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79話 還る魂《もの》
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勝負あった。
決着はおぞましい形で終幕の鐘を鳴らし、結果そこには鬼の亡骸だけが、こと切れた人形のように、横たわる。
その鬼の体に頭はなく、腕も欠損していた。
絡みついた強靭な糸が、鬼にとって致命的なものとなったのだろう。
その姿を僕は遠目で眺めていた。
まるでそこに横たわる命だったものを、弔うみたいに手を合わせていた。
「どうか、安らかに」
僕は目を閉じて、言葉を紡ぐ。
鬼だった何かは、赤い液体を体内から放出し、今も土の色を赤く染め上げる。僕はそれを睨む。それから、やるせない気持ちになった。
「終わった。終わったけど……」
確かに終わった。だけど何故か心がスッキリしない。
本当でこれで満足なのか。
僕がでも、今生きる人たちでもない。これまでに死んでいった、無垢なる魂たち。僕の思考はシフトしていた。
「僕には人の魂の声は聞こえない。だからなんとも言えないけど、これで満足なのかな?」
「そうですね」
たちまち聞こえてきたのは、静かな声。
振り返ればそこにいたのは、リーファさん。手には弓を構えていた。今作ったばかりの矢が矢筒の中に収まっている。竹を切って作って、即興品だ。しかし、突然なんだろう。
「リーファさん、無事ったんですね。よかったです」
「はい。それより、鬼は倒したんですか?」
「うん。この通りね」
僕は半身で隠した。
しかし残り半分を見て、リーファさんは口を抑えるものの、その目は真剣で、揺らめかない。それどころか、真意になっていた。
そんな中、薄らと目から涙がこぼれ落ちる。でもその涙は、リーファさんのものじゃない。まるで、誰かもっと別のものみたいに見えたのは、僕だけだろうか? いいや、本人が首を横に振る。これは、自分のものじゃない。
「リーファさん」
「よかったです。これで、報われる魂たちがいて」
リーファさんは何かを悟った。
それから目を閉じて、ゆっくりと呼吸を整えると、独り言を吐く。
「よかった。皆さん還っていく。空に、もっと上に向かって、旅立っていきます」
「わかるんですね、リーファさんには」
「はい。天月さんのことも、言っていますよ」
リーファさんはそう言ってくれた。
すると僕に対して話をしてくれた。一体どれだけの無垢な魂たちが、ここで消えてきたのか。どれだけ失ってきたのか。その望みが、全て渇望となって、贖った。
「魂たちは何で言ってるの?」
「ありがとう。だそうです」
「ありがとう……か。あはは、笑えないよ」
僕は顔を歪めた。
リーファさんの言葉はちゃんとしていた。僕のことを魂から聞いて、それで教えてくれたんだ。何とも悲劇的。残酷な末路。だけど僕は、これ以上話を広げないことにした。そっと胸の奥底に仕舞い込む。
「リーファさん」
「なんですか?」
だから僕はキメ顔で言った。
落ちたナイフの血を払い、ベルトのホルダーに収納する。
「帰ろっか。僕たちの町に」
「はい」
頷く少女の顔。
にこやかで、そしておっとりしていたその表情は、心を洗う魔法みたいだった。
決着はおぞましい形で終幕の鐘を鳴らし、結果そこには鬼の亡骸だけが、こと切れた人形のように、横たわる。
その鬼の体に頭はなく、腕も欠損していた。
絡みついた強靭な糸が、鬼にとって致命的なものとなったのだろう。
その姿を僕は遠目で眺めていた。
まるでそこに横たわる命だったものを、弔うみたいに手を合わせていた。
「どうか、安らかに」
僕は目を閉じて、言葉を紡ぐ。
鬼だった何かは、赤い液体を体内から放出し、今も土の色を赤く染め上げる。僕はそれを睨む。それから、やるせない気持ちになった。
「終わった。終わったけど……」
確かに終わった。だけど何故か心がスッキリしない。
本当でこれで満足なのか。
僕がでも、今生きる人たちでもない。これまでに死んでいった、無垢なる魂たち。僕の思考はシフトしていた。
「僕には人の魂の声は聞こえない。だからなんとも言えないけど、これで満足なのかな?」
「そうですね」
たちまち聞こえてきたのは、静かな声。
振り返ればそこにいたのは、リーファさん。手には弓を構えていた。今作ったばかりの矢が矢筒の中に収まっている。竹を切って作って、即興品だ。しかし、突然なんだろう。
「リーファさん、無事ったんですね。よかったです」
「はい。それより、鬼は倒したんですか?」
「うん。この通りね」
僕は半身で隠した。
しかし残り半分を見て、リーファさんは口を抑えるものの、その目は真剣で、揺らめかない。それどころか、真意になっていた。
そんな中、薄らと目から涙がこぼれ落ちる。でもその涙は、リーファさんのものじゃない。まるで、誰かもっと別のものみたいに見えたのは、僕だけだろうか? いいや、本人が首を横に振る。これは、自分のものじゃない。
「リーファさん」
「よかったです。これで、報われる魂たちがいて」
リーファさんは何かを悟った。
それから目を閉じて、ゆっくりと呼吸を整えると、独り言を吐く。
「よかった。皆さん還っていく。空に、もっと上に向かって、旅立っていきます」
「わかるんですね、リーファさんには」
「はい。天月さんのことも、言っていますよ」
リーファさんはそう言ってくれた。
すると僕に対して話をしてくれた。一体どれだけの無垢な魂たちが、ここで消えてきたのか。どれだけ失ってきたのか。その望みが、全て渇望となって、贖った。
「魂たちは何で言ってるの?」
「ありがとう。だそうです」
「ありがとう……か。あはは、笑えないよ」
僕は顔を歪めた。
リーファさんの言葉はちゃんとしていた。僕のことを魂から聞いて、それで教えてくれたんだ。何とも悲劇的。残酷な末路。だけど僕は、これ以上話を広げないことにした。そっと胸の奥底に仕舞い込む。
「リーファさん」
「なんですか?」
だから僕はキメ顔で言った。
落ちたナイフの血を払い、ベルトのホルダーに収納する。
「帰ろっか。僕たちの町に」
「はい」
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にこやかで、そしておっとりしていたその表情は、心を洗う魔法みたいだった。
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