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6 クレイ殿下
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クレイ様との婚約は顔合わせの後に、お互いが了承した時点で正式に決定する事になりました。
なぜかというと、それがクレイ様の希望だからです。
お母様とお姉様はクレイ様が私を嫌がって、婚約を先延ばしにしようとしているのだと言ってこられましたが、二人の言う事など気にしない事にしました。
その日が来るまで、今までの反動の様に話しかけてくる二人を何とかやり過ごす事にしました。
あと、お姉様は今のところ、オッサムとアール様の二人共を婚約者認定して、自分が女王だとわかった時点で夫を決めるという話でまとまったそうです。
自分が女王になる事は確実と思っているところがすごいです。
私の誕生日から約一週間後の事。
とうとう私の婚約者になる予定の人、クレイ様が、城にやって来る事になりました。
ちなみにクレイ様には結婚する際は、婿入りしてもらう話は通っています。
クレイ様について、お父様から聞いたりして調べてみたところ、私より2つ年上の19歳。
小さい頃に遊んだ事があるようですが、あまり記憶にはありません。
クレイ様は整った顔立ちなんだそうですが、婚約者以外に好きな人がいらっしゃり、今まではその人一筋だったようです。
もちろん、婚約者の方はそれを承知しておられたみたいです。
けれど、好きな方にフラレてしまい、そのせいかはわかりませんが、同じ時期くらいに婚約者ともうまくいかなくなり、婚約が破断になったみたいです。
失恋されたショックで、うまくいかなくなったのでしょうか?
でも、好きな人がいるという事は知っていたみたいですし…。
私でしたら、お飾りの妻として、って駄目ですね。
私は女王になる可能性が高いのですから、お飾りではいけません。
クレイ様には少しずつ、彼女を忘れてもらうか、もしくは、わりきってビジネスライクな関係になってもらわなくては。
そう、クレイ様にお飾りの夫になってもらいましょう!
元々、私は初恋はまだですし、恋愛に興味もありません。
ですから、クレイ様が好きな人を思い続けていても、文句はありません!
さあ、どんな方なのでしょう!
ワクワクしますね!
ドキドキしながら、すっなり元気になったお父様とクレイ様を、モコモコのコートを着込んで、城の入口で迎えます。
本来ならば、お母様やお姉様も一緒にお出迎えするべきなのでしょうけれど、体調不良との事で来られていません。
仮病でしょうね。
私に対して悔しいという気持ちもあるのでしょう。
豪華な馬車から降りてきたクレイ様はシルバーの瞳と髪色で前髪は目に少しかかるほど長く、長髪とまではいかないですが、全体的に長めです。
というよりか、あまり、髪の毛を手入れされていない感じでしょうか。
伸ばしっぱなしで整えていないような感じです。
もちろん、髪を洗っていないとか、そういう感じではありません。
眉間にシワを寄せられていて、取っ付きにくそうな感じがしますが、整った顔立ちをしておられます。
「はじめまして。リサ・ミノワーズと申します。クレイ様にお会いできて光栄ですわ」
カーテシーをして微笑んだけれど、クレイ様はニコリともせずに「お出迎えいただき、ありがとうございます」と頭を下げただけです。
お疲れなのか、それともこういう無愛想な人なのかはわかりませんが、あまり気にしない事にします。
あーだこーだ言って、嫌われても嫌ですしね。
お互い、好きでも嫌いでもないという関係が、長くやっていける様な気がするのです。
「リサ、クレイ殿下をご案内さしあげたらどうだ?」
「承知いたしました」
本来ならば、メイドにお願いすべきなのでしょうけれど、お話をしてみたいので、私が案内する事に決めておりました。
ですから、お父様の言葉に促され、私はクレイ様に声を掛けます。
「ご案内いたしますね」
「…ありがとう」
無愛想な方ではありますが、ちゃんとお礼などは言えるみたいです。
まあ、大人ですからね。
それくらいは出来て当たり前なのかもしれません。
「クレイ様のお部屋は私の隣の部屋になります。あの、少しお話したい事がありますので、落ち着かれましたら、お時間をいただけないでしょうか」
「…今でもかまわないが…」
「でしたら、私の部屋でお話させていただいても良いですか? クレイ様のお部屋は荷物の搬入があるでしょうから、慌ただしいかと思いますので」
笑顔で言いますと、クレイ様は少し戸惑った顔をされました。
やはり、女性の部屋に行くのに抵抗があるのでしょうか。
「あの、クレイ様、私はあなたを応援しております」
クレイ様に近寄り、背の高い彼を見上げて、小声で両拳を握りしめて伝えてみました。
「…は?」
「他の女性を愛してらっしゃった事は聞き及んでおります。そして、無理に忘れる必要もないと思っております! 相手の方に迷惑にならない程度でありましたら、どうぞ思い続けて下さいませ!」
「ちょ、ちょっと待て。何の話をしてるんだ?」
「あら、お話ができるのですね!」
「さっきも会話してただろ…」
クレイ様の話す声が大きくなったのは良いですが、話し方が少し乱暴な気がします。
少し戸惑っていると、クレイ様は小声で言います。
「俺は言葉遣いが悪すぎるという理由でふられたんだ。だから出来るだけ会話をしたくない」
「そんなに言葉遣いが悪いのですか」
「悪い。一応、言い訳はあるけどな」
「では、その言い訳とやらを聞かせていただきましょう! どうぞこちらへ」
笑顔で私の部屋の方を手で示すと、なぜかクレイ様は呆れた様な顔をされましたが、まあ、気にしない事にします。
なぜかというと、それがクレイ様の希望だからです。
お母様とお姉様はクレイ様が私を嫌がって、婚約を先延ばしにしようとしているのだと言ってこられましたが、二人の言う事など気にしない事にしました。
その日が来るまで、今までの反動の様に話しかけてくる二人を何とかやり過ごす事にしました。
あと、お姉様は今のところ、オッサムとアール様の二人共を婚約者認定して、自分が女王だとわかった時点で夫を決めるという話でまとまったそうです。
自分が女王になる事は確実と思っているところがすごいです。
私の誕生日から約一週間後の事。
とうとう私の婚約者になる予定の人、クレイ様が、城にやって来る事になりました。
ちなみにクレイ様には結婚する際は、婿入りしてもらう話は通っています。
クレイ様について、お父様から聞いたりして調べてみたところ、私より2つ年上の19歳。
小さい頃に遊んだ事があるようですが、あまり記憶にはありません。
クレイ様は整った顔立ちなんだそうですが、婚約者以外に好きな人がいらっしゃり、今まではその人一筋だったようです。
もちろん、婚約者の方はそれを承知しておられたみたいです。
けれど、好きな方にフラレてしまい、そのせいかはわかりませんが、同じ時期くらいに婚約者ともうまくいかなくなり、婚約が破断になったみたいです。
失恋されたショックで、うまくいかなくなったのでしょうか?
でも、好きな人がいるという事は知っていたみたいですし…。
私でしたら、お飾りの妻として、って駄目ですね。
私は女王になる可能性が高いのですから、お飾りではいけません。
クレイ様には少しずつ、彼女を忘れてもらうか、もしくは、わりきってビジネスライクな関係になってもらわなくては。
そう、クレイ様にお飾りの夫になってもらいましょう!
元々、私は初恋はまだですし、恋愛に興味もありません。
ですから、クレイ様が好きな人を思い続けていても、文句はありません!
さあ、どんな方なのでしょう!
ワクワクしますね!
ドキドキしながら、すっなり元気になったお父様とクレイ様を、モコモコのコートを着込んで、城の入口で迎えます。
本来ならば、お母様やお姉様も一緒にお出迎えするべきなのでしょうけれど、体調不良との事で来られていません。
仮病でしょうね。
私に対して悔しいという気持ちもあるのでしょう。
豪華な馬車から降りてきたクレイ様はシルバーの瞳と髪色で前髪は目に少しかかるほど長く、長髪とまではいかないですが、全体的に長めです。
というよりか、あまり、髪の毛を手入れされていない感じでしょうか。
伸ばしっぱなしで整えていないような感じです。
もちろん、髪を洗っていないとか、そういう感じではありません。
眉間にシワを寄せられていて、取っ付きにくそうな感じがしますが、整った顔立ちをしておられます。
「はじめまして。リサ・ミノワーズと申します。クレイ様にお会いできて光栄ですわ」
カーテシーをして微笑んだけれど、クレイ様はニコリともせずに「お出迎えいただき、ありがとうございます」と頭を下げただけです。
お疲れなのか、それともこういう無愛想な人なのかはわかりませんが、あまり気にしない事にします。
あーだこーだ言って、嫌われても嫌ですしね。
お互い、好きでも嫌いでもないという関係が、長くやっていける様な気がするのです。
「リサ、クレイ殿下をご案内さしあげたらどうだ?」
「承知いたしました」
本来ならば、メイドにお願いすべきなのでしょうけれど、お話をしてみたいので、私が案内する事に決めておりました。
ですから、お父様の言葉に促され、私はクレイ様に声を掛けます。
「ご案内いたしますね」
「…ありがとう」
無愛想な方ではありますが、ちゃんとお礼などは言えるみたいです。
まあ、大人ですからね。
それくらいは出来て当たり前なのかもしれません。
「クレイ様のお部屋は私の隣の部屋になります。あの、少しお話したい事がありますので、落ち着かれましたら、お時間をいただけないでしょうか」
「…今でもかまわないが…」
「でしたら、私の部屋でお話させていただいても良いですか? クレイ様のお部屋は荷物の搬入があるでしょうから、慌ただしいかと思いますので」
笑顔で言いますと、クレイ様は少し戸惑った顔をされました。
やはり、女性の部屋に行くのに抵抗があるのでしょうか。
「あの、クレイ様、私はあなたを応援しております」
クレイ様に近寄り、背の高い彼を見上げて、小声で両拳を握りしめて伝えてみました。
「…は?」
「他の女性を愛してらっしゃった事は聞き及んでおります。そして、無理に忘れる必要もないと思っております! 相手の方に迷惑にならない程度でありましたら、どうぞ思い続けて下さいませ!」
「ちょ、ちょっと待て。何の話をしてるんだ?」
「あら、お話ができるのですね!」
「さっきも会話してただろ…」
クレイ様の話す声が大きくなったのは良いですが、話し方が少し乱暴な気がします。
少し戸惑っていると、クレイ様は小声で言います。
「俺は言葉遣いが悪すぎるという理由でふられたんだ。だから出来るだけ会話をしたくない」
「そんなに言葉遣いが悪いのですか」
「悪い。一応、言い訳はあるけどな」
「では、その言い訳とやらを聞かせていただきましょう! どうぞこちらへ」
笑顔で私の部屋の方を手で示すと、なぜかクレイ様は呆れた様な顔をされましたが、まあ、気にしない事にします。
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