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4 陛下からの提案
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「次女や次男に国花が浮き出るだなんて、今まで聞いた事のない話だが、実際どうなんだ?」
私の話を聞き終えた陛下がお父様に尋ねられます。
「そうだな。私も聞いた事がない。調べれば遠い昔にはあったのかもしれないが…。ただ、今の状況なら、リサに国花が出てもおかしくないだろうな」
そう言って、お父様が知っている範囲になりますが、私に対するお母様の所業を、陛下に話をして下さいました。
「それはひどい! リサ、どうして言ってくれなかったんだ! 何か出来たかもしれないのに…」
陛下は私を悲しげな目で見たあと、お父様に言います。
「大体、お前もそこまでわかっていて、なぜ対処しなかったんだ! お前も悪いぞ!」
「身内の恥だからだよ。それに、自分が生んだ娘なんだ。育てていく内に愛情が芽生えると思ったんだよ」
「お前は呑気すぎる!」
お父様と陛下は、同学年で同じ学園に通っておられたそうです。
ミドノワール国と陛下の国であるエストラフィー国は友好国で、行き来もしやすく、学問に関しては、ミドノワールの学園が有名なため、陛下が学園に通う際に、この城に滞在しておられたそうです。
普通なら友好国とはいえ、他国の王子を城に住まわせたりすると、人質ととられかねなかったりするのですが、そんな話題は一切、上がらなかったそうです。
お父様の前は私のお祖母様で、女王だったからかもしれません。
エストラフィー国は男性しか王位は継げません。
なぜ、女性が王位を継げないかというと、男尊女卑が根強いからなんだそうです。
ですから、先代のエストラフィーの国王陛下はまさに、女王であるお祖母様を下に見ておられたようでした。
もちろん、お祖母様は優しくて大人の対応が出来る方でしたから、前国王陛下がそんな事を思っているとわかっていたとしても、ロンバルディー国王陛下に優しくされたそうです。
だから、今もこの様に二人が仲良くされているわけですが。
そうそう、もう一つ大事なお話があるのでした。
「あと、お父様にもう一つ報告があります」
「他にもあるのか?」
「ええ。先程、オッサムから婚約破棄を言い渡されました」
「なんだって!?」
お父様だけでなく、陛下までもが聞き返してこられました。
先程のオッサム達との話をすると、陛下は何度も頷きながら言います。
「野心があるのは良いが、リサが女王になるかもしれないと見抜けなかったところで駄目だな。よし、婚約の破棄を受けなさい」
「おい。君が決める事じゃないだろう」
「お前が動けないから俺が動いてやるんだ」
「そんな事がわかったら、他国への越権行為だとして君の立場が悪くなるぞ!」
「ここだけの秘密だ。なあ、リサ?」
「もちろんでございます」
頭を下げるようにして頷くと、陛下は笑顔で言われます。
「そんなに姉と結婚したいなら、その婚約者と姉を結婚させれば良い。結婚をさせた後に、リサに国花が浮かび上がった事を発表すると一番面白くなりそうだ」
「意地の悪いことをするなあ…。ブランカも私の娘なんだぞ?」
「そう思うなら、どうしてこんな事になるまで放置していた。というか、もしかして、お前の病はそのせいなんじゃないのか?」
陛下が言うと、お父様も何かに気付いたような、はっとした顔をされました。
「国王らしくない振る舞いをしていたという事か?」
「そうかもしれないぞ。リサの元婚約者が考えていたように、みんな、姉のブランカが女王になると考えている。もちろん、お前もそうだったろう。それがわかっていたのに、女王になるにふさわしくない、ブランカの行動をお前は止めもしなかった」
「…それは、そうかもしれないな…」
お父様が唇を噛み締めて俯かれました。
もし、陛下の言う通りだとすれば…。
「という事は、これからのお父様の動き方によっては、体調が良くなるかもしれないという事ですよね?」
私の言葉にお父様と陛下は大きく頷いてくれます。
「きっとそうだろう」
「これからは、ブランカをきっちり叱って、リサを支えるようにする。それに、任せきりになっている仕事もしっかりやらないといけないな。ああ、そう思うと、身体が軽くなった様な気がする」
「おい、そんな簡単に治るものじゃないだろう」
お父様と陛下が笑い合っているのを見ると、なんだか心がほっこりしました。
ニコニコしてお二人を見ていると、陛下が私の方を見て、動きを止められました。
「どうかされましたか?」
「リサ、お前には好きな男性がいたりするのか?」
「いいえ!」
大きく首を横に振ると、陛下はにっこりと微笑んで言われます。
「リサ、俺の息子を新たな婚約者にするのはどうだ? あいつなら、リサの良い協力者にもなるだろう」
「あいつ、とは?」
「さすがに王太子はやれんが、第2王子なら大丈夫だ」
「え? で、ですが、第2王子殿下にも婚約者がいらっしゃるのでは?」
「それが、決まっていた婚約者に婚約破棄されてからは断られてばかりなんだ…。第2とはいえ王子が相手だというのに…」
陛下は大きくため息を吐いてから、肩を落とされました。
そんな陛下に、お父様が尋ねます。
「第2王子というとクレイか。たしかやんちゃ坊主だったという事は覚えているが…」
「ここ何年か、急に言葉遣いが悪くなって、そのせいで婚約者からも断られてな。今はふてくされて面倒な事になっている。だが、親である俺が言うのもなんだが、仕事は出来るし、腕も立つし、根は真面目で優しい男だ。一度、会ってみないか?」
「は、はい! よろしくお願いいたします!」
陛下に向かって、私は深々と頭を下げた。
私の話を聞き終えた陛下がお父様に尋ねられます。
「そうだな。私も聞いた事がない。調べれば遠い昔にはあったのかもしれないが…。ただ、今の状況なら、リサに国花が出てもおかしくないだろうな」
そう言って、お父様が知っている範囲になりますが、私に対するお母様の所業を、陛下に話をして下さいました。
「それはひどい! リサ、どうして言ってくれなかったんだ! 何か出来たかもしれないのに…」
陛下は私を悲しげな目で見たあと、お父様に言います。
「大体、お前もそこまでわかっていて、なぜ対処しなかったんだ! お前も悪いぞ!」
「身内の恥だからだよ。それに、自分が生んだ娘なんだ。育てていく内に愛情が芽生えると思ったんだよ」
「お前は呑気すぎる!」
お父様と陛下は、同学年で同じ学園に通っておられたそうです。
ミドノワール国と陛下の国であるエストラフィー国は友好国で、行き来もしやすく、学問に関しては、ミドノワールの学園が有名なため、陛下が学園に通う際に、この城に滞在しておられたそうです。
普通なら友好国とはいえ、他国の王子を城に住まわせたりすると、人質ととられかねなかったりするのですが、そんな話題は一切、上がらなかったそうです。
お父様の前は私のお祖母様で、女王だったからかもしれません。
エストラフィー国は男性しか王位は継げません。
なぜ、女性が王位を継げないかというと、男尊女卑が根強いからなんだそうです。
ですから、先代のエストラフィーの国王陛下はまさに、女王であるお祖母様を下に見ておられたようでした。
もちろん、お祖母様は優しくて大人の対応が出来る方でしたから、前国王陛下がそんな事を思っているとわかっていたとしても、ロンバルディー国王陛下に優しくされたそうです。
だから、今もこの様に二人が仲良くされているわけですが。
そうそう、もう一つ大事なお話があるのでした。
「あと、お父様にもう一つ報告があります」
「他にもあるのか?」
「ええ。先程、オッサムから婚約破棄を言い渡されました」
「なんだって!?」
お父様だけでなく、陛下までもが聞き返してこられました。
先程のオッサム達との話をすると、陛下は何度も頷きながら言います。
「野心があるのは良いが、リサが女王になるかもしれないと見抜けなかったところで駄目だな。よし、婚約の破棄を受けなさい」
「おい。君が決める事じゃないだろう」
「お前が動けないから俺が動いてやるんだ」
「そんな事がわかったら、他国への越権行為だとして君の立場が悪くなるぞ!」
「ここだけの秘密だ。なあ、リサ?」
「もちろんでございます」
頭を下げるようにして頷くと、陛下は笑顔で言われます。
「そんなに姉と結婚したいなら、その婚約者と姉を結婚させれば良い。結婚をさせた後に、リサに国花が浮かび上がった事を発表すると一番面白くなりそうだ」
「意地の悪いことをするなあ…。ブランカも私の娘なんだぞ?」
「そう思うなら、どうしてこんな事になるまで放置していた。というか、もしかして、お前の病はそのせいなんじゃないのか?」
陛下が言うと、お父様も何かに気付いたような、はっとした顔をされました。
「国王らしくない振る舞いをしていたという事か?」
「そうかもしれないぞ。リサの元婚約者が考えていたように、みんな、姉のブランカが女王になると考えている。もちろん、お前もそうだったろう。それがわかっていたのに、女王になるにふさわしくない、ブランカの行動をお前は止めもしなかった」
「…それは、そうかもしれないな…」
お父様が唇を噛み締めて俯かれました。
もし、陛下の言う通りだとすれば…。
「という事は、これからのお父様の動き方によっては、体調が良くなるかもしれないという事ですよね?」
私の言葉にお父様と陛下は大きく頷いてくれます。
「きっとそうだろう」
「これからは、ブランカをきっちり叱って、リサを支えるようにする。それに、任せきりになっている仕事もしっかりやらないといけないな。ああ、そう思うと、身体が軽くなった様な気がする」
「おい、そんな簡単に治るものじゃないだろう」
お父様と陛下が笑い合っているのを見ると、なんだか心がほっこりしました。
ニコニコしてお二人を見ていると、陛下が私の方を見て、動きを止められました。
「どうかされましたか?」
「リサ、お前には好きな男性がいたりするのか?」
「いいえ!」
大きく首を横に振ると、陛下はにっこりと微笑んで言われます。
「リサ、俺の息子を新たな婚約者にするのはどうだ? あいつなら、リサの良い協力者にもなるだろう」
「あいつ、とは?」
「さすがに王太子はやれんが、第2王子なら大丈夫だ」
「え? で、ですが、第2王子殿下にも婚約者がいらっしゃるのでは?」
「それが、決まっていた婚約者に婚約破棄されてからは断られてばかりなんだ…。第2とはいえ王子が相手だというのに…」
陛下は大きくため息を吐いてから、肩を落とされました。
そんな陛下に、お父様が尋ねます。
「第2王子というとクレイか。たしかやんちゃ坊主だったという事は覚えているが…」
「ここ何年か、急に言葉遣いが悪くなって、そのせいで婚約者からも断られてな。今はふてくされて面倒な事になっている。だが、親である俺が言うのもなんだが、仕事は出来るし、腕も立つし、根は真面目で優しい男だ。一度、会ってみないか?」
「は、はい! よろしくお願いいたします!」
陛下に向かって、私は深々と頭を下げた。
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