかちと評していた輩も、殺気まみれの第5に放り込めば、1週間以内に逃げ出すか更生し、後に忠実な暗部要員となる。
「皆……。もうこれ以上、テレーズが独り身でいるのは良くないのではないか?」
「「「……」」」
みんな分かっていた。『テレーズを陰日向になって守る会』を、そろそろ解散しなければならないことを……。
ただ、彼らが分かっていないこともあった。大切に想ってきたテレーズから、「すかした奴」「堅物」「あざとい」「蛇男」と、思われていることを。
**********
――サレイト王国の王都に戻った翌日――
うん。緊張して、あまり眠れなかった。もう、眠れそうにないし、起きようかな。
昨日、家に帰ってからすぐクローゼットを開け、盛大に落ち込んだよ。2年位、服なんて買ってなくてさ……。
焦ったわー。みんな、ヨレヨレなんだもん。同じような形で、同じような色味の服しかないし……。
なので、早々と化粧を始め、服を買うため午前中から街に出た。
自分に子どもがいたら、10代半ばでしょ? その娘さん達が着るような可愛い服なら、売っているお店も沢山あるけど、私のように微妙な立場だと、店選びも難しい。
やっと見つけたこのお店。大事にしたいが、あと何年来られるのかな? 年相応かつ、未婚女子が着る服って難しいわ。
店員さんに相談しながら、流行りは取り入れてるけど、気合の入り過ぎてない、控えめなブラウスとスカートを購入。
即、その場で着替え、着て来た服は、後日、家まで届けてもらうことにした。フフっ。張り切り証拠隠滅。完璧だわ。
おまけに、ギリギリ間に合うと思って、カットもしちゃったよ。短いと、まとめられなくて面倒臭いから、ちょっと、整えただけなんだけどさ。
でも、すごく変わった気になるんだよね。プロのセットって良いわー。毎日セットして欲しい。
デートじゃないって分かっていても、こんなに気分が上がるんだから、本当にデートなんてしたら、腰が砕けるどころか天に召されるわ。
最後にもう1度、お化粧をチェック。そして、13時の5分前、今、王城広場に着いたよー。という体で、私は待ち合わせ場所に立っていた。
**********
「テレーズ様」
「はい」
? 誰、この人? なんで、私のことを知っている?
「マクシム様より命を受け、テレーズ様のお迎えに参りました。私がご案内いたします」
「? はい……」
マクシムって言ってるから、騙されて、どこかに連れて行かれる訳ではないだろうけど、様? 命? 全く状況が理解出来ないわ。「嫌。知らない人にはついて行きません」なんてことは言わないが、ちょっとは説明してほしい。
「あの? どこへ行くんですか?」
「申し訳ございません。マクシム様が、これからテレーズ様にご説明される内容に関わるようなことは、私からはお答え出来ません」
うーん。冷たくあしらわれてるんじゃなく、この人は、「心底悪いね」って弱ったようにしているから、これ以上聞かない方が良いか。でも、ずっと無言で歩くもの気まずいわな。
「それでは、関係のないお話でもしましょう。お名前だけでも教えてくれませんか?」
「私は、セルジュと申します」
「黙々歩くのもなんなんで、セルジュさんの知る、王都のおすすめスポットを、教えてくれませんか?」
予想以上にセルジュさんとの話が弾み、気づいて周囲を見渡すと、王城の城壁脇の、広大な敷地に佇むお屋敷の門前に着いていた。
目的地は、この豪奢なお屋敷だろうか? 第2師団のテオドールなら、警護の都合上誰のお屋敷か知っているんだろうけど、私には無縁の世界で、謎が深まるばかりだ。
門兵さんが止めることもなく、セルジュさんがお屋敷に入って行くので、私も後をついていく。
おっと! ユニコーンが、突撃してきたよ! ユニが此処にいるってことは、やはりマクシムの屋敷だな。フムフム。
可哀想にユニを逃がしたと思って、馬丁さんが必死の形相でユニを追いかけてくる。
「コラ! ユニ! 約束を忘れたの? あと、馬丁さんに迷惑掛けるのも禁止ね! 罰として決まりを追加しておくから!」
『ブルル』と項垂れたから、よしよしと鼻先を撫でてあげ、再びセルジュさんに案内してもらう。
サロンに通され、これまたお高そうな、調度品を眺めていると――
「お待たせしました。テレーズ師団長」
と、黒い布ではなく、ラフなシャツとトラウザーズ姿で、マクシムがサロン入って来た。やはり眩しいな。
それなりに大人そうだし、年齢的に王子様って言ったら、失礼になりそうだが、『みんなの憧れ白馬の王子様』のモデルは、きっとマクシムだったんだな。うんうん。
銀の髪をなびかせて、ユニに騎乗すればいいじゃない? 卒倒する女子続出だよ。
お茶を淹れてくれたメイドさんと、セルジュさんがさがり、サロンに2人きりになる。
あー。なんか緊張しちゃうんですけど。早よ、説明してくれないと、ボロを出して乙女のように顔を赤くしちゃうよ。
でも、私は師団長! 余裕たっぷりに振る舞わねば!
「状況が全く理解出来ていないけど、ユニもいたし、マクシムの家にお招きいただいたようね?」
「お迎えに上がれずすみません。驚かれましたよね」
――神妙な顔つきで、マクシムが説明をしはじめる――
はい? 実は王弟殿下で、王位争いに巻き込まれるのが嫌で、16歳から14年間ずっと外遊していた?
兄が王に即位したから、やっと2年前に戻ってきた? 王位継承権を完全に放棄して、今は、臣籍降下した公爵様で、王の公務の補佐をしてる?
待たれよ。ガチの王子様じゃないか? しかも公爵様と来たか。
「1年前に王女が生まれ、随分と、親バカになった兄が、『極力男を近づけたくないから、第2師団に女性騎士を配属し、王女の護衛に当たらせろ』と、ぬかしたのです」
ああ、でも、女が私しかいなくて困っていたのね。そりゃあご愁傷様だわ。
「私だけでは、王女様の警護は無理ですものね……」
「そこで、騎士団長のオレノにだけ相談し、身分を隠して、私が騎士団に潜入したのです。毎年採用しているのにも関わらず、女性騎士が辞めて行く原因を、私が調査していました」
「でも、わざわざ、ご自身で調査をされなくても良かったのでは?」
「調査するにしても団員同士ですと、都合が悪いことを隠すかもしれませんし、潜入するにしても、適当な者がいなかったのです」
そっか。顔バレしている人も、第2師団辺りにはいるだろうから、それで、黒い布でグルグル巻きになっていたのね。
って、おかしいだろ……。もっとやり方はあったでしょう!
やんごとないお方に、今までのような無礼は働けないから、頑張って丁寧に話してみよう。
「恐れながら申し上げます。だからと言って、あのような恰好では、余計に目立たれましたね。それに、もう充分、女性騎士が育たない理由を、掴めたのではないですか? 自ら調査するなど、一刻も早くお止めください」
「テレーズ師団長……。私はまだ、貴女の団で研修中の身です。いつも私や他の部下に言うように、遠慮なくおっしゃってください。どうかお願いします」
はあん? なら、遠慮なく物申しちゃうわよ!?
「だから、その研修! 新人訓練なんかを、早くやめろって言ってんのよ!! 根本変えなよ、根本を!!」
「しかし、原因は分かって来ましたが、女性騎士は、テレーズ師団長しかいないのが現実です。問題が解決した訳ではないですから……。ああ。でも……」
マクシムが、凄艶に微笑んでいる。なんか悪いことでも企んでいる顔だよね。ブルルっと、寒気がした。
**********
休み明け、ラスト1週間で新人の全体訓練をする。それが終われば、新たに誕生した騎士35名が、各師団に配属されていく。今日は、正式な配属先の発表日。どれ、私も最終確認しておこうかな。
??? あれ? 目がおかしくなったかな? 第4師団には5名入る予定だったのに、4名に減ってるし、師団長の名前が私じゃないんですけど? なぜ、うちの副師団長ブリスが師団長になっている?
私が降格されたのか? 何が起きている? 青ざめて倒れそうになったが、ゴシゴシと目を擦って、もう1度書類を見てみる。
けれど、やっぱり見間違いじゃない。隅から隅まで書類を確認していく――
「!!!」
柄にもなく、悲鳴を上げそうになったじゃない。何コレ……。
創設 女性騎士団 団長 テレーズ・リヴィエ
副団長 マクシミリアン・フォン・アインホルン
団員 アリス・バシェ
団員 コリンヌ・アダン
団員 ミレーヌ・ドゥ・ベルレアン
女性騎士団が創設? 団長が私? 副団長がマクシム? おいコラ! 私は何も聞いてないぞ!!
ミカエル、テオドール、エミール、ダミアンの4人は、テントを出て行くテレーズの後ろ姿を見ていた。
第1師団 師団長ミカエルと、テレーズは同級生で、昔からの腐れ縁だ。彼女のことを、1番理解しているのは自分だと思っている。
第2師団 師団長テオドールは、早くに病気で妹を亡くしており、9つ下のテレーズのことを、本当の妹のように思っている。
第3師団 師団長エミールにとって、入団した時から面倒見がよく、優しく接してくれたテレーズは、憧れのお姉さんだ。
第5師団 師団長ダミアンは、好意を抱く女性程からかいたくなり、テレーズに疎まれていることを知りつつも、それが止められない。
みんながみんな、テレーズを可愛がり、真綿でくるむように大切に守って来た。テレーズが若い時には、彼女を狙う、有象無象を排除し、『自分より強い男しか認めんからな!』という想いで、周囲を威嚇して来た。
だが、師団長を勤める彼らに敵うとすれば、団長と副団長しかいない。その2人は既婚者で、テレーズの相手にはなれない。仮に、2人がテレーズに手を出そうとしていたら、4人で叩きつぶしていたに違いない。
テレーズは恋愛の1つも出来ず、婚期は延びに延び、とうとう30の大台を超えてしまった。この師団長たちが、裏から手をまわしていたせいである。
近年、別の問題も浮上してきた。テレーズのことを、『行き遅れ』だの、『オバサン』だの、『ババア』だのと、言う輩が増えたことだ。そんな輩は発見し次第、第5師団送りの刑に処している。
裏の事情を知らないで、第5を頭でっかちと評していた輩も、殺気まみれの第5に放り込めば、1週間以内に逃げ出すか更生し、後に忠実な暗部要員となる。
「皆……。もうこれ以上、テレーズが独り身でいるのは良くないのではないか?」
「「「……」」」
みんな分かっていた。『テレーズを陰日向になって守る会』を、そろそろ解散しなければならないことを……。
ただ、彼らが分かっていないこともあった。大切に想ってきたテレーズから、「すかした奴」「堅物」「あざとい」「蛇男」と、思われていることを。
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――サレイト王国の王都に戻った翌日――
うん。緊張して、あまり眠れなかった。もう、眠れそうにないし、起きようかな。
昨日、家に帰ってからすぐクローゼットを開け、盛大に落ち込んだよ。2年位、服なんて買ってなくてさ……。
焦ったわー。みんな、ヨレヨレなんだもん。同じような形で、同じような色味の服しかないし……。
なので、早々と化粧を始め、服を買うため午前中から街に出た。
自分に子どもがいたら、10代半ばでしょ? その娘さん達が着るような可愛い服なら、売っているお店も沢山あるけど、私のように微妙な立場だと、店選びも難しい。
やっと見つけたこのお店。大事にしたいが、あと何年来られるのかな? 年相応かつ、未婚女子が着る服って難しいわ。
店員さんに相談しながら、流行りは取り入れてるけど、気合の入り過ぎてない、控えめなブラウスとスカートを購入。
即、その場で着替え、着て来た服は、後日、家まで届けてもらうことにした。フフっ。張り切り証拠隠滅。完璧だわ。
おまけに、ギリギリ間に合うと思って、カットもしちゃったよ。短いと、まとめられなくて面倒臭いから、ちょっと、整えただけなんだけどさ。
でも、すごく変わった気になるんだよね。プロのセットって良いわー。毎日セットして欲しい。
デートじゃないって分かっていても、こんなに気分が上がるんだから、本当にデートなんてしたら、腰が砕けるどころか天に召されるわ。
最後にもう1度、お化粧をチェック。そして、13時の5分前、今、王城広場に着いたよー。という体で、私は待ち合わせ場所に立っていた。
**********
「テレーズ様」
「はい」
? 誰、この人? なんで、私のことを知っている?
「マクシム様より命を受け、テレーズ様のお迎えに参りました。私がご案内いたします」
「? はい……」
マクシムって言ってるから、騙されて、どこかに連れて行かれる訳ではないだろうけど、様? 命? 全く状況が理解出来ないわ。「嫌。知らない人にはついて行きません」なんてことは言わないが、ちょっとは説明してほしい。
「あの? どこへ行くんですか?」
「申し訳ございません。マクシム様が、これからテレーズ様にご説明される内容に関わるようなことは、私からはお答え出来ません」
うーん。冷たくあしらわれてるんじゃなく、この人は、「心底悪いね」って弱ったようにしているから、これ以上聞かない方が良いか。でも、ずっと無言で歩くもの気まずいわな。
「それでは、関係のないお話でもしましょう。お名前だけでも教えてくれませんか?」
「私は、セルジュと申します」
「黙々歩くのもなんなんで、セルジュさんの知る、王都のおすすめスポットを、教えてくれませんか?」
予想以上にセルジュさんとの話が弾み、気づいて周囲を見渡すと、王城の城壁脇の、広大な敷地に佇むお屋敷の門前に着いていた。
目的地は、この豪奢なお屋敷だろうか? 第2師団のテオドールなら、警護の都合上誰のお屋敷か知っているんだろうけど、私には無縁の世界で、謎が深まるばかりだ。
門兵さんが止めることもなく、セルジュさんがお屋敷に入って行くので、私も後をついていく。
おっと! ユニコーンが、突撃してきたよ! ユニが此処にいるってことは、やはりマクシムの屋敷だな。フムフム。
可哀想にユニを逃がしたと思って、馬丁さんが必死の形相でユニを追いかけてくる。
「コラ! ユニ! 約束を忘れたの? あと、馬丁さんに迷惑掛けるのも禁止ね! 罰として決まりを追加しておくから!」
『ブルル』と項垂れたから、よしよしと鼻先を撫でてあげ、再びセルジュさんに案内してもらう。
サロンに通され、これまたお高そうな、調度品を眺めていると――
「お待たせしました。テレーズ師団長」
と、黒い布ではなく、ラフなシャツとトラウザーズ姿で、マクシムがサロン入って来た。やはり眩しいな。
それなりに大人そうだし、年齢的に王子様って言ったら、失礼になりそうだが、『みんなの憧れ白馬の王子様』のモデルは、きっとマクシムだったんだな。うんうん。
銀の髪をなびかせて、ユニに騎乗すればいいじゃない? 卒倒する女子続出だよ。
お茶を淹れてくれたメイドさんと、セルジュさんがさがり、サロンに2人きりになる。
あー。なんか緊張しちゃうんですけど。早よ、説明してくれないと、ボロを出して乙女のように顔を赤くしちゃうよ。
でも、私は師団長! 余裕たっぷりに振る舞わねば!
「状況が全く理解出来ていないけど、ユニもいたし、マクシムの家にお招きいただいたようね?」
「お迎えに上がれずすみません。驚かれましたよね」
――神妙な顔つきで、マクシムが説明をしはじめる――
はい? 実は王弟殿下で、王位争いに巻き込まれるのが嫌で、16歳から14年間ずっと外遊していた?
兄が王に即位したから、やっと2年前に戻ってきた? 王位継承権を完全に放棄して、今は、臣籍降下した公爵様で、王の公務の補佐をしてる?
待たれよ。ガチの王子様じゃないか? しかも公爵様と来たか。
「1年前に王女が生まれ、随分と、親バカになった兄が、『極力男を近づけたくないから、第2師団に女性騎士を配属し、王女の護衛に当たらせろ』と、ぬかしたのです」
ああ、でも、女が私しかいなくて困っていたのね。そりゃあご愁傷様だわ。
「私だけでは、王女様の警護は無理ですものね……」
「そこで、騎士団長のオレノにだけ相談し、身分を隠して、私が騎士団に潜入したのです。毎年採用しているのにも関わらず、女性騎士が辞めて行く原因を、私が調査していました」
「でも、わざわざ、ご自身で調査をされなくても良かったのでは?」
「調査するにしても団員同士ですと、都合が悪いことを隠すかもしれませんし、潜入するにしても、適当な者がいなかったのです」
そっか。顔バレしている人も、第2師団辺りにはいるだろうから、それで、黒い布でグルグル巻きになっていたのね。
って、おかしいだろ……。もっとやり方はあったでしょう!
やんごとないお方に、今までのような無礼は働けないから、頑張って丁寧に話してみよう。
「恐れながら申し上げます。だからと言って、あのような恰好では、余計に目立たれましたね。それに、もう充分、女性騎士が育たない理由を、掴めたのではないですか? 自ら調査するなど、一刻も早くお止めください」
「テレーズ師団長……。私はまだ、貴女の団で研修中の身です。いつも私や他の部下に言うように、遠慮なくおっしゃってください。どうかお願いします」
はあん? なら、遠慮なく物申しちゃうわよ!?
「だから、その研修! 新人訓練なんかを、早くやめろって言ってんのよ!! 根本変えなよ、根本を!!」
「しかし、原因は分かって来ましたが、女性騎士は、テレーズ師団長しかいないのが現実です。問題が解決した訳ではないですから……。ああ。でも……」
マクシムが、凄艶に微笑んでいる。なんか悪いことでも企んでいる顔だよね。ブルルっと、寒気がした。
**********
休み明け、ラスト1週間で新人の全体訓練をする。それが終われば、新たに誕生した騎士35名が、各師団に配属されていく。今日は、正式な配属先の発表日。どれ、私も最終確認しておこうかな。
??? あれ? 目がおかしくなったかな? 第4師団には5名入る予定だったのに、4名に減ってるし、師団長の名前が私じゃないんですけど? なぜ、うちの副師団長ブリスが師団長になっている?
私が降格されたのか? 何が起きている? 青ざめて倒れそうになったが、ゴシゴシと目を擦って、もう1度書類を見てみる。
けれど、やっぱり見間違いじゃない。隅から隅まで書類を確認していく――
「!!!」
柄にもなく、悲鳴を上げそうになったじゃない。何コレ……。
創設 女性騎士団 団長 テレーズ・リヴィエ
副団長 マクシミリアン・フォン・アインホルン
団員 アリス・バシェ
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