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1 プロローグ
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「あら? 何もないはずなのに身体に何か当たった気がしたわ?」
廊下ですれ違おうとした際に、わざわざ私にぶつかってきたお姉様は、意地の悪い笑みを浮かべて続けます。
「それに、ドレスまで汚れちゃったわ。身体も痛いし、一体、何があったのかしら?」
それは私が知りたいです。
大体、ドレスが汚れてるのは、あなたが食事中にポロポロと食べかすを落とすからです。
そう言い返したいのを我慢して、お姉様をやり過ごして、自分の部屋に戻りました。
私、リサ・ミノワーズは小国ではありますが、ミドノワール国の第2王女です。
目にかからない程度におろした前髪、腰まで伸びた長い髪を後ろで一つにまとめていて、髪色は瞳と同じ鳶色。
肌色は白で体型はどちらかといえば痩せ型、身長は女性にしては高い方です。
私の見た目の雰囲気は、動物に例えるとリスに似ているとよく言われます。
猫背気味だからかもしれません。
王女なのに猫背?
と思われるかもしれませんが、私は小さい頃から、俯いて体を縮こませる事が多かったため、自然とそうなってしまいました。
私の国では代々、女性や男性などの性別は関係なく、王の子供達が成人近くになると、王となるべき人の身体に、証として国の花が肌に浮き出てくると言われています。
それは生まれたときにはわからないもので、規則性もなく、国花が胸元に浮き出ない限り、誰に出てくるかはわかりません。
ですが、そうはいっても今までは、長男や長女にしか現れなかったそうなので、次女である私には女王の資格はないと、お母様からは、とても冷遇されておりました。
お母様はお姉様だけを可愛がり、私の事は侍女やメイドに任せ、何があっても知らんぷりでした。
そのかわりと言ってはなんですが、国王陛下であるお父様は私にとても優しく、お母様から冷遇されている私の事を気にかけて下さり、お母様から与えられなかった愛情を、お父様がたくさん注いで下さりました。
もちろん、お父様はお姉様の事も可愛がっていらっしゃいましたけれども、それは当たり前の事です。
ですが、贔屓とまではいきませんが、お父様が私をお姉様より優先に扱ってくださっているのを子供心にも感じました。
そんなお父様は私が7歳の頃に原因不明の病に倒れられ、命は何とかとりとめたものの、体力が戻らず、寝たきりの生活を送る事になってしまいました。
お父様の目が届かなくなってからは、お母様の私に対する態度はより酷くなり、お姉様は私を汚らわしいものと認識し、話しかけても無視されたり、私に聞こえるように悪口を言うようになりました。
お父様の愛情が私に多く注がれていたことか気に入らなかったのもあるようです。
でも、それは、お母様に愛されていなかった分、お父様が愛してくれたのですから、子供の私はそれがどうしていけないのかわかりませんでした。
さすがに、なぜ、私が二人からいじめられていたのか、今となってはわかります。
お母様の場合は嫉妬。
お姉様の場合は自分よりも私がお父様に可愛がられた事が気に食わなかったのです。
お母様もお姉様もお父様が大好きだったんです。
もちろん、私もお父様の事は大好きです。
けれど、成長した私にしてみれば、お母様がお姉様だけ可愛がるみたいな事をしなければ、お父様が私を特に可愛がるなんて事にならなかったのに、と思ってしまいますし、お母様の自業自得なのに、なぜ、私だけ悲しい思いをしないといけないのかと納得できません。
まあ、今となっては、時間を巻き戻したりできませんから、どうしようもありませんけど。
今更、何を言っても無駄です。
お母様やお姉様に私から話しかけても無視をされ、同じ空間にいたとしても、私の存在などないような扱いをされる事は当たり前。
何か嫌な事があれば、ストレス発散のためなのか、私に向かって聞こえるように大きな声で言う悪口にも耐え、時には疎外感を感じながらも、年齢を重ねるうちに、仲良くできるという期待もなくなり、あまり気にならなくなっていきました。
そんな日々が続いていましたが、私が17歳の誕生日を迎える日に、とんでもない出来事が起こったのです。
廊下ですれ違おうとした際に、わざわざ私にぶつかってきたお姉様は、意地の悪い笑みを浮かべて続けます。
「それに、ドレスまで汚れちゃったわ。身体も痛いし、一体、何があったのかしら?」
それは私が知りたいです。
大体、ドレスが汚れてるのは、あなたが食事中にポロポロと食べかすを落とすからです。
そう言い返したいのを我慢して、お姉様をやり過ごして、自分の部屋に戻りました。
私、リサ・ミノワーズは小国ではありますが、ミドノワール国の第2王女です。
目にかからない程度におろした前髪、腰まで伸びた長い髪を後ろで一つにまとめていて、髪色は瞳と同じ鳶色。
肌色は白で体型はどちらかといえば痩せ型、身長は女性にしては高い方です。
私の見た目の雰囲気は、動物に例えるとリスに似ているとよく言われます。
猫背気味だからかもしれません。
王女なのに猫背?
と思われるかもしれませんが、私は小さい頃から、俯いて体を縮こませる事が多かったため、自然とそうなってしまいました。
私の国では代々、女性や男性などの性別は関係なく、王の子供達が成人近くになると、王となるべき人の身体に、証として国の花が肌に浮き出てくると言われています。
それは生まれたときにはわからないもので、規則性もなく、国花が胸元に浮き出ない限り、誰に出てくるかはわかりません。
ですが、そうはいっても今までは、長男や長女にしか現れなかったそうなので、次女である私には女王の資格はないと、お母様からは、とても冷遇されておりました。
お母様はお姉様だけを可愛がり、私の事は侍女やメイドに任せ、何があっても知らんぷりでした。
そのかわりと言ってはなんですが、国王陛下であるお父様は私にとても優しく、お母様から冷遇されている私の事を気にかけて下さり、お母様から与えられなかった愛情を、お父様がたくさん注いで下さりました。
もちろん、お父様はお姉様の事も可愛がっていらっしゃいましたけれども、それは当たり前の事です。
ですが、贔屓とまではいきませんが、お父様が私をお姉様より優先に扱ってくださっているのを子供心にも感じました。
そんなお父様は私が7歳の頃に原因不明の病に倒れられ、命は何とかとりとめたものの、体力が戻らず、寝たきりの生活を送る事になってしまいました。
お父様の目が届かなくなってからは、お母様の私に対する態度はより酷くなり、お姉様は私を汚らわしいものと認識し、話しかけても無視されたり、私に聞こえるように悪口を言うようになりました。
お父様の愛情が私に多く注がれていたことか気に入らなかったのもあるようです。
でも、それは、お母様に愛されていなかった分、お父様が愛してくれたのですから、子供の私はそれがどうしていけないのかわかりませんでした。
さすがに、なぜ、私が二人からいじめられていたのか、今となってはわかります。
お母様の場合は嫉妬。
お姉様の場合は自分よりも私がお父様に可愛がられた事が気に食わなかったのです。
お母様もお姉様もお父様が大好きだったんです。
もちろん、私もお父様の事は大好きです。
けれど、成長した私にしてみれば、お母様がお姉様だけ可愛がるみたいな事をしなければ、お父様が私を特に可愛がるなんて事にならなかったのに、と思ってしまいますし、お母様の自業自得なのに、なぜ、私だけ悲しい思いをしないといけないのかと納得できません。
まあ、今となっては、時間を巻き戻したりできませんから、どうしようもありませんけど。
今更、何を言っても無駄です。
お母様やお姉様に私から話しかけても無視をされ、同じ空間にいたとしても、私の存在などないような扱いをされる事は当たり前。
何か嫌な事があれば、ストレス発散のためなのか、私に向かって聞こえるように大きな声で言う悪口にも耐え、時には疎外感を感じながらも、年齢を重ねるうちに、仲良くできるという期待もなくなり、あまり気にならなくなっていきました。
そんな日々が続いていましたが、私が17歳の誕生日を迎える日に、とんでもない出来事が起こったのです。
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