20 / 157
第一部
20 子供たち
しおりを挟む
夕食の支度をするまで少しあるから、とロゼッタは二人に集落の子供たちと遊んでおいでと言って自身だけ家に入っていった。
子供たちとの仲を取り持ってくれることまでロゼッタに甘えるのはさすがに気が引けた二人は、突っ立ったまま遊んでいる子供たちを見ていた。
子供たちはボールの蹴り合いをしていた。男の子も女の子も年齢も関係なく仲良く遊んでいる。小さい子供が転べば大きな子が手を貸して立たせてやり、大きな子は得意そうにボールを蹴りながら一人二人と抜いていく。
何の遊びかは知らなかったが、たまに屋敷から連れ出されて町を行くときに、ディーノはボールの蹴り合いをしている男の子たちを見かけたことがあった。たった一つのボールを巡って必死に攻めようとする者と奪い取ろうとする者がいて、みんな楽しそうに走りまわっている姿はまぶしくて、ディーノには強く印象に残っていた。
ひとしきり遊んだ子供たちは、二人の近くにあった井戸に息を切らせながら集まった。汲み上げた水を順番に回し飲んでいく。我先にという者はおらず、小さな子を優先させてから、大きな子が順に飲んでいく姿は、助け合いの精神が根付いている集落だからこその光景だった。
血の繋がりなど関係なく、集落全体が家族で、大きな子が小さな子の面倒を見ることが、義務ではなく自然なことと捉えている暮らしが、二人には手に取るようにわかった。
過去のイレーネのことはわからなかったが、ディーノにはなかった生活だった。
食事は必ず最後であったし、喉が乾いても好きなときに水を飲める生活ではなかった。
感情のままに暴行を受けても文句など言えない。
どんなに泥や血にまみれていても、身体を拭くことさえろくにさせてもらえない。目を盗んでこそこそ身体を拭けば、勝手に水を使ったことでまた怒られる。
誰かに遊んでもらった記憶など全くない。売られる前、子供同士で食べ物などを巡って喧嘩をすることはあっても、馴れ合うことはなかった。
どうやってこの輪に入ればいいのだろう。自分が入っていいのだろうか。方法がわからないディーノは子供たちを見ていることしかできなかった。
子供たちとの仲を取り持ってくれることまでロゼッタに甘えるのはさすがに気が引けた二人は、突っ立ったまま遊んでいる子供たちを見ていた。
子供たちはボールの蹴り合いをしていた。男の子も女の子も年齢も関係なく仲良く遊んでいる。小さい子供が転べば大きな子が手を貸して立たせてやり、大きな子は得意そうにボールを蹴りながら一人二人と抜いていく。
何の遊びかは知らなかったが、たまに屋敷から連れ出されて町を行くときに、ディーノはボールの蹴り合いをしている男の子たちを見かけたことがあった。たった一つのボールを巡って必死に攻めようとする者と奪い取ろうとする者がいて、みんな楽しそうに走りまわっている姿はまぶしくて、ディーノには強く印象に残っていた。
ひとしきり遊んだ子供たちは、二人の近くにあった井戸に息を切らせながら集まった。汲み上げた水を順番に回し飲んでいく。我先にという者はおらず、小さな子を優先させてから、大きな子が順に飲んでいく姿は、助け合いの精神が根付いている集落だからこその光景だった。
血の繋がりなど関係なく、集落全体が家族で、大きな子が小さな子の面倒を見ることが、義務ではなく自然なことと捉えている暮らしが、二人には手に取るようにわかった。
過去のイレーネのことはわからなかったが、ディーノにはなかった生活だった。
食事は必ず最後であったし、喉が乾いても好きなときに水を飲める生活ではなかった。
感情のままに暴行を受けても文句など言えない。
どんなに泥や血にまみれていても、身体を拭くことさえろくにさせてもらえない。目を盗んでこそこそ身体を拭けば、勝手に水を使ったことでまた怒られる。
誰かに遊んでもらった記憶など全くない。売られる前、子供同士で食べ物などを巡って喧嘩をすることはあっても、馴れ合うことはなかった。
どうやってこの輪に入ればいいのだろう。自分が入っていいのだろうか。方法がわからないディーノは子供たちを見ていることしかできなかった。
14
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
主人公は高みの見物していたい
ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。
※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます
※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる