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第2章 黒領主の旦那様
36 母の願い
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夫婦となったユージーンと私は長旅を終え、ハイド伯爵領に帰ってきた。これからずっと共に生きる誓いを立てた人が隣に居てくれるだけで、景色が違って見える。
この人とは、どんな苦しい状況が訪れても繋いだ手は離さない。そうあるために、努力し続けようと思えた。
お母様も一緒に来てほしかったけれど、やはり国を空けるのは難しいらしく、結婚式の後すぐにウィンドラ公国へと飛び立った。
『今度はハイドで会いましょう』
互いにそう誓い合って――
日常に戻った私は、これからの領地のことをメレディスと一緒に考えている。
「光魔法と闇魔法に特化した、魔法学校を設立するなんてどうかしら?」
「生徒数は少ないでしょうが、とても素晴らしい案ですね。貴重な人材を輩出する学舎となるでしょう」
メレディスに肯定され夢が膨らむ。一国の公として立つお母様に恥じない生き方をしたい。
お母様と会ってから、強い女性になろうともがいている。
『ムー!』
『飛竜の羽音がするって。イスティリア側からの命で来たみたいだよ?』
「どうしたのかしら?」
ココとムムと頭を捻っていると、執務室の外が騒がしくなった。
「クローディア!」
伯爵邸の外壁調査をしていたはずのユージーンが、ただならぬ形相で執務室に飛び込んで来た。
「メレディス、少し席を外してくれ」
「かしこまりました」
よほど急いでいたのだろう。肩で息をする旦那様に問いかける。
「お疲れ様。何かあったの?」
「クローディア……」
少しの間躊躇したユージーンが私をしっかりと見据え、低い声音で私の名を呼んだ。
緊張が走り、あまりにも重い空気に潰されそうになる。
「……ユージーン?」
なかなか切り出せない夫の顔を見て、全身が粟立つ。一瞬にして、とてつもなくよくない報せを告げられると察知した。
「ウィンドラ公国から急報を告げる飛竜が飛んで来た……。――レイラ様が亡くなった……」
言葉は聞こえたはずなのに、理解できず脳内で反芻する。
「……? 嘘よね? だって、一週間前に別れたばかりじゃない?」
「本当なんだ……。レイラ様はご病気を患っていた。下腹部に病巣を抱え、医師からは長くはもたないと言われていたんだ……」
そうだ。ユージーンは私に嘘などつかない。
でも、病気? こんなに早く亡くなってしまうほどの?
「お義父様もユージーンも、お母様の病を知っていたの?」
「俺たちがウィンドラを立つ前、レイラ様が父に手紙を送っていた。自分が死ぬ前に、クローディアに家族を作ってあげたいと……。それで戻ったらすぐに式を挙げる準備をしたんだ」
あんなに元気だったのに、死を見据えていた?
そこで、恐ろしい事実にたどり着き、凍りついた。
まさか……。お母様は私を救った時に残り少ない命を使った?
「私のせいだわ……。その短い命を私の傷を治すために使ったのね……」
「あれは事故だ。クローディアのせいじゃない。俺だってコンラッドに思うところはあるが、あれもレイラ様を想ってのことだと言い聞かせている」
母を愛していたのなら、コンラッドさんは今この時も、苦しみに苛まれているだろう。お祖父様もきっと……。
「レイラ様は最後の力で自身に魔法をかけ、最期まで母として気丈に振る舞うことを選らんだんだ……」
病は治せない。でも、痛みは緩和できる。私に心配をかけないため、私に力をつかわせないため、さらに命を削っていたというの……?
「……私が側に居られたら、少しは役に立てたわよね……」
それでも側に居られたら、私の持つ闇の力はお母様を助けられたはず。
己の力がお母様を救えなかったことに歯噛みする私に、ユージーンが強い口調で答えをくれた。
「それは絶対にレイラ様は望まないよ。断言できる。俺がその状況でも、クローディアの力は望まない。ただ、側にいてほしいだけだ」
ガシリと肩を揺すられ、少しだけ我を取り戻す。私が病に犯されていたら……、ユージーンや母の命を削ってほしくはない。
お母様と同じ判断をするだろう。
「ごめんなさい……」
「でも、クローディアの施した刺繍が、最期の時までレイラ様を癒やしていたとニナさんが言っていたって。レイラ様自身の力が尽き、誰しもが苦しまれる最期を覚悟したそうだ。だが、レイラ様はクローディアの魔力に包まれ、穏やかに最期を迎えたそうだ」
そんなことが起きるなんて……。刺繍をした時に何気なく唱えた魔法が、お母様に届いていた……。
「本当のことを言えなくてごめん。レイラ様の命をかけての願いだったんだ……。ウィンドラ公国へお帰りになる間際、この手紙を預かっていた」
ユージーンが大事そうに懐から手紙を出した。これが母の字なんだ。繊細だけれど、美しくしっかりとした筆跡。まるで母の人間性そのものだった……。
“クローディア。母親らしいこと、できなくてごめんなさい。貴女と過ごした時間は、久しぶりに感じた至福の時でした”
私にとってもお母様と過ごした時間は、一生ものです。
“最後に貴女に知識を託せて良かった。大きくなったユージーン君に会えて安心した。彼ならクローディアを任せられると思ったの。貴女のウエディングドレス姿を見られてよかった”
立場あるお母様が無理を押して参列してくれて、母から愛されていると実感しました。
“悲しまないでね。私はやっとクライヴの元に行けるのだから。最期にお願いがあるの。私の骨はクライヴと一緒にしてほしい。貴女の近くにいたいの。二人でずっと貴女を見守っているわ”
本当は見守られるより、これからも一緒にいたかったよ?
“生まれてきてくれてありがとう。クライヴに愛され、貴女の母になれて、私は幸せでした。愛しているわ。 レイラ・ハイド”
私も、お父様とお母様の娘に生まれ幸せです。愛しています。
母からの手紙を畳む。小刻みに揺れている手を止め、涙を拭こう。
「伝えてくれてありがとう。母から繋いでもらった命を、これからはハイドとロシスターの民のために使って生きていくわ。貴方の傍で……。家族になってくれてありがとう……」
ユージーンも私がどう感じるか悩んで、言葉の一つ一つを丁寧に紡いでくれたんだ。伝える方も辛かったよね。
お義父様も、母からの手紙を受け取って、大急ぎで式の手配をしてくれたんだ。
参列してくれたみなさんも、急な招待に大変だっただろう。忙しい中都合をつけて駆けつけてくれたんだ。
ユージーンは何も言わず、私の頭を抱き寄せゆっくり背中をさすってくれた。
いつまでもいつまでも、彼は私の気が済むまでただなにも言わず付き添ってくれていた……。
これからは、お父様とお母様の愛したハイド家を、私とユージーンが守ってゆきます。
お二人が叶わなかった結婚をし、旦那様がすぐ側にいてくれるのですから、絶対に大丈夫です――
この人とは、どんな苦しい状況が訪れても繋いだ手は離さない。そうあるために、努力し続けようと思えた。
お母様も一緒に来てほしかったけれど、やはり国を空けるのは難しいらしく、結婚式の後すぐにウィンドラ公国へと飛び立った。
『今度はハイドで会いましょう』
互いにそう誓い合って――
日常に戻った私は、これからの領地のことをメレディスと一緒に考えている。
「光魔法と闇魔法に特化した、魔法学校を設立するなんてどうかしら?」
「生徒数は少ないでしょうが、とても素晴らしい案ですね。貴重な人材を輩出する学舎となるでしょう」
メレディスに肯定され夢が膨らむ。一国の公として立つお母様に恥じない生き方をしたい。
お母様と会ってから、強い女性になろうともがいている。
『ムー!』
『飛竜の羽音がするって。イスティリア側からの命で来たみたいだよ?』
「どうしたのかしら?」
ココとムムと頭を捻っていると、執務室の外が騒がしくなった。
「クローディア!」
伯爵邸の外壁調査をしていたはずのユージーンが、ただならぬ形相で執務室に飛び込んで来た。
「メレディス、少し席を外してくれ」
「かしこまりました」
よほど急いでいたのだろう。肩で息をする旦那様に問いかける。
「お疲れ様。何かあったの?」
「クローディア……」
少しの間躊躇したユージーンが私をしっかりと見据え、低い声音で私の名を呼んだ。
緊張が走り、あまりにも重い空気に潰されそうになる。
「……ユージーン?」
なかなか切り出せない夫の顔を見て、全身が粟立つ。一瞬にして、とてつもなくよくない報せを告げられると察知した。
「ウィンドラ公国から急報を告げる飛竜が飛んで来た……。――レイラ様が亡くなった……」
言葉は聞こえたはずなのに、理解できず脳内で反芻する。
「……? 嘘よね? だって、一週間前に別れたばかりじゃない?」
「本当なんだ……。レイラ様はご病気を患っていた。下腹部に病巣を抱え、医師からは長くはもたないと言われていたんだ……」
そうだ。ユージーンは私に嘘などつかない。
でも、病気? こんなに早く亡くなってしまうほどの?
「お義父様もユージーンも、お母様の病を知っていたの?」
「俺たちがウィンドラを立つ前、レイラ様が父に手紙を送っていた。自分が死ぬ前に、クローディアに家族を作ってあげたいと……。それで戻ったらすぐに式を挙げる準備をしたんだ」
あんなに元気だったのに、死を見据えていた?
そこで、恐ろしい事実にたどり着き、凍りついた。
まさか……。お母様は私を救った時に残り少ない命を使った?
「私のせいだわ……。その短い命を私の傷を治すために使ったのね……」
「あれは事故だ。クローディアのせいじゃない。俺だってコンラッドに思うところはあるが、あれもレイラ様を想ってのことだと言い聞かせている」
母を愛していたのなら、コンラッドさんは今この時も、苦しみに苛まれているだろう。お祖父様もきっと……。
「レイラ様は最後の力で自身に魔法をかけ、最期まで母として気丈に振る舞うことを選らんだんだ……」
病は治せない。でも、痛みは緩和できる。私に心配をかけないため、私に力をつかわせないため、さらに命を削っていたというの……?
「……私が側に居られたら、少しは役に立てたわよね……」
それでも側に居られたら、私の持つ闇の力はお母様を助けられたはず。
己の力がお母様を救えなかったことに歯噛みする私に、ユージーンが強い口調で答えをくれた。
「それは絶対にレイラ様は望まないよ。断言できる。俺がその状況でも、クローディアの力は望まない。ただ、側にいてほしいだけだ」
ガシリと肩を揺すられ、少しだけ我を取り戻す。私が病に犯されていたら……、ユージーンや母の命を削ってほしくはない。
お母様と同じ判断をするだろう。
「ごめんなさい……」
「でも、クローディアの施した刺繍が、最期の時までレイラ様を癒やしていたとニナさんが言っていたって。レイラ様自身の力が尽き、誰しもが苦しまれる最期を覚悟したそうだ。だが、レイラ様はクローディアの魔力に包まれ、穏やかに最期を迎えたそうだ」
そんなことが起きるなんて……。刺繍をした時に何気なく唱えた魔法が、お母様に届いていた……。
「本当のことを言えなくてごめん。レイラ様の命をかけての願いだったんだ……。ウィンドラ公国へお帰りになる間際、この手紙を預かっていた」
ユージーンが大事そうに懐から手紙を出した。これが母の字なんだ。繊細だけれど、美しくしっかりとした筆跡。まるで母の人間性そのものだった……。
“クローディア。母親らしいこと、できなくてごめんなさい。貴女と過ごした時間は、久しぶりに感じた至福の時でした”
私にとってもお母様と過ごした時間は、一生ものです。
“最後に貴女に知識を託せて良かった。大きくなったユージーン君に会えて安心した。彼ならクローディアを任せられると思ったの。貴女のウエディングドレス姿を見られてよかった”
立場あるお母様が無理を押して参列してくれて、母から愛されていると実感しました。
“悲しまないでね。私はやっとクライヴの元に行けるのだから。最期にお願いがあるの。私の骨はクライヴと一緒にしてほしい。貴女の近くにいたいの。二人でずっと貴女を見守っているわ”
本当は見守られるより、これからも一緒にいたかったよ?
“生まれてきてくれてありがとう。クライヴに愛され、貴女の母になれて、私は幸せでした。愛しているわ。 レイラ・ハイド”
私も、お父様とお母様の娘に生まれ幸せです。愛しています。
母からの手紙を畳む。小刻みに揺れている手を止め、涙を拭こう。
「伝えてくれてありがとう。母から繋いでもらった命を、これからはハイドとロシスターの民のために使って生きていくわ。貴方の傍で……。家族になってくれてありがとう……」
ユージーンも私がどう感じるか悩んで、言葉の一つ一つを丁寧に紡いでくれたんだ。伝える方も辛かったよね。
お義父様も、母からの手紙を受け取って、大急ぎで式の手配をしてくれたんだ。
参列してくれたみなさんも、急な招待に大変だっただろう。忙しい中都合をつけて駆けつけてくれたんだ。
ユージーンは何も言わず、私の頭を抱き寄せゆっくり背中をさすってくれた。
いつまでもいつまでも、彼は私の気が済むまでただなにも言わず付き添ってくれていた……。
これからは、お父様とお母様の愛したハイド家を、私とユージーンが守ってゆきます。
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