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第一章「愛されぽっちゃり双子と悪役令嬢の姉」
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「ルシフォード、見て!このお花グラデーションになってる!綺麗ねぇ」
「最近あったかくなったから、太陽からいっぱい力をもらったのかもしれないね」
愛情をたっぷり受けて育った男女の双子、ケイティベルとルシフォード。真っ白ですべすべの肌は日焼け知らずで、傷ひとつない。輝く金髪はさらさらとして指通りが良く、爽やかな青空をそっくり写したような瞳はいつも周囲から褒められた。
美味しい食事と甘いお菓子を好き放題に与えられる環境のせいで二人はふくよかな体型をしていたが、裕福な貴族の子どもであればさほど珍しくもない。
むしろ、焼きたての白パンを彷彿させるふっくらとした頬は愛らしく、思わず手を伸ばして触りたくなる。多少の我儘はご愛嬌で、子どもらしいあざとさと素直な性格の可愛らしい子だった。
二人はいつも一緒で、きゃっきゃと仲良く遊んでいた。たまに喧嘩もするけれど、基本的には大らかで些細なことを気にしない。そんな二人は王宮に招かれた際も大人気で、ダンスの真似事でもしてみせればたちまちプレゼントで両手がいっぱいになった。
「ねぇ、ルーシー。もうすぐ、私達の十歳の誕生日でしょう?今年は、去年よりもっと豪華なパーティーを開くって、お母様がおっしゃっていたわ」
二人は公爵邸の中庭にて、太陽の日差しをいっぱいに浴びながら花を摘んで遊んでいる。ルシフォードは一番元気のない花を摘み取ると、ふくふくとした指で大好きな双子の姉の小さな耳元にそっと挿してやった。それはすぐに、しなしなと頭を垂れる。
「ベルは、何色のドレスを着たいの?」
子どもらしい高めの声と、ゆったりとした口調。男児としては少々気骨さが足りないような印象もあるが、優しいルシフォードは皆から好かれていた。
互いをルーシー、ベルと愛称で呼び合い、寝る時も体を寄せてくっつきながら眠る。ふくよかな体と高めの体温のせいで、特に夏場は起きるといつもびっしょり汗をかいていた。
「いつもみたいに可愛い色も好きだけど、たまには黒やグレーも着てみたいわ」
「そういう色は、ベルよりリリアンナお姉様の方が似合いそうだよ」
ルシフォードの言葉を受けて、ケイティベルは頭の上にふわふわと姉の姿を思い浮かべる。家族の中で唯一アッシュブラウンの髪色で、濃いロイヤルブルーの瞳はキツい印象を与えている。濃い睫毛と吊り気味の目元も、気性の激しさを表していると周囲から囁かれていた。
「お姉様って、どうしてあんなに厳しくて怖いのかしら」
「さぁ、僕達のことが嫌いなのかも」
「遊んでってお願いしても、いつも断られてしまうしね」
子どもの言葉に、悪意などない。思ったままを口にしているだけで、嘘もなければ方便も使えなかった。
「綺麗で賢くて、自慢のお姉様なのに。笑ったお顔を見たことがないわ」
「僕は、怖いから苦手。ベルと一緒じゃなきゃ、お喋りも出来ないよ」
周囲の大人達は二人に甘い為、威圧的な態度を取る人間に慣れていない。リリアンナからしてみれば厳しさも溢れる愛情ゆえなのだが、八つも下の弟妹には通じないし、それを諭す者もいない。
リリアンナについての話もいつの間にか終わり、ころころと話題は移り変わる。ケイティベルはシロツメクサでせっせと花冠を作っている。それはふにゃふにゃと頼りなく曲がり、今にもばらばらに解けてしまいそうな出来だった。
ルシフォードは、ひっくり返った虫を助けようと奮闘している。指で触る勇気はないので、拾った木の棒でつんつんと突いた。
「二人とも、お母様がお呼びよ」
その時、よく通るハスキーボイスが二人の背後で響く。同時に振り向くと、光沢のあるブラックドレスを身に纏ったリリアンナが、小さな弟妹を見下ろしていた。
「最近あったかくなったから、太陽からいっぱい力をもらったのかもしれないね」
愛情をたっぷり受けて育った男女の双子、ケイティベルとルシフォード。真っ白ですべすべの肌は日焼け知らずで、傷ひとつない。輝く金髪はさらさらとして指通りが良く、爽やかな青空をそっくり写したような瞳はいつも周囲から褒められた。
美味しい食事と甘いお菓子を好き放題に与えられる環境のせいで二人はふくよかな体型をしていたが、裕福な貴族の子どもであればさほど珍しくもない。
むしろ、焼きたての白パンを彷彿させるふっくらとした頬は愛らしく、思わず手を伸ばして触りたくなる。多少の我儘はご愛嬌で、子どもらしいあざとさと素直な性格の可愛らしい子だった。
二人はいつも一緒で、きゃっきゃと仲良く遊んでいた。たまに喧嘩もするけれど、基本的には大らかで些細なことを気にしない。そんな二人は王宮に招かれた際も大人気で、ダンスの真似事でもしてみせればたちまちプレゼントで両手がいっぱいになった。
「ねぇ、ルーシー。もうすぐ、私達の十歳の誕生日でしょう?今年は、去年よりもっと豪華なパーティーを開くって、お母様がおっしゃっていたわ」
二人は公爵邸の中庭にて、太陽の日差しをいっぱいに浴びながら花を摘んで遊んでいる。ルシフォードは一番元気のない花を摘み取ると、ふくふくとした指で大好きな双子の姉の小さな耳元にそっと挿してやった。それはすぐに、しなしなと頭を垂れる。
「ベルは、何色のドレスを着たいの?」
子どもらしい高めの声と、ゆったりとした口調。男児としては少々気骨さが足りないような印象もあるが、優しいルシフォードは皆から好かれていた。
互いをルーシー、ベルと愛称で呼び合い、寝る時も体を寄せてくっつきながら眠る。ふくよかな体と高めの体温のせいで、特に夏場は起きるといつもびっしょり汗をかいていた。
「いつもみたいに可愛い色も好きだけど、たまには黒やグレーも着てみたいわ」
「そういう色は、ベルよりリリアンナお姉様の方が似合いそうだよ」
ルシフォードの言葉を受けて、ケイティベルは頭の上にふわふわと姉の姿を思い浮かべる。家族の中で唯一アッシュブラウンの髪色で、濃いロイヤルブルーの瞳はキツい印象を与えている。濃い睫毛と吊り気味の目元も、気性の激しさを表していると周囲から囁かれていた。
「お姉様って、どうしてあんなに厳しくて怖いのかしら」
「さぁ、僕達のことが嫌いなのかも」
「遊んでってお願いしても、いつも断られてしまうしね」
子どもの言葉に、悪意などない。思ったままを口にしているだけで、嘘もなければ方便も使えなかった。
「綺麗で賢くて、自慢のお姉様なのに。笑ったお顔を見たことがないわ」
「僕は、怖いから苦手。ベルと一緒じゃなきゃ、お喋りも出来ないよ」
周囲の大人達は二人に甘い為、威圧的な態度を取る人間に慣れていない。リリアンナからしてみれば厳しさも溢れる愛情ゆえなのだが、八つも下の弟妹には通じないし、それを諭す者もいない。
リリアンナについての話もいつの間にか終わり、ころころと話題は移り変わる。ケイティベルはシロツメクサでせっせと花冠を作っている。それはふにゃふにゃと頼りなく曲がり、今にもばらばらに解けてしまいそうな出来だった。
ルシフォードは、ひっくり返った虫を助けようと奮闘している。指で触る勇気はないので、拾った木の棒でつんつんと突いた。
「二人とも、お母様がお呼びよ」
その時、よく通るハスキーボイスが二人の背後で響く。同時に振り向くと、光沢のあるブラックドレスを身に纏ったリリアンナが、小さな弟妹を見下ろしていた。
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お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
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