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第三章「仲間を増やそう大作戦」
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「じゃあ行くよ、お姉様!」
「ほ、本当に大丈夫かしら」
「私達がついてるから、安心して!」
現在屋敷の食堂前にて、二の足を踏むリリアンナの両脇を抱えるようにして、愛されぽっちゃり双子のルシフォードとケイティベルが彼女を励ましていた。
ミントグリーンの装いは三人でお揃いで、女子二人は髪型も束髪崩しに統一した。こんなことをして可愛い弟妹の評判に傷が付いたらどうしよう……と、気が気ではないリリアンナ。けれど双子は、ちっとも気にしていない。長年恐れていた姉の本心を知り、こうして仲良く出来るのが嬉しくて仕方ないからだ。
ルシフォードがこくんと頷くと、扉前に待機していた侍従がゆっくりとそれを押し開く。緊張を隠しきれないリリアンナは、無意識のうちに二人のふっくらとした手をぎゅうっと握った。
いつだって完璧で好きのない彼女から頼られて、ルシフォードとケイティベルは噛み締めるように頬をぷくっと膨らませる。心配要らないという思いを込め、冷たい姉の手をしっかりと握り返した。
「お父様、お母様、おはようございます」
「「おはようございます!」」
長女に倣い、弟妹もふわりと頭を下げる。三人揃って姿を見せたのは初めてのことで、両親のみならずその場にいた全員が目を丸くして驚いていた。
「わぁ、いい匂い。今日は私の好きなデニッシュだわ」
「やった、僕の好きなさくらんぼもある」
朝から可愛らしくはしゃぐ双子はいつもの光景だが、その側で柔らかな笑みを浮かべるリリアンナは前代未聞。一体何が起こったのかと食堂内はどよめきに包まれるが、それを破ったのは母であるベルシアだった。
「おはよう。ルシフォード、ケイティベル。今日は爽やかな朝ね」
「お母様、お姉様もいらっしゃるわ」
「えっ?ええ、そうね」
唐突な指摘に、ベルシアは戸惑う。たった昨日まではあんなに姉を怖がっていたのに、どういう心境の変化なのだろう。もしかしたら、脅されて嫌々したがっているだけかもしれないと、リリアンナに憤りさえ感じる。
「とりあえず席に着きなさい。朝食にしよう」
アーノルドの一声には、誰も逆らえない。声を荒げることは決してしない男だが、家父長制を重んじる根っからの貴族気質なのだ。幸福と繁栄の象徴たる双子には甘いが、女であるベルシアやリリアンナには厳しかった。
「それでね、その時お姉様ったら転んで尻餅をついたのよ!とっても痛そうだったわ」
「僕はちょっと笑っちゃった。だって、お姉様のあんな顔は初めて見たから」
食事中のお喋りは珍しくないが、話す内容はほとんどリリアンナのことばかり。これは事前に「両親を試そう」と二人が画策したせいである。リリアンナの汚名を晴らす為、今後は自分達が暗躍するしかないという使命感に燃えていた。
「ねぇルシフォード、ケイティベル。今日はお母様と一緒に街へ出掛けない?最近王都に出来たパティスリーが評判らしいの」
「ごめんなさいお母様、今日は先約があるの」
「あらそう、残念ね……」
ベルシアは呟きながら、じろりとリリアンナを睨めつけた。彼女との約束とは言っていないが、どうせそうなのだろうと決めつけている。
「お姉様って、なんの食べ物が好きなの?」
何気ない質問に、彼女は微かに眉を下げる。
「分からないわ」
それは正直な答えだった。これまでずっと言われるがままの人生を生きてきた彼女は、自身から何かを選択したことなどなかった。
「まぁ、自分の好物が分からないですって?適当なことを言って、弟妹を困らせているのね」
さすが悪役令嬢とでも言いたげなベルシアだが、今の二人にその攻撃は通用しない。姉がどれだけ自分達を大切に思っているのかを、ちゃんと理解しているから。
「ほ、本当に大丈夫かしら」
「私達がついてるから、安心して!」
現在屋敷の食堂前にて、二の足を踏むリリアンナの両脇を抱えるようにして、愛されぽっちゃり双子のルシフォードとケイティベルが彼女を励ましていた。
ミントグリーンの装いは三人でお揃いで、女子二人は髪型も束髪崩しに統一した。こんなことをして可愛い弟妹の評判に傷が付いたらどうしよう……と、気が気ではないリリアンナ。けれど双子は、ちっとも気にしていない。長年恐れていた姉の本心を知り、こうして仲良く出来るのが嬉しくて仕方ないからだ。
ルシフォードがこくんと頷くと、扉前に待機していた侍従がゆっくりとそれを押し開く。緊張を隠しきれないリリアンナは、無意識のうちに二人のふっくらとした手をぎゅうっと握った。
いつだって完璧で好きのない彼女から頼られて、ルシフォードとケイティベルは噛み締めるように頬をぷくっと膨らませる。心配要らないという思いを込め、冷たい姉の手をしっかりと握り返した。
「お父様、お母様、おはようございます」
「「おはようございます!」」
長女に倣い、弟妹もふわりと頭を下げる。三人揃って姿を見せたのは初めてのことで、両親のみならずその場にいた全員が目を丸くして驚いていた。
「わぁ、いい匂い。今日は私の好きなデニッシュだわ」
「やった、僕の好きなさくらんぼもある」
朝から可愛らしくはしゃぐ双子はいつもの光景だが、その側で柔らかな笑みを浮かべるリリアンナは前代未聞。一体何が起こったのかと食堂内はどよめきに包まれるが、それを破ったのは母であるベルシアだった。
「おはよう。ルシフォード、ケイティベル。今日は爽やかな朝ね」
「お母様、お姉様もいらっしゃるわ」
「えっ?ええ、そうね」
唐突な指摘に、ベルシアは戸惑う。たった昨日まではあんなに姉を怖がっていたのに、どういう心境の変化なのだろう。もしかしたら、脅されて嫌々したがっているだけかもしれないと、リリアンナに憤りさえ感じる。
「とりあえず席に着きなさい。朝食にしよう」
アーノルドの一声には、誰も逆らえない。声を荒げることは決してしない男だが、家父長制を重んじる根っからの貴族気質なのだ。幸福と繁栄の象徴たる双子には甘いが、女であるベルシアやリリアンナには厳しかった。
「それでね、その時お姉様ったら転んで尻餅をついたのよ!とっても痛そうだったわ」
「僕はちょっと笑っちゃった。だって、お姉様のあんな顔は初めて見たから」
食事中のお喋りは珍しくないが、話す内容はほとんどリリアンナのことばかり。これは事前に「両親を試そう」と二人が画策したせいである。リリアンナの汚名を晴らす為、今後は自分達が暗躍するしかないという使命感に燃えていた。
「ねぇルシフォード、ケイティベル。今日はお母様と一緒に街へ出掛けない?最近王都に出来たパティスリーが評判らしいの」
「ごめんなさいお母様、今日は先約があるの」
「あらそう、残念ね……」
ベルシアは呟きながら、じろりとリリアンナを睨めつけた。彼女との約束とは言っていないが、どうせそうなのだろうと決めつけている。
「お姉様って、なんの食べ物が好きなの?」
何気ない質問に、彼女は微かに眉を下げる。
「分からないわ」
それは正直な答えだった。これまでずっと言われるがままの人生を生きてきた彼女は、自身から何かを選択したことなどなかった。
「まぁ、自分の好物が分からないですって?適当なことを言って、弟妹を困らせているのね」
さすが悪役令嬢とでも言いたげなベルシアだが、今の二人にその攻撃は通用しない。姉がどれだけ自分達を大切に思っているのかを、ちゃんと理解しているから。
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(追記2018.07.24)
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ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
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