【完結】とあるリュート弾きの少年の物語

衿乃 光希

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第一部

46 決意

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 ロドヴィーゴの演奏は、連夜続いた。寝る前に練習しているのか、弾く曲は毎回違い、ディーノは新たな曲に胸を躍らせ、必死になって憶えた。

 毎朝早く起きて聴いたばかりの曲を何度も練習し、それから他の曲を復習するという毎日が続いた。

 様々な曲を弾きこなすロドヴィーゴの弟子になりたい気持ちはどんどん募り、比例するようにイレーネの顔を正視できなくなっていく。

 置いていくことになるかもしれない罪悪感と、傍にいられなくなる寂しさを考えるだけで、胸がちくりちくりと痛みだす。

 願いが叶うかどうかもわからないのに切なくなってしまうなんて、もし願いが叶ったとき、自身がどうなるのか、何を思うのか、想像がつかなかった。

 そんなディーノの思いに気づいていないイレーネは、愛らしい笑顔を向けてくる。食事のとき、畑仕事をしているとき、ロマーリオと話しているとき。ちょっとした瞬間に目が合い、はにかんだり満面の笑顔だったり。なんの疑いもない、屈託がない表情に、ディーノの心は複雑だった。

 それでも決意は変わらなかった。

 ロドヴィーゴについて行く。行きたいではなく、行く。

 一曲聴くごとに、決意は固まっていった。
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