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第二部 帰郷
23話 ただいま
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「帰って来たのね」
「お店を見ると実感するね」
夕方、アノルド国に着いた汽車を降りて、私たちは真っ直ぐにお店に来た。家ではなく。
ビジネス街から少し外れたところにある、二階建ての小さなビルが軒を連ねる一角に、私たちのお店がある。自宅より先に立ち寄ったのは、駅に近いからというのもあるけれど、やっぱり気になっていたからだった。
一か月も離れている間、従業員に合いカギを渡し、持ち回りで管理を頼んでいた。彼らを信頼してはいるけれど、お店がどういう状態にあるのか再開前に確認をしておきたかった。
貼り付けていた休業を書きつけた用紙を剥がし、扉のハンドルに手をかけると、鍵は開いていた。従業員の誰かが来ているようだ。
扉を押し開けて入ると、カランと鳴った合図で、キッチンから青年が二人出てきた。
「あ、シェフ、アランさん、お帰りなさいませ」
「お帰りなさいませ。ちょうどキッチンの掃除が終わったところです」
二人がにこやかに出迎えてくれる。
「ただいま。お掃除をしてくれていたのね。ありがとう」
見慣れた顔を見ると、安心して嬉しくなる。
「昨日手紙が届きましたので、シェフならすぐにでもお店を再開なさると思ったのです」
「今からでも開けられますよ」
自信満々の二人の笑顔につられ、私たちも自然と笑顔になる。
「張り紙を見たお客様が、肩を落としてお帰りになります」
「僕はいつから再開するのか聞かれました」
私たちの荷物を奪うかのように受け取って運び入れてくれた。嬉しい報告付きで。
「何かお飲みになりますか」
「そうね。じゃあソフトドリンクをお願いするわ」
「かしこまりました」
持って来てもらったオレンジジュースを飲んでいると、カランと鈴が鳴った。顔を向けると、
「お帰りなさいませ」
「汽車が着く時間に合わせて来ました」
次々と従業員たちがやってきて、結局6人全員が顔を揃えた。
扉の鍵を閉め、このままお土産配りと、報告をすることにした。
テーブルを二つ繋げて、お菓子と飲み物を用意する。リュカはアランの膝の上で、動物をかたどったクッキーを並べて喜んでいた。
体調不良だったブランヴィル家の当主は亡くなり、毒による暗殺だったことが判明した。複数の貴族を殺害していた犯人は、一部が逮捕、一部はいまだ逃げている。
ルクディアに戻っていた二人が、新聞で読み、事件を知っていた。
過去に事件に関わっていたブランヴィルの長男が逮捕され、ブランヴィル家は取り潰しとなったことはまだ知られていなかった。
ブランヴィル以外にも、暗殺を依頼していた貴族がいて、すべて取り潰しとなることが決まっている。アドリック殿下はすべての処分が決定してから、国民に知らせると言っていた。
新聞にすべてが載るまでは極秘にしておくようにお願いし、その関連でボーヴォワールが私の領地となったことも報告した。
「ボーヴォワール家復興ですか! オーナーおめでとうございます」
拍手が起きた。
従業員のうち四人がボーヴォワール出身だから、詳しい事情は知らなくても、ボーヴォワールが没落し、私が最後の当主の一人娘だということを知っていた。
「ありがとう。でもほとんど変わらないから。今までの領主に代理を依頼して、私がルクディアに戻ることはないの。たまに帰る必要は出てくるだろうけど、ここのオーナーシェフであることは変わらないから」
「シェフの料理に惚れてるお客様が喜びますよ」
喜んではいた従業員たちは、一様に安堵の顔を見せた。
「でも、シェフについては、もう一人、雇おうと思っているの。ブランヴィル家の料理人で、私がお世話になっていた人。キッチンメイドにも来てもらうわ」
新しい人が来ることに、全員がわかりましたと頷いてくれた。
二人がアノルド国に来るのはもうしばらく先になることも伝え、お店は明後日から再開することとした。
お店の再開を知らせる新しい紙に張って店を閉め、話の途中で眠ってしまったリュカを起こして、自宅に戻る。
荷解きをしてくれるというのでアランに任せて、私は買い物に出た。
ボーヴォワールの屋敷で一度だけ料理をしたけれど、あの一度だけだから、疲れてはいるけれど料理をしたかった。
市場で食材を買い込み家に戻ると、荷解きを終えたアランが、窓を開けて部屋の掃除をしていた。一か月も空けていると、埃が溜まっていたらしい。
ひよこ豆のトマトスープ、キッシュ、サラダを作り、テーブルに並べる。
「シェリーヌの料理が一番です」
「ママのごはん、おいしいね」
「ほんと? ママ嬉しいな」
料理をして身近にいる二人がいつも喜んで美味しそうに食べてくれるのが、私にとって一番の活力になる。気力が湧き、情熱が溢れ、奮起に繋がる。
最高の家族に恵まれたことに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
食器洗いをアランが引き受けてくれた間に、リュカと一緒に湯屋にいく準備を整えた。
真ん中にリュカを挟んで近くの湯屋まで歩く、久しぶりの日常がすごく楽しい。
「ママ。またマーティナちゃんに会える?」
「マーティナ様に? そうね。また会えるかもしれないわね。そんなに楽しかったの?」
「うん。また行きたい」
私はアランと目を合わせた。リュカにはまだ早いと思って、将来リュカがボーヴォワールを引き継ぐのだと、まだ話していない。
ただ引き継ぐのではなく、領主教育や貴族教育もいずれ必要になるだろう。私は学校で貴族教育は受けたけれど、領主教育は受けていない。ルクディアから家庭教師を迎えようと考えている。もちろんアノルド国の学校にも通わせたいから、リュカは少し大変になるかもしれない。
アノルド国に合わせてのびのび育てているので、急に方針転換をしてはかわいそうだし。
親としていろいろ悩んでいる。
「ボクね、マーティナちゃんと、やくそくしたんだ」
「約束? 何を約束したの? お子様プレートのこと?」
「ううん。それはね、ママはもう作れないんだって、ごめんね。っていったよ」
「そう? えらかったね。他にも約束したの?」
「大きくなったら、マーティナちゃんにけっこんしようねって、いったの」
「まあ……結婚……」
それは、言葉を失ってしまう。
貴族との結婚かあ。ボーヴォワールがお兄様の領地のままであったら、絶対に無理だけれど。
私の領地となっているから、あながち無理とも言えなくて。
アランを見ると、驚いた様子がなかった。
「アラン、知っていたの?」
「シェリーヌが王城に行っている間に聞いたんだよ。わたしも何と答えようかと困ったよ。あれから状況が変わったし」
「そうなのよね。ねえ、リュカ、マーティナ様は何て言ってくれたの?」
「お父様みたいな人がいいのって」
クリストフお兄様みたいな人ね。あの年の子供は、だいだい父親と結婚するって、可愛いことを言うのよね。
「マーティナちゃんね、お父様はお母様が大好きで、お母様もお父様が大好きだから、そういう人がいいのって」
思わず笑ってしまった。子供は本当によく見ている。
「だからね、ボクのパパもママが大好きで、ママもパパが大好きだから、ボクもマーティナちゃんをずっと大好きでいるよっていったんだ」
一途宣言をする3歳。可愛い、と親バカを発動しそうになるけれど、親を見ての宣言だから、わりと恥ずかしい。
「そうね。それじゃあ、リュカはたくさん勉強して、ダンスも練習しないとね」
「そうなの?」
「マーティナ様もこれからたくさんお勉強をするから、リュカもがんばれる?」
「わかった。がんばる」
リュカのがんばるを取り付けた。迷ってはいたけれど、少しずつ始めていこうという気になった。
湯屋で湯浴びをして汚れを落として出てくると、また三人で並んで帰る。たまに歌を歌いながら。
部屋に戻り、アランがリュカの寝かしつけをしてくれている間に、チーズを切ってワインを用意して、ソファで待っていた。少し話をしようと言っていたのに、アランが戻ってこない。
寝室に向かうと、よく眠っているリュカの隣で、アランも寝息を立てていた。
疲れていたのね。
無理もない。自分たちがかつて暮らしていた国とはいえ、アノルド国とずいぶん違うから、気を張っていただろうし、私が不在になる時間が多かったから、リュカのお世話をたくさんしてもらっていた。
明後日からお店を開けるけど、明日は仕込みをしたいから、またアランに頼ってしまうことになる。
今夜はこのまま寝かせてあげましょう。
私は無防備な寝顔にそっと口づけを落とした。
〈 Fin 〉
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
第2部 終了です。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
第1部ではざまあが甘いというご意見をいただいて、この一年ずっと引っ掛かっており、第2部を書こうと決め、ブランヴィル家へのざまあで物語を作っていきました。
思っていた以上にたくさんの方が続きを読んでくださって、投票もしていただけて、とてもとても感謝しております。
ありがたいことに、最終日を57位で迎えられました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。<(_ _)>ペコリ
「お店を見ると実感するね」
夕方、アノルド国に着いた汽車を降りて、私たちは真っ直ぐにお店に来た。家ではなく。
ビジネス街から少し外れたところにある、二階建ての小さなビルが軒を連ねる一角に、私たちのお店がある。自宅より先に立ち寄ったのは、駅に近いからというのもあるけれど、やっぱり気になっていたからだった。
一か月も離れている間、従業員に合いカギを渡し、持ち回りで管理を頼んでいた。彼らを信頼してはいるけれど、お店がどういう状態にあるのか再開前に確認をしておきたかった。
貼り付けていた休業を書きつけた用紙を剥がし、扉のハンドルに手をかけると、鍵は開いていた。従業員の誰かが来ているようだ。
扉を押し開けて入ると、カランと鳴った合図で、キッチンから青年が二人出てきた。
「あ、シェフ、アランさん、お帰りなさいませ」
「お帰りなさいませ。ちょうどキッチンの掃除が終わったところです」
二人がにこやかに出迎えてくれる。
「ただいま。お掃除をしてくれていたのね。ありがとう」
見慣れた顔を見ると、安心して嬉しくなる。
「昨日手紙が届きましたので、シェフならすぐにでもお店を再開なさると思ったのです」
「今からでも開けられますよ」
自信満々の二人の笑顔につられ、私たちも自然と笑顔になる。
「張り紙を見たお客様が、肩を落としてお帰りになります」
「僕はいつから再開するのか聞かれました」
私たちの荷物を奪うかのように受け取って運び入れてくれた。嬉しい報告付きで。
「何かお飲みになりますか」
「そうね。じゃあソフトドリンクをお願いするわ」
「かしこまりました」
持って来てもらったオレンジジュースを飲んでいると、カランと鈴が鳴った。顔を向けると、
「お帰りなさいませ」
「汽車が着く時間に合わせて来ました」
次々と従業員たちがやってきて、結局6人全員が顔を揃えた。
扉の鍵を閉め、このままお土産配りと、報告をすることにした。
テーブルを二つ繋げて、お菓子と飲み物を用意する。リュカはアランの膝の上で、動物をかたどったクッキーを並べて喜んでいた。
体調不良だったブランヴィル家の当主は亡くなり、毒による暗殺だったことが判明した。複数の貴族を殺害していた犯人は、一部が逮捕、一部はいまだ逃げている。
ルクディアに戻っていた二人が、新聞で読み、事件を知っていた。
過去に事件に関わっていたブランヴィルの長男が逮捕され、ブランヴィル家は取り潰しとなったことはまだ知られていなかった。
ブランヴィル以外にも、暗殺を依頼していた貴族がいて、すべて取り潰しとなることが決まっている。アドリック殿下はすべての処分が決定してから、国民に知らせると言っていた。
新聞にすべてが載るまでは極秘にしておくようにお願いし、その関連でボーヴォワールが私の領地となったことも報告した。
「ボーヴォワール家復興ですか! オーナーおめでとうございます」
拍手が起きた。
従業員のうち四人がボーヴォワール出身だから、詳しい事情は知らなくても、ボーヴォワールが没落し、私が最後の当主の一人娘だということを知っていた。
「ありがとう。でもほとんど変わらないから。今までの領主に代理を依頼して、私がルクディアに戻ることはないの。たまに帰る必要は出てくるだろうけど、ここのオーナーシェフであることは変わらないから」
「シェフの料理に惚れてるお客様が喜びますよ」
喜んではいた従業員たちは、一様に安堵の顔を見せた。
「でも、シェフについては、もう一人、雇おうと思っているの。ブランヴィル家の料理人で、私がお世話になっていた人。キッチンメイドにも来てもらうわ」
新しい人が来ることに、全員がわかりましたと頷いてくれた。
二人がアノルド国に来るのはもうしばらく先になることも伝え、お店は明後日から再開することとした。
お店の再開を知らせる新しい紙に張って店を閉め、話の途中で眠ってしまったリュカを起こして、自宅に戻る。
荷解きをしてくれるというのでアランに任せて、私は買い物に出た。
ボーヴォワールの屋敷で一度だけ料理をしたけれど、あの一度だけだから、疲れてはいるけれど料理をしたかった。
市場で食材を買い込み家に戻ると、荷解きを終えたアランが、窓を開けて部屋の掃除をしていた。一か月も空けていると、埃が溜まっていたらしい。
ひよこ豆のトマトスープ、キッシュ、サラダを作り、テーブルに並べる。
「シェリーヌの料理が一番です」
「ママのごはん、おいしいね」
「ほんと? ママ嬉しいな」
料理をして身近にいる二人がいつも喜んで美味しそうに食べてくれるのが、私にとって一番の活力になる。気力が湧き、情熱が溢れ、奮起に繋がる。
最高の家族に恵まれたことに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
食器洗いをアランが引き受けてくれた間に、リュカと一緒に湯屋にいく準備を整えた。
真ん中にリュカを挟んで近くの湯屋まで歩く、久しぶりの日常がすごく楽しい。
「ママ。またマーティナちゃんに会える?」
「マーティナ様に? そうね。また会えるかもしれないわね。そんなに楽しかったの?」
「うん。また行きたい」
私はアランと目を合わせた。リュカにはまだ早いと思って、将来リュカがボーヴォワールを引き継ぐのだと、まだ話していない。
ただ引き継ぐのではなく、領主教育や貴族教育もいずれ必要になるだろう。私は学校で貴族教育は受けたけれど、領主教育は受けていない。ルクディアから家庭教師を迎えようと考えている。もちろんアノルド国の学校にも通わせたいから、リュカは少し大変になるかもしれない。
アノルド国に合わせてのびのび育てているので、急に方針転換をしてはかわいそうだし。
親としていろいろ悩んでいる。
「ボクね、マーティナちゃんと、やくそくしたんだ」
「約束? 何を約束したの? お子様プレートのこと?」
「ううん。それはね、ママはもう作れないんだって、ごめんね。っていったよ」
「そう? えらかったね。他にも約束したの?」
「大きくなったら、マーティナちゃんにけっこんしようねって、いったの」
「まあ……結婚……」
それは、言葉を失ってしまう。
貴族との結婚かあ。ボーヴォワールがお兄様の領地のままであったら、絶対に無理だけれど。
私の領地となっているから、あながち無理とも言えなくて。
アランを見ると、驚いた様子がなかった。
「アラン、知っていたの?」
「シェリーヌが王城に行っている間に聞いたんだよ。わたしも何と答えようかと困ったよ。あれから状況が変わったし」
「そうなのよね。ねえ、リュカ、マーティナ様は何て言ってくれたの?」
「お父様みたいな人がいいのって」
クリストフお兄様みたいな人ね。あの年の子供は、だいだい父親と結婚するって、可愛いことを言うのよね。
「マーティナちゃんね、お父様はお母様が大好きで、お母様もお父様が大好きだから、そういう人がいいのって」
思わず笑ってしまった。子供は本当によく見ている。
「だからね、ボクのパパもママが大好きで、ママもパパが大好きだから、ボクもマーティナちゃんをずっと大好きでいるよっていったんだ」
一途宣言をする3歳。可愛い、と親バカを発動しそうになるけれど、親を見ての宣言だから、わりと恥ずかしい。
「そうね。それじゃあ、リュカはたくさん勉強して、ダンスも練習しないとね」
「そうなの?」
「マーティナ様もこれからたくさんお勉強をするから、リュカもがんばれる?」
「わかった。がんばる」
リュカのがんばるを取り付けた。迷ってはいたけれど、少しずつ始めていこうという気になった。
湯屋で湯浴びをして汚れを落として出てくると、また三人で並んで帰る。たまに歌を歌いながら。
部屋に戻り、アランがリュカの寝かしつけをしてくれている間に、チーズを切ってワインを用意して、ソファで待っていた。少し話をしようと言っていたのに、アランが戻ってこない。
寝室に向かうと、よく眠っているリュカの隣で、アランも寝息を立てていた。
疲れていたのね。
無理もない。自分たちがかつて暮らしていた国とはいえ、アノルド国とずいぶん違うから、気を張っていただろうし、私が不在になる時間が多かったから、リュカのお世話をたくさんしてもらっていた。
明後日からお店を開けるけど、明日は仕込みをしたいから、またアランに頼ってしまうことになる。
今夜はこのまま寝かせてあげましょう。
私は無防備な寝顔にそっと口づけを落とした。
〈 Fin 〉
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
第2部 終了です。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
第1部ではざまあが甘いというご意見をいただいて、この一年ずっと引っ掛かっており、第2部を書こうと決め、ブランヴィル家へのざまあで物語を作っていきました。
思っていた以上にたくさんの方が続きを読んでくださって、投票もしていただけて、とてもとても感謝しております。
ありがたいことに、最終日を57位で迎えられました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。<(_ _)>ペコリ
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