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クレイに私の部屋から追い出されたバーキン様は、その後、お姉様にしばらく捕まっていた様ですが、騒ぎを聞きつけた婚約者候補二人がやって来た事により、無事に解放されたようでした。
後から恨み辛みを言われましたが、私としてはバーキン様の目的が達せられるので良いのではないかと、あの時は真剣に思っていたのだとお伝えしたところ、すぐに許していただけました。
その日から、お姉様はバーキン様にお熱になってしまい、アール様とオッサムから敵視される様になってしまいました。
お姉様がバーキン様に告白し、彼からフラれる様にするには、どうすれば良いかと悩んでいたある日の事。
クレイが自分の部屋で忙しそうにしている時に、バーキン様は私の部屋へやって来て、こう言われました。
「胸の発言だけど、リサ殿下は真面目すぎるんですよ。もっと冗談は冗談として受け止めましょう」
「でも、バーキン様の私への発言はセクハラというのでしょう? 冗談にするにはちょっと…」
「なら、前に言った時に言って下さいよ!」
「あの時は驚いてしまったというのと、後からセクハラという言葉をクレイに教えてもらったんです」
「リサ殿下の計画に僕も手助けしたいと思ってるのに冷たいなあ」
バーキン様がふてくされた顔をして言います。
ちなみに今は侍女のフィアナが、ソファーに座っている私の後ろに立ってくれていますので、バーキン様と二人きりになっているわけではありません。
正直、バーキン様はフィアナに興味があって、私の部屋に訪れているのではないかと思っています。
まあ、今はその事はおいておいて、ちょうど聞きたい事があったので聞いてみます。
「そういえば、バーキン様は私達が行くパーティーには出席されるのですよね? 私とクレイは明日の朝から向かう予定ですが」
「パーティーに出席する、しないにしたって、僕も行かないと困る事になるんじゃないですか?」
「あ! お医者様としてバーキン様には、この城に来ていただいたんでした! 何かあってはいけませんし、付いてきていただかないといけませんね」
「思い出すまでは何だと思ってたんですか?」
「クレイのお友達です」
素直に答えると、バーキン様はニッと笑って言います。
「改めて言われると、何か照れるますね」
「で、どうされる予定ですか? 私とクレイは招待して下さった辺境伯家に前日からお泊りなのですが」
「今回は僕はパーティーに出る予定はしてますが、一人で参加ですから自由にさせてもらおうかと」
「そうなのですね」
「どうしました、リサ殿下。僕が側にいないと心細いですか?」
バーキン様が調子に乗っておられるようなので、この質問は無視する事にします。
考えたら私、のんびりしている場合ではないのです。
数日、仕事ができませんので、やらないといけない事がいっぱいです!
「あの、リサ殿下?」
「申し訳ないのですがお帰りいただいても? そういえばバーキン様はどうやって行かれるおつもりですか?」
「い、一緒に行かせて下さい」
「承知しました」
バーキン様は表情をひきつらせて言った後、深々と頭を下げてお願いしてこられたので、私は笑顔で承諾しました。
そして、部屋から出ていこうとされたバーキン様でしたが、急に足を止めて、こちらに振り返られました。
「リサ殿下」
「……はい」
いつもと違った真剣な表情に驚きつつも返事をしました。
「クレイの事、よろしくお願い致します」
腰を折り曲げて頭を下げるバーキン様に、友情の深さを感じ、感動しながら頷きます。
「私に出来る範囲にはなりますが、クレイを幸せにしたいと思います!」
「……ありがとうございます」
バーキン様が笑顔を向けてこられたので、私も笑顔になりました。
「あと、パーカー嬢には気を付けて下さい」
「ポピー様にですか?」
「何もないとは思いますがね。気を付けるに越した事はないですから」
バーキン様は意味深な発言をした後、そのまま去って行かれました。
最後のポピー様に気を付けろというのは、どういう事なのでしょう?
クレイの好きな人が悪い人だとは思えないのですが…。
次の日、私とクレイが乗る馬車に、バーキン様も同乗される事になりました。
バーキン様が私の隣に座ろうとなさいましたが、クレイに怒られたので、今度はクレイの横に座ろうとされましたが、拒否されておられ、少しだけ可哀想になりました。
だって、もしかしたら、バーキン様はクレイが好きなのかもしれませんから!
侍女のフィアナと話をしまして、今、市政では男性同士の恋愛小説が流行っていると聞きました。
ですから、メイド達の間で、バーキン様がクレイに片思いしているのではないか、と噂されているのだそうです。
なぜ、片思いかといいますと、クレイには私という妻がおりますから、そりゃあ、私のメイド達はバーキン様とクレイが両思いだなんて、口が裂けても言えないみたいです。
まあ、クレイは最近までポピー様を好きでしたから、すぐには傷も癒えないでしょうし、クレイがバーキン様に対して恋愛感情を持っているようにも思えません。
バーキン様の本命はクレイ?
もしくは私が最初に怪しんでいたフィアナ?
フィアナは、バーキン様の本命はクレイではなく、彼は本当に女性が好きであると断言してくれています。
それはそれで、どうしてなのでしょう?
フィアナを見るバーキン様の目は、他の方に向けられるものとは違うので、私はバーキン様の好きな人はフィアナだと思うのですが、フィアナはそれには答えてくれませんでした…。
「リサはどう思う?」
いつの間にか、私の隣に座っていたクレイに尋ねられ、私は首を傾げます。
「何がでしょうか?」
「聞いてなかったのかよ」
クレイは小さく息を吐いてから教えてくれます。
「今回のパーティーにアールが来るみたいなんだ」
「アール様が? という事はお姉様も?」
聞き返すと、バーキン様が答えてくれます。
「大丈夫だよ、リサちゃん。ブランカ様にお願いして、彼一人だけ来てもらう様に手配した。元々、ドストコ公爵家も招待されてたみたいだから」
「…何を考えているのですか?」
「それは、クレイに聞いてくれ」
そう言われたのでクレイを見ると、彼は笑顔で言います。
「アールが婚約解消せざるをえない、もしくはされる状況にもっていこう」
「どういう事ですか?」
以前、アール様がいなければ、オッサムとお姉様が結婚しやすくなるんじゃないかと言う話をしていましたが…。
クレイの言っている意味がわからなくて、素直に聞き返したのでした。
後から恨み辛みを言われましたが、私としてはバーキン様の目的が達せられるので良いのではないかと、あの時は真剣に思っていたのだとお伝えしたところ、すぐに許していただけました。
その日から、お姉様はバーキン様にお熱になってしまい、アール様とオッサムから敵視される様になってしまいました。
お姉様がバーキン様に告白し、彼からフラれる様にするには、どうすれば良いかと悩んでいたある日の事。
クレイが自分の部屋で忙しそうにしている時に、バーキン様は私の部屋へやって来て、こう言われました。
「胸の発言だけど、リサ殿下は真面目すぎるんですよ。もっと冗談は冗談として受け止めましょう」
「でも、バーキン様の私への発言はセクハラというのでしょう? 冗談にするにはちょっと…」
「なら、前に言った時に言って下さいよ!」
「あの時は驚いてしまったというのと、後からセクハラという言葉をクレイに教えてもらったんです」
「リサ殿下の計画に僕も手助けしたいと思ってるのに冷たいなあ」
バーキン様がふてくされた顔をして言います。
ちなみに今は侍女のフィアナが、ソファーに座っている私の後ろに立ってくれていますので、バーキン様と二人きりになっているわけではありません。
正直、バーキン様はフィアナに興味があって、私の部屋に訪れているのではないかと思っています。
まあ、今はその事はおいておいて、ちょうど聞きたい事があったので聞いてみます。
「そういえば、バーキン様は私達が行くパーティーには出席されるのですよね? 私とクレイは明日の朝から向かう予定ですが」
「パーティーに出席する、しないにしたって、僕も行かないと困る事になるんじゃないですか?」
「あ! お医者様としてバーキン様には、この城に来ていただいたんでした! 何かあってはいけませんし、付いてきていただかないといけませんね」
「思い出すまでは何だと思ってたんですか?」
「クレイのお友達です」
素直に答えると、バーキン様はニッと笑って言います。
「改めて言われると、何か照れるますね」
「で、どうされる予定ですか? 私とクレイは招待して下さった辺境伯家に前日からお泊りなのですが」
「今回は僕はパーティーに出る予定はしてますが、一人で参加ですから自由にさせてもらおうかと」
「そうなのですね」
「どうしました、リサ殿下。僕が側にいないと心細いですか?」
バーキン様が調子に乗っておられるようなので、この質問は無視する事にします。
考えたら私、のんびりしている場合ではないのです。
数日、仕事ができませんので、やらないといけない事がいっぱいです!
「あの、リサ殿下?」
「申し訳ないのですがお帰りいただいても? そういえばバーキン様はどうやって行かれるおつもりですか?」
「い、一緒に行かせて下さい」
「承知しました」
バーキン様は表情をひきつらせて言った後、深々と頭を下げてお願いしてこられたので、私は笑顔で承諾しました。
そして、部屋から出ていこうとされたバーキン様でしたが、急に足を止めて、こちらに振り返られました。
「リサ殿下」
「……はい」
いつもと違った真剣な表情に驚きつつも返事をしました。
「クレイの事、よろしくお願い致します」
腰を折り曲げて頭を下げるバーキン様に、友情の深さを感じ、感動しながら頷きます。
「私に出来る範囲にはなりますが、クレイを幸せにしたいと思います!」
「……ありがとうございます」
バーキン様が笑顔を向けてこられたので、私も笑顔になりました。
「あと、パーカー嬢には気を付けて下さい」
「ポピー様にですか?」
「何もないとは思いますがね。気を付けるに越した事はないですから」
バーキン様は意味深な発言をした後、そのまま去って行かれました。
最後のポピー様に気を付けろというのは、どういう事なのでしょう?
クレイの好きな人が悪い人だとは思えないのですが…。
次の日、私とクレイが乗る馬車に、バーキン様も同乗される事になりました。
バーキン様が私の隣に座ろうとなさいましたが、クレイに怒られたので、今度はクレイの横に座ろうとされましたが、拒否されておられ、少しだけ可哀想になりました。
だって、もしかしたら、バーキン様はクレイが好きなのかもしれませんから!
侍女のフィアナと話をしまして、今、市政では男性同士の恋愛小説が流行っていると聞きました。
ですから、メイド達の間で、バーキン様がクレイに片思いしているのではないか、と噂されているのだそうです。
なぜ、片思いかといいますと、クレイには私という妻がおりますから、そりゃあ、私のメイド達はバーキン様とクレイが両思いだなんて、口が裂けても言えないみたいです。
まあ、クレイは最近までポピー様を好きでしたから、すぐには傷も癒えないでしょうし、クレイがバーキン様に対して恋愛感情を持っているようにも思えません。
バーキン様の本命はクレイ?
もしくは私が最初に怪しんでいたフィアナ?
フィアナは、バーキン様の本命はクレイではなく、彼は本当に女性が好きであると断言してくれています。
それはそれで、どうしてなのでしょう?
フィアナを見るバーキン様の目は、他の方に向けられるものとは違うので、私はバーキン様の好きな人はフィアナだと思うのですが、フィアナはそれには答えてくれませんでした…。
「リサはどう思う?」
いつの間にか、私の隣に座っていたクレイに尋ねられ、私は首を傾げます。
「何がでしょうか?」
「聞いてなかったのかよ」
クレイは小さく息を吐いてから教えてくれます。
「今回のパーティーにアールが来るみたいなんだ」
「アール様が? という事はお姉様も?」
聞き返すと、バーキン様が答えてくれます。
「大丈夫だよ、リサちゃん。ブランカ様にお願いして、彼一人だけ来てもらう様に手配した。元々、ドストコ公爵家も招待されてたみたいだから」
「…何を考えているのですか?」
「それは、クレイに聞いてくれ」
そう言われたのでクレイを見ると、彼は笑顔で言います。
「アールが婚約解消せざるをえない、もしくはされる状況にもっていこう」
「どういう事ですか?」
以前、アール様がいなければ、オッサムとお姉様が結婚しやすくなるんじゃないかと言う話をしていましたが…。
クレイの言っている意味がわからなくて、素直に聞き返したのでした。
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