死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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第七章「いざ、双子同士の対決へ!」

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 文武両道、冷静沈着、それはそれは見目麗しく欠点など見当たらないと評判の第二王子は、蓋を開けてみれば婚約者の妹に熱を上げているただの変人。ケイティベルが話しかければ、一見無表情のように見えて指先がそわそわと忙しなく動き、形の良い耳はほんのりと赤く染まる。
 完璧な王子様よりも今の方がずっと親しみやすくて素敵だと、ケイティベルはそんな風に思っている。だからこそ、自分を勝手に神格化してつり合わないだのなんだとの卑下するレオニルが、腹立たしくて仕方なかったのだ。
「確かに、言わなきゃ伝わらないわよね」
 姉からの助言を受けたケイティベルは、部屋の隅で丸くなっているレオニルに近付き、その広い背中をぽんぽんと叩く。
「殿下は私を花嫁に迎えてはくださらないのですか?」
「し、しかし私では……」
「私は殿下を選んだけれど、貴方様が嫌なら仕方ありませんね」
「い、嫌なわけがないだろう!」
 だんだんと小さくなる彼女の声色に、レオニルは慌てて顔を上げる。元婚約者の妹、歳の差、天使のような清らかさ……などなど。勝手に負い目を背負っているレオニルだが、決してケイティベルを傷付けたいわけではない。
「では、問題は解決です!ほら、こちらへ!」
 にこっと快活に笑う彼女に手を引かれ、レオニルは立ち上がる。その瞬間、抱えていたもやもやなどすべて吹き飛んでしまった。うじうじと御託を並べたところで結局彼は、ケイティベルと共にいられることが嬉しくてたまらないのだから。
「一件落着だね、ベル!」
 ルシフォードはほっとした様子で頷くと、ケイティベルと同じようにレオニルの手を握る。両サイドから感じるふわふわとした心地の良い感触に、彼は思わずとろりと眉を下げた。
「リリアンナ、すまない……。私は今、この上ない幸福に包まれている……」
「ふふっ、それは良かったですね」
 初めて見る元婚約者の表情に自分を重ねたリリアンナは、口元に手を当てながら微笑む。我が弟妹には誰も敵わないと、誇らしささえ感じていた。
 さて、エトワナ家の両親はというと。新聞記事に大変満足しており、リリアンナへの冷遇もすっかり鳴りを潜めている。とはいえ、長年のしこりがすぐに解けるわけではなく、付かず離れずといった関係性は変わらない。
 寂しい幼少期を過ごしてきたリリアンナだが、そんな彼女だからこそ人の傷みに共感出来る優しく聡明な女性に成長した。両親がいなければ、最愛の弟妹にも出会えなかったのだから、裏向きなど少しもない。
 ただ人はジレンマを抱えて生きるもので、考え方も違えば相性の良し悪しもある。無理に手を取り合う必要はなく、今後もそれぞれの場所で幸せに過ごしていけたら良いと、両親についてはそう思っていた。
 リリアンナがこんな風に心のゆとりを持つことが出来たのは、エドモンドの存在も大きい。弟妹と離れてしまうのはとても寂しいが、自分には新しい環境の方が合っているのではと感じる部分も確かにある。
 愛情から芽生えた関係ではないが、エドモンドとならばきっと上手く信頼を築いていけると、リリアンナにしては珍しく期待に胸を躍らせていた。
「レオニル殿下、また乗馬を教えてくださいませ!」
「あっ、ベルずるい!僕は殿下とチェスがしたいのに!」
「横槍を入れないでルーシー!私が先なんだから!」
「いや、僕が先だ!」
 レオニルの取り合いが始まり、彼の着ている上質なコートの袖は伸びに伸びている。が、それよりも麗人の鼻の下の方が圧倒的に残念なことになっていた。
「まぁ、もう陥落しているわ!」
 くすくすと声を上げて笑うリリアンナと、つい先ほどまでしょぼくれていたとは思えないレオニル、そしてそんな彼に抱き着くルシフォードとケイティベル。
 これは果たして天然か、それとも双子の策略か。真実は二人にしか分からないのであった。
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