目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?

綾波絢斗

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5 忘れたい

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カフェテリアでランチをしていると、陸が花井さんとやってきた。
二人が仲良く話している。

「湊!」
僕に気づいて、大きく手を振る陸。
僕も笑顔で手を振った。

「湊~。今回の課題さ、花井さんも一緒でもいいよね?」

「え?」

「なんか色々話してたら、一緒にやろうって話になって」

「そうなんだ。でも、ごめん。今回は海斗とやるって約束してたんだ」

「え?」

「いいだろ?花井さんと二人きりなんだから!」
僕は、笑顔でウィンクを返す。
『二人の時間を演出してやったんだぞ』――そんな意味を込めて。

「……わかった」

「だから、しばらく海斗の家に泊まったりするかもしれなくて。陸、申し訳ないけど、家に泊まるのもしばらくなしで!あっ、約束してるから!じゃ、またね!」

そう言って、足早にその場を後にした。

自然に振る舞えていただろうか。
断り方にぎこちなさはなかっただろうか。
自分の演技に自信はない。
だけど、一ヶ月以上も陸と花井さんが仲良くしている姿を見続けるなんて、想像もしたくない。

でも、これも、必要な距離なのかもしれない。
陸と離れれば、陸への気持ちも少し落ち着くかもしれない。

海斗は幼稚舎から一緒の同級生で、明るく周りをよく見ている。
そして、僕が陸のことを好きだと知っている、唯一の人物だ。
知っているというより、バレたと言った方が正しいかもしれない。

スマホを取り出して、今回の課題のグループに入れてほしいとメッセージを送る。

「了解」

短い返事。
でも、海斗のことだから、いろんなことを察してくれている。
理由を聞かないその優しさが、僕には嬉しかった。

その日を境に、僕は陸から距離を取ることにした。
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